第52号 PARTNERコラム 連載コラムJICA Innovation Quest~共創から生まれる新しい国際協力~ 「ジャイクエ2020、はじまりました」(第2回)

「自分の人生を変える選択肢を誰もが持てる世界にしたい」
途上国では生涯同じ地域に暮らし、その中の世界しか知らない人が多いと思います。ただそれは、外へ踏み出すという選択肢が少ないことも大きな要因ではないでしょうか。自分の人生を自分で決められる環境があることが「豊か」であり、そのような世界を作っていきたいと思っています。

私の父はJICAの専門家で、私自身も中学校を卒業するまでは途上国で過ごしてきました。幼いながらにしてその生活を通じて感じたことは、どの国でも現地の人が思い描く夢や世界は少し狭かったということです。自分自身が大きな夢を持っていたわけではありませんが、将来やりたいことや今後の人生における選択肢や幅が日本から来ている自分とは違い、当時は生まれ育った環境によって将来の選択肢が減ってしまうことはもったいなく感じていました。

そこから私は何か行動を起こせたわけではありませんでしたが、就職活動時に改めてこのことを思い出し、人生における選択肢を増やすことに加え、途上国の人が考える世界やできることを広げられるような仕事をしたいと思うようになり、その最前線であるJICAへの入構を決意しました。

そして次第に私自身の中で大事にしたいテーマも定まりました。それは一方的にあるべき姿を与え、押し付けるのではなく、自分たちの環境には何が足りないか、今後どのように変化していきたいかをその国の人たちを中心として常に「共創」を心掛けていきたいということです。JICAでは多岐にわたる分野で途上国に対して支援を行いますが、常に相手目線に立ちつつ必要な協力や助言を行い、自立を促していけるような存在になりたいと思っています。

日本国内においても、まだまだ外の世界を知らず、人生の選択肢を狭めてしまっている人は多いのではないでしょうか。国際協力という名前だけで敷居が高いものというイメージがあり、それ故に途上国で必要とされる技術や人材が多く眠っていると思います。そう考えている中、私が出会ったのがJICA Innovation Questでした。
JICA Innovation Questでは多様な知識、技術やパッションをもつ方々が集まり、これまでの枠組みにとらわれない新しい国際協力の在り方を共創と革新をテーマとして考える場であり、直ぐに参加を決めました。

日本の様々な企業や団体ではイノベーションによる新たな事業の在り方が検討されています。国際協力においても同様です。既存の枠組みにとらわれない新しい手法、技術や人材と共に、今後も日本と途上国を繋ぐ国際協力の輪が日本全体に広がると良いなと思います。その一助をすることが、今後私が取り組んでいきたいことです。

セネガルでOJTをした際の一枚
セネガルでOJTをした際の一枚

国際協力機構
企画部イノベーション・SDGs推進室
JICA Innovation Quest運営事務局
川田悠太郎

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