第98号 PARTNERコラム「外部環境が原因で努力できない人」を地球からゼロにする

私が国際キャリアを志したのは2018年です。元々2014年の東京大学卒業と同時に、民主主義や資本主義を初めとした既存の枠組みへの疑問と、その中で何をすべきか分からない中で他人に影響を及ぼすことが怖いという想いから就職せずにバックパッカーをしていました。目的もなく行きたい場所に行き、とどまりたい場所にとどまる日々を重ねる中で、様々な人と親しくなりました。その中で「生まれた環境が原因で努力することすらできない人」と出会いました。夢や目標、希望を持っていても、その人は11歳の時点で「ここに生まれたから叶うことは無い」と諦めていました。本人の努力不足や怠惰ではなく、私自身もここに生まれていたら同様に諦めるだろうという“環境”が原因でした。この状況だけは解決しなければいけないと感じるようになり、「外部環境が原因で努力できない人」に取り組む機会を提供することを決めました。

最初は日本で若者の就職支援をする会社に勤務し、CSR活動の日本代表として世界70カ国の同僚と共に活動をしていました。やりがいを持って日々を過ごしていましたが、努力したくても「周囲の環境が原因で努力できない人」の現状を知りながら他のことを続けることはできず、そのような人がいる場所に身を置くことに決めました。

インドビハール州の村でオンライン教育を導入する様子。
インドビハール州の村でオンライン教育を導入する様子。

国という概念で人をカテゴライズすることが好きではない私は、活動する地域を状況で選びました。その場所は現在も生活し、仕事をし、活動をしているインドです。インドには絶対的貧困層の方が5億人以上いるとされ、カーストを背景としてあまり支援活動が行われていないように思われています。「カーストに縛られない外国人としてやれることがある」と私は考えました。また、GDPが世界5位となっていて国際支援の介入は薄れていくだろうことから、政治・外交に縛られることない人間が、支援が届いていない人と関わる必要性も感じ、インドに決めました。

インドの教育プロジェクト先に定期訪問し、教育の質を確認。
インドの教育プロジェクト先に定期訪問し、教育の質を確認。

最初から先進国の知見を押し付けるのではなく、まずは現地の村やスラムに入り、共にご飯を食べ、祭りに参加し、一人の人間として信頼し合える関係を構築し、その中で課題を共有してもらい、共に何をすべきなのかを議論し、活動しています。

インド国内外、現在の活動地域か否かにとらわれず、「外部環境が原因で努力できない人」がいて、共に解決しようとする人々と活動できる場所であれば、私はどこへでも活動を拡大したいと考えています。誰もが、辛く苦しい状況でも、もがきながら何かしらに向けて努力したり休んだりすることができる世の中を創っていくため、活動し続けたいと思います。

寄付品を届けた時の様子。
寄付品を届けた時の様子。

NPO法人結び手
福岡洸太郎

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