第65号 PARTNERコラム国際協力にも通じるスタンスを決めること

私は現在、2つのNPOで仕事をしています。1つは世界中の社会起業家の事業促進と、社会課題解決に携わりたい学生の育成を目的とした人材育成プログラムを運営している認定NPO法人very50の仕事です。もう1つは2011年から続くシリア人道危機に対しての人道支援と、政策提言を行うNPO法人Stand with Syria Japanの仕事です。

カンボジアの社会起業家支援のために現地で活動している様子
カンボジアの社会起業家支援のために現地で活動している様子

社会起業支援というビジネス的な活動と、人道支援・政策提言というNPO活動の2つの側面から国際協力に関わっている中で、私がとても大切だと感じていることは「スタンスを決めること」です。

国際協力に限らない話ですが、ますます複雑化している社会の中では、立場が多様化しており、何が正解で何が不正解なのか、何が正義で何が不正義なのか判断が難しくなっています。 本質的な社会の形に向かっているとも言えますが、そんな今の社会ではそれぞれの個人が「正しい」ことを決める立場になっています。そこで重要なのが「スタンス」だと感じています。「スタンス」とはつまり、自分自身の知恵や経験に基づく物事の判断基準であり、自分なりの「正しい」を見つけるために必要なものだと思います。

ビジネスによって社会課題を解決することを目指す社会起業家の人々も、自らのスタンスを明確にし、ビジネスによって生み出す「正しい」インパクトを求めて活動していることを日々実感しています。また、シリアでのNPO活動も特に政策提言に関しては、我々なりの「正しい」を貫く行為だと考えています。

支援しているシリア国内避難民キャンプの子どもたち
支援しているシリア国内避難民キャンプの子どもたち

国際協力の仕事は世界の最前線であるが故に、多くの仕事場・フィールドは正しさと正しさの波がぶつかる境界線であることが多いと感じています。だからこそ、まずは自分のスタンスを決めること、そしてそのスタンスを基に一歩踏み出してみる能力が非常に重要になると感じています。また、スタンスを決めるための勉強ももちろん大切だと思います。

国際協力業界の中ではまだまだ若輩者の私ではありますが、これからもスタンスを決めることを胸に刻んで活動を続けていき、自分だからこそ生み出せる価値を追求していきたいと、決意の意味も込めてコラムを書かせていただきました。
これから国際協力業界に入る方の学びに、そしてこの業界に長く居る方の再発見に少しでも貢献できていたら幸甚です。

認定NPO法人very50 / NPO法人Stand with Syria Japan
General Manager / 理事
杉谷遼

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