途上国の教育問題を根本から解決したい。教師からの転進。

大橋 悠紀さん

開発コンサルティング企業 株式会社パデコ 30代

  • 開発コンサルティング企業 コンサルタント
  • 教育
  • キャリア年表

    大学学部生

    2006~2010年

    欧米文学を専攻。子どもと英語が好きだったので、教師を目指した。

    高校教師(英語)

    2010~2015年

    校内分掌は保健部、進路指導部、担任(1~3年)を担当。部活動はソフトテニス部を担当。

    イギリス留学

    2015~2016年

    英国サセックス大学へ留学し、教育開発学で修士号を取得。

    開発コンサルタント

    2016年~現在

    JICAの技術教育プロジェクト(カンボジア)や文科省の調査に関わる。2018-19年(1年間)産休・育休を取得した。

    JICAの研修で訪れたタンザニアで転機。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    高校教師として勤務して2年目、JICAの教師海外研修でタンザニアに渡航する機会に恵まれました。参加当初の目的は、現場で見聞きしたことを国際理解教育や普段の授業に活かすためでした。しかし、訪問先の小学校で、現地の先生が学校に来ないために授業が出来ず、その先生の代講を海外協力隊の方がしているという光景を目にしました。現場の教育環境を改善しようと日々奮闘している協力隊の方々に感銘を受けるとともに、なぜ先生は学校に来ない(来たがらない)のか、その根本的な原因を解決しないと状況は改善しないのではないか、と疑問に思い、まずは途上国の教育について大学院で学ぼうと決めました。

    現在の業務にたどりつくまで、どのようなキャリアを積んでこられましたか?

    子どもが好きで、子どもの将来をサポートする仕事をしたい、という想いが根底にあるので、ずっと教育分野の仕事に携わっていくというのがキャリア選択の軸です。人は、生まれる国も育つ環境も異なりますが、自分のコントロールできない事(例えば、紛争や貧困など)が原因で、幸せになったり夢を実現したりするチャンスを失ってほしくありません。それは日本でも世界でも変わりませんが、今は海外の教育分野で自分にできることをしていきたいと思っています。海外でしばらく開発コンサルタントとして経験を積んだのち、将来は、大学等で国際協力を志す日本の若者の育成に携わりたいと思っています。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    入社~産休・育休を取得するまでの2年弱は、JICAのカンボジア教員養成大学設立のプロジェクトに、業務調整というポジションで携わり、プロジェクトの立ち上げから、メンバーの渡航管理、現地ワークショップの企画・運営支援などを行っていました。育児休業が明けてからこれまで(約半年間)は、国内の教育委員会や学校を対象とした文部科学省の調査案件(主権者教育実施状況調査)や、JICAのイラン職業分類と職業評価に関する日本での研修など、国内業務に携わってきました。今後は、新型コロナウイルスの影響でしばらく渡航はできそうにありませんが、JICAのアフリカ地域での教育調査案件に携わる予定です。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    海外の業務では、教育省など現地のカウンターパートと一緒になって、教育の核となるカリキュラムや教科書の編纂、教員養成制度の整備などその国の教育改善に取り組めることが魅力だと思います。国内の業務では、文部科学省、教育委員会や学校、大学や民間企業など、様々なアクターと関わりを持ちながら仕事をすることができ、海外の教育でも活かせる技術や知見などを学べることが魅力です。また、私の周りのシニアの開発コンサルタントの方は非常にプロ意識が高く、途上国の教育を良くしたいという情熱のもと、現地での技術支援や報告書等成果品の作成に妥協を許しません。そのような仕事ぶりを間近で見て、自分もそれを目指して仕事ができるのは、非常にありがたいことです。

    今後のキャリアプランをお聞かせください。

    まだまだ途上国での実務経験が浅いので、現場で経験を積み、プロジェクトの運営面でも、教育に関する技術面でも、一流のコンサルタントを目指して研鑽を積んでいきたいと思っています。仕事は、直接的に自分のやりたい仕事(例えば、私であれば、教師教育やカリキュラム・教科書の編纂等)にすぐに携われるということはないかもしれません。しかし、自分の将来の可能性を制限しすぎないためにも、任された仕事や携わった仕事には何であれ精一杯取り組み、いくつかの分野で一定以上の成果をあげておきたいと思います。新型コロナウイルス等の影響で世の中が大きく変わる中、必要とされる国際協力の形や内容、プレーヤーも変わると思います。そんな時代の流れに対応できるよう、多様な経験を積み、いくつかのプロフェッショナル分野がある教育開発の専門家を目指し頑張りたいと思います。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    新型コロナウイルスの影響で海外に渡航できない状況が続いていますが、国際協力の分野で何かしたいと思ったそのきっかけや問題意識を大切にして、自分にできることから行動に移していくと良いと思います。この業界は、様々な業種から転職されてくる方が多く、他業種で身に付けた知識や技術を、途上国でも活かすことが出来ます。ですので、このご時勢、すぐに海外で何かできなくとも、日本の企業などで自分が売りにしたい能力や技術を磨いておくことは大切だと思います。また、コンサルタントの仕事に関して言うと、ライフステージに応じて仕事の内容を柔軟に変えることが出来ます。私の場合、育児休業明けは、文部科学省の調査やJICAの国内研修、海外で実施中のプロジェクト活動のサポートなど国内業務に携わりました。国内の教育関係者との関係構築や仕事経験は、今後海外の仕事にも活かせると思います。どんなライフステージでもどんな仕事段階でも、その時にしかできない仕事に高いコミットメントで励み、やってみたい仕事のチャンスが来たらしっかりつかめるよう、日々努力していくことが必要だと思います。

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