子どもたちのために何かしたい。とにかく一歩、飛び込んだ。

松岡 拓也さん

国際協力NGO/NPO 特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 30代

  • NPO/NGO スタッフ
  • 保健医療
  • キャリア年表

    大学学部生

    2002~2007年

    外国語学部英語専攻(スペイン語副専攻)。1年間休学し、提携大学(ニューヨーク州立大学)に交換留学。

    民間企業

    2007~2009年

    大手非鉄金属メーカーにて、海外大手アパレルメーカー向けのマーケティング業務に従事。

    海外協力隊

    2009~2011年

    ボリビアにて村落開発普及員として活動。行政、現地NGOと協力し、学校給食改善プロジェクトや衛生教育、女性グループの収入向上活動などを実施。

    学生

    2011~2012年

    旧アジア経済研究所開発スクール(旧IDEAS)にて開発専門家養成の研修課程を修了。

    NGO職員

    2012年~現在

    ワールド・ビジョン・ジャパン支援事業部所属。2017年から現在まで、カンボジア駐在員として勤務。

    現地住民、スタッフ、支援者…。途上国の現場で、様々な人とつながり学ぶ日々

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    大学時代にバックパッカーとしてアジアや中南米の国々を旅し、それぞれの地で大きな貧富の差に衝撃を受けました。そして、そこで生きる人々、特に子どもたちのために何かできることはないかと考えたのがきっかけです。今から16年前、タイ国境から陸路でカンボジアへ入りました。国境を越えた途端、隣国であるにも関わらず、明らかにタイとは違うカンボジアの様子に驚きました。車窓からは地雷の標識がいくつも見え、道端には手足のない方々や物乞いをする子どもたちがたくさんいました。現在のカンボジアとはかなり異なる状況です。それから大学が長期の休みに入る度に旅をし、大学4年の時にインドのコルカタにあるマザー・テレサの修道会の施設でボランティア活動をし、障がいを抱えた子どもや、親に捨てられた子どもと接する機会を得、いつか何らかの形で国際協力に携わりたいという気持ちが強まりました。

    現在の業務を、どのように選ばれましたか? これまでのキャリアの積み方、キャリア選択における軸や考え方をお聞かせください。

    国際協力の世界にキャリアチェンジしたいと思ったのは、大学卒業後、民間企業で働いていたときです。海外とつながり、途上国でのビジネスもできるような仕事がしたいという気持ちからグローバル企業へ入社しました。しかし、働く中で、カンボジアやインドで出会った子どもたちや、ビジネスではなかなかリーチしづらいところで暮らす人たちのために働きたいという気持ちが一層強くなり退職し、海外協力隊に応募することにしました。とにかく一歩、その世界に足を踏み入れてみようという感じで、綿密な計画や長年の夢と勉学の積み重ねからではなく、勢いで飛び込みました。

    現在は国際NGOワールド・ビジョン・ジャパンで働いています。子どものために、コミュニティに根差した活動を、キリスト教主義に基づきながら実施する団体です。海外協力隊の経験から、「草の根レベル」で現地住民と共に事業を実施したいという思いは強かったです。また、学生時代から、近所の教会で小学生向けのキャンプ、餅つき大会、クリスマス会といったイベントの企画・運営に携わっていたので、「子どものために働きたい」という思いで今のNGOで働くことを志しました。私の場合は、大学やその後のIDEAS(アジア経済研究所開発スクール)において、ある開発分野について特化して学びを深めてきたわけではないですが、現在の職場では、母子保健、栄養、水衛生、教育等と実に幅広い分野の事業に関わることができ、専門性をもったスタッフ、外部の協力者(他援助機関、研究者、企業等)から教えていただきながら、業務を進める中で日々学んでいます。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    カンボジアに駐在し、日本政府のNGO連携無償資金協力による 「プレアビヒア州における母子保健・栄養・水衛生改善事業」 のプロジェクト・マネージャーを務めています。その他、個人および企業によるご支援を活用した自己資金事業の管理も担っています。カンボジアにおいて子どもたちがどのようなニーズを抱えているかの調査、事業の形成、カンボジア人スタッフによる事業チームの形成、チームビルディング、そして彼らと共同での事業実施、日本政府や支援者(ドナー)への報告書作成・提出という全てのプロセスに関わっています。事業期間中、様々な内部・外部要因の影響を受けつつも、いかにして計画・予算通りに、各スタッフの士気と能力を高めつつ、チームとして互いに信頼し、助け合いながら、事業目標(予防接種率の向上)を達成できるかを考え、日々奮闘しています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    この仕事の一番のやりがい、魅力は、目の前にいる一人の子ども、またその家族の生活にもたらされた事業による変化をこの目で確認できることです。支援を受けた人々の笑顔と感謝の声を直に受け取ることができるのは、この上ない喜びです。カンボジアでは5歳未満児の栄養不良がまだまだ深刻であるため、ワールド・ビジョンは地元でとれる食材を使って栄養バランスのとれた安価な食事の調理方法を親・保護者と一緒に学ぶという活動をしています。その活動を通じて、かつては重度や中度の栄養不良状態にあり、頻繁に体調を崩しがちだった子どもたちが、栄養豊富な食事を家庭で継続的に摂取するようになり、年齢に応じた適切な体重を回復し、以前よりも健康に暮らしているというケースが何件もあります。私自身、家庭では3児(6歳、3歳、6か月の男子)の父親なので、特に幼い子どもたちが健康に成長する姿を見られることは大きな喜びとなっています。

    もう一つの魅力は、アツい想いを持った支援者お一人おひとりと出会えることです。日本全国の企業・団体の皆様、長年に亘って支援してくださっている個人や家族の皆様、保育園・幼稚園・小中高などで、クラス全体、学校全体で世界の子どもたちに想いを馳せながら支援をしてくれている日本の子どもたち、また各界で活躍されている著名人の方々など、実に様々な方々と協力させていただいています。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    まず、カンボジア駐在の間は、現在担っている全ての事業を滞りなく実施し、現地の人々の生活にポジティブな変化をもたらすことが目標です。また、日本においても子どもの貧困や虐待といった問題が顕在化しているので、海外だけでなく国内の子どもたちへの支援にも将来的には取り組んでみたいと考えています。

    キャリアプランについて、率直なところ明確に描けているわけではありませんが、仕事と家庭の両方をバランスよく、どちらかを疎かにすることのない生き方をこれからもしていきたいと思っています。世界の子どもたちだけでなく、自分の子どもたちの成長もしっかり支え、見届けたいです。世界平和のためには、「家に帰り、家族を大切にしてあげてください」と語ったマザー・テレサの言葉を心に留めています。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    私のこれまでのキャリア選択・形成は他の皆さんにとってお手本になるようなものではないので、とてもアドバイスできるようなことはありません。学生時代から自分の専門分野を見極め、その道を究めていくのも良いでしょうし、修士号・博士号を取得し、国際機関でバリバリと活躍するのも魅力的でしょう。若いうちから専門性を磨き、英語プラスもう一つの外国語ができれば、世界的に活躍できる機会は広がると思います。ありがたいことに、国際協力の世界には、実に様々な背景をもってこの道に導かれた方々がたくさんいるように思えます。色々な方からお話を聞き、「本当に国際協力をしたいのか?」、「どんな形で協力をしたいのか?」、「誰のために協力したいのか?」といった問いを自らに投げかけながら、自分の思いと家族の思いとのバランスをとりつつ進んできたのが私自身の姿です。
    一つお伝えできるとすれば、現場経験を得られること、また様々なアクターが混在する国際協力の世界を垣間見ることができるという意味で、海外協力隊への参加はおすすめです。また、国際協力の世界でも日本社会においても元隊員は各方面で活躍しており、そのネットワークは貴重です。私の場合は、生涯の伴侶(妻)まで見つけることができ、海外協力隊には感謝してもしきれません(笑)

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