第38号 PARTNERコラムJICA Innovation Quest~多様な人々とゼロから「国際協力」を創造する~「ジャイクエ、はじめました」

2019年5月から8月にかけて、PARTNERコラムに事務局の想いを連載したJICAのオープンイノベーション企画「JICA Innovation Quest(通称ジャイクエ)」。さまざまな分野や業種の人々が集まり、それぞれが持つ技術やアイデアを駆使して、国際協力の新しい形を作り出すことは、JICA初の取り組みでした。このジャイクエの
第1回目のプログラムは、2019年11月から2020年2月にかけて実施されました。

ジャイクエの参加者は、食品メーカー、商社、ベンチャーなどの民間企業とJICA職員の合計30名。90名以上の応募者から選ばれました。スリランカ、ブータン、ペルー、マダガスカル、タジキスタンの5か国を対象に、各国チームが、SDGsゴール2「栄養改善や持続可能な農業推進」を達成するための事業アイデアを競いました。

具体的には、アイデアを生み出す手法を学ぶ1泊2日の合宿を行った後、約3ヵ月のグループワークでアイデアを練り上げました。住民へのアンケート調査や、自主的に現地に渡航したチームもあり、各チームともに現地の生活スタイルや課題を理解した上で、問いの切り口を捉え直し、知識・技術の普及やインフラ整備にとどまらない「人間中心」発想のアイデアを創出しました。

2020年2月22日に実施された公開イベント「ファイナル・プレゼンテーション」では、各国チームより、プログラムを通じて生まれたアイデアが最終発表されました。一般参加者用の約140席は募集開始後3日間で満席となりましたが、新型コロナウィルス感染症が拡大する状況を踏まえ、アイデアピッチの模様を、YouTubeを通じてライブ動画で配信しました。

発表イベントで最優秀賞に選ばれたのは、中央アジアにあるタジキスタンで肥満を防止する食器を制作するアイデアです。100名近くのタジキスタン人に食生活に関するインタビューの結果、油の多い肉料理中心の食生活や、大皿料理で客をもてなす文化などに伴い、生活習慣病が問題になっていることに着目。料理を盛るとかさが増して豪華に見え、かつ自然に油分が少なくなるよう皿の内部に溝を作るなど、工夫された食器の開発とその普及を提案しました。プロトタイプをいくつも作り、インタビューしたタジキスタン人から最も支持を得たデザインを提案したとのことでした。タジキスタンチームのメンバーは、「ジャイクエを通じ、多様性に満ち溢れるメンバーと現地の価値観に徹底的に寄り沿い、アイデアを形にしてみるというモノ創りの過程を経験できました。さらに、なじみのなかった国タジキスタンと出会い、自分にとって国際協力の扉を開けるきっかけとなりました。」と語っています。タジキスタンチームは、今後、現地での調査を実施予定。JICAとしても今後もアイデアの事業化に向けてサポートを行う予定です。

2019年度に始まったジャイクエは、2020年度にも新たな形で第2回目を実施予定です。多様な人々とゼロから「国際協力」を創造することを目的としたジャイクエを、ぜひとも引き続き応援頂けますと幸いです。

ファイナル・プレゼンテーションの様子

<リンク集>

・JICA Innovation Questホームページ
https://www.jica.go.jp/aboutoda/sdgs/jiq/index.html

・ファイナル・プレゼンテーションの様子(PR Times)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000024469.html

・ファイナル・プレゼンテーションの様子(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=7naQFP_tNIk

JICA Innovation Quest チーム
ガバナンス・平和構築部 兼 企画部
齋藤友理香

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