第95号 PARTNERコラムオシャレにまつわるエトセトラ-ワクワクと経済、そして女性の地位向上について-

お‐しゃれ【御洒落】
みなりや化粧を気のきいたものにしようとつとめること。また、そうする人。(広辞苑第六版)

みなりをととのえ、化粧をしたりすることは、楽しい。しかし近頃のオシャレ業界は厳しい目にさらされているのかもしれません。例えば、衣料生産過程で発生するCO2排出は環境問題の懸念材料となっているようです。化粧品でいえば、動物実験をしていないことをアピールする製品もあります(だとすれば化粧品の大半は動物実験をしているのかしら?私、動物大好きなのに!)。
どうやらオシャレはネガティブな一面も持ち合わせているようです。そんなオシャレをもう少しポジティブに見ていきたい。今日は国際協力の現場から3つのオシャレ通信をお送りします。

1.当たり前の生活だったからできるオシャレ。
2016年から2019年まで、中東地域で難民・国内避難民支援の現場で働いていました。ある年、キャンプ居住者が厳しい冬を乗り切れるよう冬物ジャケットを配布したことがあります。生活必要物資が多く求められている中で、優先順位が低い支援物資かもしれません。しかし居住者たちは配布されたジャケットを着て、ファッションショーをしてみたりして、笑顔で帰っていきました。彼らもキャンプ生活になる前は、街で衣料品を買い、それを着て、ワクワクと心が躍っていた日もあったはず。ジャケットの配布は越冬支援という意味だけでなく、いつかあったオシャレ心の支援でもあったと思っています。

支援をしていたキャンプ。冬は冷たい風が吹く(2016年武田撮影)
支援をしていたキャンプ。冬は冷たい風が吹く。(2016年武田撮影)

2.オシャレがあるから、家計が助かる。
2022年3月から公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンの職員としてトーゴへ赴任しています。赴任地のソコデは、首都から6時間以上かかるところです。既製品の洋服は、古着しかありません。そのため、現地の人は布を買い、仕立屋に頼んで洋服を仕立てます。この仕立屋、20mに1軒はあるのではないかというくらい乱立していますが、既製品の洋服がないソコデではどの仕立屋も繁盛しているようです。つまりオシャレ経済が成り立っています。仕立屋は全体的に女性の方が多いです。ある女性は「子どもの足に障害があって、外に働きに出られなかったけど、洋服を作って家計を助けたのよ」と話してくれました。誰かのオシャレ心が、誰かの家計の助けになる、そんなことをトーゴで実感しています。

3.オシャレで気を引き締める。
さて、3月8日は何の日かご存じですか?この日は国際女性デーです。トーゴのプラン・インターナショナルの職員から「はい、プレゼント」と言われ、国際女性デーのロゴが入ったドレスをプレゼントされました。トーゴ事務所では職員全員が国際女性デーのロゴ入りの服を着て出勤するのが3月8日の行事となっています。事務所全体が華やいだ様子に包まれる一方で、女性の地位向上のために活動するという意識を、衣服で体現していることに、とても身の引き締まる思いでした。オシャレを通じて、自らのミッションを再確認することもできるのですね。

国際女性デーの日。ロゴ入りドレスを着て記念撮影。
国際女性デーの日。ロゴ入りドレスを着て記念撮影。
ピースサインに見えるものは「イコール=(平等)」を表す。

また、どこかで機会がありましたら、国際協力のオシャレ通信をお送りします。お楽しみに。

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
オシャレ通信員(非公式)
武田めぐみ

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