第84号 PARTNERコラム「大丈夫、なんとかなる」~モザンビークのよくある出来事~

私がアフリカに興味を持ったのは大学生のときでした。
大学生時代は、バックパック1つでいろいろな国を旅行したのですが、縁がなくアフリカ大陸に上陸できずにいました。未知なるアフリカ大陸に思いを募らせ、アフリカでフィールド研修を実施している大学院に進学しました。大学院修了後は、モザンビークでインターンも行いました。社会人になってからはプロジェクトの担当が南米やアジアだったのですが、その後再び縁あってモザンビークの地に戻り、現在モザンビークで紛争や災害の被災者へ緊急人道支援を行っています。

インターンで養殖農家から聞き取り調査を行う
インターンで養殖農家から聞き取り調査を行う

「海外の人は時間にルーズ」と聞くことがあると思いますが、特にアフリカでは独特の時間が流れていると感じます。そのため、プロジェクトもなかなか計画通りには進みません。国際協力の現場で働かれている方や開発途上国に行かれたことのある方は既にご想像がつくと思いますが、停電、インターネットの不具合、車や機械の故障、雨によるアクセスの遮断は日常茶飯事です。家族・親戚が多いので、身内の不幸でお休みを取られることも多いです。特に決裁権を持つ人がお休みになると、仕事が全く動かなくなります。

ところが、モザンビークの人はあまり焦ることがなく、急いでいる時もお茶を飲んで世間話を始めたりします。急がなければならないのに、返事はいつも「大丈夫、なんとかなる」です。なんとかならなかった場合は「仕方ない」。「仕方ない」時の理由もスラスラ出てくるので、モザンビーク人はその一連の流れに既に慣れているのです。

モザンビークでの事業地にて
モザンビークでの事業地にて

そんな訳で物事が計画通りに進まず、頭を抱える毎日が続き、「またか」とイライラが募ることもありますが、徐々に、次の事態を想定して計画を立てられるようにもなってきました。計画よりスムーズに物事が進んだときは喜びもひとしおです!

建設した井戸の水を汲む様子
建設した井戸の水を汲む様子

一時は、「やる気がないのでは?」とイライラし、モザンビークが嫌いになりかけましたが、最近はツッコミどころがあり過ぎる言い訳でさえ笑えるようになりました。モザンビーク人を愛おしく思えるようになり、モザンビークにより一層魅了され始めたと感じています。まだまだ想定外のことも多いですが、「なんとかなる」と、モザンビーク人の性格とモザンビークでよく起きることを見越して事業を実施していくのが私の楽しみでもあります。

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
海外事業部 モザンビーク事務所
岩野 奈緒

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