様々な経験が開発コンサルタント企業で輝く 異業種からの転職組が見る開発コンサルタントの現場とは ~開発コンサルタントで働く~

荒木 憲さん

開発コンサルティング企業 アイ・シー・ネット株式会社 40代

  • 開発コンサルティング企業 コンサルタント
  • 資源・エネルギー
  • インタビュー

    現在の業務を、どのように選ばれましたか? これまでのキャリアの積み方、キャリア選択における軸や考え方をお聞かせください。

    この業界で働く方は早い時期から国際協力に対して高い志を抱いている方がほとんどだと思うのですが、実は私自身は国際協力を目指していたというわけではないのです。応募当時はかねてからやってみたいと考えていた観光での産業振興を行おうと経営コンサルタントとしての独立を目指したのですが、経験も人脈もほとんどない状態でやっていくのはさすがに難しかった。次の方向性を探していた時に、たまたまアイ・シー・ネットの新聞広告を見たんです。『コンサルタントになりたい未経験者募集』という内容で、こういう職種が求人広告に掲載されること自体が珍しいので、話だけでも聞いてみたいと思って応募しました。
    私は、大学卒業後、電力会社入社し、退職後、英国留学を経て日系大手半導体メーカーに転職しました。そして、30代に入り、観光コンサルティング会社を起業しました。もともと国際協力を目指していたわけではないのですが、海外との接点は幾度となくありました。電力会社では国際部門で中東や東南アジアといった途上国の海外インフラ投資案件に関わっていましたし、英国留学後は、日系大手半導体メーカーの経営企画部門で、グローバル市場分析や企業全体の戦略策定に携わっていました。観光コンサルティング会社を立ち上げたのも、休みを見つけては世界各国を訪れる中で、観光分野が今後ますます日本で発展する産業となる可能性が高いと肌で実感していたからでした。
    アイ・シー・ネットでの面接では自分の経歴を振り返って、このようなことをやってきました、こういうことならできるかもしれません、ということをお話しました。本来なら、もっと、国際協力のコンサルタントとして、こういうことをしたいと強くアピールするのが良かったのでしょうが、当時は国際協力について漠然としか、わかっていませんでした。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    入社してちょうど一年が経ちました。この一年は、案件受注のためのプロポーザル作成、契約書等書面の取り交わし、経費の精算といった国内での後方支援作業が中心でした。海外出張としては他のコンサルタント会社と共同で送電線建設の準備調査を行うため、ケニアに行きました。このプロジェクトは円借款の案件だったので、プロジェクトの採算性があるかどうかを判断する経済分析のポジションです。電力会社の経験がなければいきなり行くことはなかっただろうと思いますし、現地でも自分の職歴が活きて、慣れない面は多々ありましたが、思っていたよりスムーズに作業ができました。
    求められる英語力の高さにはとまどいを感じましたね。語学力はそれまではそれほど悪くはないと自負していたのですが、この業界で要求されるレベルは本当に高い。たとえば、TOIEC900点は世間的に見れば一目置かれる存在になると思うのですが、この会社のなかだと、目立たなくなってしまう。また、実際の仕事でも、現地では、思ったようにコミュニケーションがとれませんでした。今までも英語で文書を書くこともありましたし、これまで在籍していた会社で多くの技術者が外国人技術者とのコミュニケーションを比較的円滑に図っていたのを目にしてきたので、私自身、少し甘く考えていたような気がします。しかし、これは技術者同士の共通の言語があるために、それほど英語のスキルがなくてもコミュニケーションがとれていたのですね。ですから相手国の、必ずしも考え方や専門性を共有していないクライアントとのコミュニケーションでは、自分のいいたいことが思ったように伝わらなかったことにとまどいました。これは今後海外での調査経験も積んで補っていくことになるのでしょうが、コミュニケーションスキルをどのように積んでいくかは関心事項ですね。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    昨年、中小企業診断士の試験に合格して、この春に登録となります。中小企業診断士は国際協力の業界、とくに産業振興の分野で有用な資格です。起業していたときにもこの資格の必要性を感じていましたが、今後、国際協力の仕事でも大いに活かせるのではないかと思っています。
    また、この夏にエネルギー関連の案件に携わる予定です。相手国政府の気候変動対策の戦略立案を支援するアドバイザーです。こうした経験を積んで、エネルギー分野や中小企業振興など幅広く産業開発の関連でコンサルタントとして海外に出ていければと思っています。そして、いずれは、他業種から入った人間として、日本の民間企業と国際協力の橋渡しをできたらいいなと考えています。


    ※本記事は、2009年8月1日時点での情報となります。

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