農村の人々に寄り添う仕事。やりがいと尽きない好奇心。

松浦 夏野さん

開発コンサルティング企業 日本工営株式会社 40代

  • 開発コンサルティング企業 コンサルタント
  • 農業開発/農村開発
  • キャリア年表

    大学学部生

    1998~2002年

    土木工学を専攻。防災研究所で水文の研究をしており、地下ダムサイトの地下水流動解析モデルを構築。

    大学院生

    2002~2004年

    環境マネジメントを専攻。タンザニアの山村地域に生活し、飲料水の利用実態を研究。

    開発コンサルタント

    2004~2008年

    農村開発における、灌漑施設整備及び水管理を中心に調査・計画・設計・施工管理案件に従事。2008-09年(7か月)第1子産休・育休。

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    2009~2017年

    子育てで長期の出張に出られなくなったのを機に、国内民間企業の海外進出を支援する仕事に従事。2010-11年(6か月)第2子産休・育休。

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    2017年~現在

    第2子就学以降、民間企業の海外進出支援だけではなく、広く海外のアグリビジネス開発の仕事に携わる。

    家庭と仕事のバランス、家族と一緒にベストを模索。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    物心ついたころから、近所の色々な境遇の子と接したり、世界の飢餓のニュースを見たりするにつれ、世の中にはすごく格差があると感じることがあり、できることなら弱い立場にいる人たちと一緒にいて、励ましたり、楽しくするための手伝いがしたいと思っていました。テレビなどで途上国の様子を見て、何かその国の人たちにできることがしたいと思うようになりました。医者になる、事業家になって寄付などで支援する、国際機関に勤めてプロジェクト形成などで支援する、など色々考えていましたが、高校の時「国際協力ガイド」で開発コンサルタントという仕事を知り、まさにこれだと思いました。

    現在の業務を、どのように選ばれましたか?

    開発コンサルタントになるために何か技術的な勉強をと思い、大学では工学部に進むことにしました。ぼんやりと途上国の農村部で生きるものと思っていたのですが、そのころは農村開発は農学部という頭がなく、インフラ的なものは土木だと思い土木工学を専攻しました。研究としては水文と水理の数値解析をしていたのですが、当たり前ですが対象が局所的でした。途上国の農村の全体像のようなものが学びたかったので大学院ではそれが学べるゼミに移り、タンザニアの山村地域に住み込んで水利用について調べていました。その後、NGO、国際協力機関、政府機関なども考えましたが、現地の人に深く関われて、それでいて計画側にも携われる開発コンサルタントの仕事を選びました。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    20代で子どもが生まれる前までは、農村開発案件でいわゆるハードと呼ばれる灌漑施設整備に係る調査・計画・設計・施工管理や、ソフトと呼ばれる組合や水管理強化の調査や活動に従事していました。

    子育てで長期の出張に出られなくなったのを機に、本邦企業の海外進出を支援する仕事(民間企業と協働で、事業化のための調査設計、実証調査実施、事業化支援などをする仕事)をするようになりました。子どもが少し大きくなってからは、本邦企業の海外進出支援だけではなく、現地政府プロジェクトのアグリビジネス開発支援など、アグリビジネス全般の仕事をするようになりました。民間企業の海外進出支援だけではなく、広く海外のアグリビジネス開発の仕事をしています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    数ある国際協力の仕事の中での開発コンサルタントの仕事の魅力は、一番現場に近いところで活動に携われることかと思います。現地で生活する人々の様子を肌で感じながら、生活が向上していく様子、人々が楽しそうに生きている様を見ることができる。これがやりがいかなと思います。また、様々な国の異なる案件に携わることができ、知的好奇心が満たされる、というか尽きることがないこと。いつも新しいシチュエーションで新しい課題にプロジェクトごとに異なるチームで取り組む、これもこの仕事の何よりの魅力かなと感じます。

    ワークライフバランスをどのように実現されていますか?

    大先輩に「仕事をやるか辞めるかを考えるのではなく、家族を最優先に続け方を考えたらいい」と言われ、以後常に、ゼロイチではない折衷案を家族と考え続けています。妊娠中と生後1年目までは海外出張には出ずに、研究所の調査分析業務や本邦研修などを請負いました。その後、子どもが小学校に上がるまでは、アサイン期間を2週間までとお願いし、民間案件の海外調査などに従事しました。幸い、本邦企業さんも海外に2、3カ月出張のような業務は不可能ですので相性が良かったかと思います。子どもを連れて出張に出たこともあり、その際は現地で信用のおけるベビーシッターさんを雇っていました。何がよいのかはわかりませんので、家族と会社の対話の中でいつも模索しています。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    今後は私のこの浅く広い(?)経験が生きるような仕事、まだわかりませんが、農村開発において官と民のリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)をうまく繋ぐような仕事がしたいと考えています。昔は国際協力といえばODAしかないような時代でしたが、今はソーシャルビジネス、SDGs投資など色々な形が出てきています。それらをうまく繋ぐことができればと思います。また、本業とは別に、女性開発コンサルタントの活動支援がしたいと考えています。今は、子どもを持つ女性コンサルタントの数もそれほど多くなく、続けたくても色々な難しさがあってできない人がほとんどかと思います。そんな人たちを支援できるような仕組みづくりや活動がしたいと考えています。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    以前先輩に、「この仕事を続けている限り無駄になる経験は一つもない」と言われたことがあります。どんなバックグラウンドもこの世界ではキャリアになると私も思います。だからキャリアを積む順番とか分野はそれほど悩まなくてもいいのかなと思います。ただ、どの立場で携わりたいのか、や、自分が何に喜びを感じるか、誰を喜ばせたいのかなど、自分をよく見つめることが大切かと思います。後はいろんな人や世界と付き合うことになるので、心と体を鍛えておくことも重要かと思います。また、何らかの国際協力関係で働かれている方に話を聞くのもとても良いと思います。皆さんとても親身に相談にのってくれると思います。

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