専門性より「興味×経験・スキル」で広げる自分なりの国際協力。

内藤 千愛さん

大学 東京藝術大学 国際企画課 30代

  • 大学 職員(教員・研究職)
  • 多岐にわたる分野
  • キャリア年表

    大学学部生

    2003~2007年

    言語学を専攻。

    民間企業

    2007〜2013年

    自動車メーカーの事務職員として、人事業務に携わる。

    海外協力隊

    2010〜2012年

    ザンビアで青少年活動隊員として活動(現職参加)。

    企画調査員(ボランティア事業)

    2014〜2016年

    JICAソロモン支所に派遣され、JICA海外協力隊の活動をサポート。

    NPO

    2017年

    JCCP(日本紛争予防センター、現在は特定非営利活動法人Reach Alternativesに名称変更)でケニアで活動。

    企画調査員(企画)

    2017〜2019年

    JICAカンボジア事務所に派遣され、援助協調や産業開発を担当。

    大学職員

    2020年~

    東京藝術大学の国際企画課に勤務(週3日)。

    個人事業主

    2020年~

    外国人労働者や受け入れ企業を支援。

    JICA事業の面白さを企画調査員で体感。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    一番のきっかけは、子どもの頃にテレビで見た難民キャンプのニュースです。この場に自分がいたらどう感じるんだろう、何をして欲しいと思うだろうという自己への問いかけから始まりました。そんな思いを持ち小学生になり、社会の教科書に載っていた海外協力隊(※以下、協力隊)の活動を読んで、やってみたいと考えるようになりました。現地に溶け込み、現地の人たちと同じ生活をするということに憧れていたんです。難民キャンプへの関心も「かわいそうだから何とかしたい」というより、現場を感じたかった。国際協力よりも、海外や異文化への関心が強かったですね。大学の時は、初海外でカンボジアに行きボランティア、翌年はウガンダでワークキャンプに参加しました。

    国際協力の最初のステップは何でしたか?

    協力隊には新卒で参加しようと思いましたが、周りの方のアドバイスもあり民間企業に就職しました。この選択は私にとって正解でした。社員教育を担当する部署で、その後のキーワードとなる「人材育成」やキャリアの積み方、仕事の進め方など多くを学びました。約3年働いた後、現職参加で協力隊としてザンビアで活動しました。協力隊では、未就業の若者が非行やドラッグに走らないようスポーツや文化イベントなどを企画・実施しました。私はその若者たちが、単にイベントに参加するのではなく、中心となって現地でボランティア活動を担っていくようにしました。「人材育成」ですね。協力隊の経験を経て、国際協力への関心がさらに高まりました。

    国際協力をライフワークにするターニングポイントは何でしたか?

    協力隊後、社会人と隊員の両方の経験が活かせると考えた企画調査員(ボランティア事業) (※以下、VC)を受験しました。VCは、JICAで国際協力がしたいと思うきっかけになりました。魅力はダイナミックさです。派遣されたソロモン支所は小規模で、VCとしての協力隊事業に関わる業務だけでなく他の事業の話も聞けてJICAの全体像を見ることができました。協力隊の時は、国際協力は現場で草の根の活動をすることだと思っていましたが、JICA事務所での勤務を経て「国際協力=国の発展のサポート」であり、日本という国として関わるJICAの公的な国際協力に面白さを感じました。そこで、在外事務所で案件形成や情報収集・分析などを行う企画調査員(企画)を目指しました。

    企画調査員(企画)ではどのような業務や経験をされましたか?

    カンボジア事務所の企画班で「企画・産業開発・パートナーシップ強化」と多岐にわたる分野を担当しました。援助協調担当としては、他ドナーやカンボジア内政・経済の情報収集を行い、産業開発では人材育成のプロジェクトも担当しました。総括的な班で仕事をしながら無償、技プロなどあらゆるプロジェクトを担当したことで、カンボジアにおける日本の外交的立ち位置や他国の視点など、広い視野を持ち仕事をすることを学びました。また事務所を代表してJICA事業を説明する場面もあり、政治・経済・国家戦略などカンボジアのあらゆる情報を把握する必要がありました。民間企業での経験は、共に活動するパートナーとのコミュニケーションに非常に役立ちました。

    これまで海外でキャリアを積まれていますが、現在は国内で外国人労働者受け入れ企業支援などをされています。国内に目を向けたきっかけは何ですか?

    講師(個人事業主)として技能実習生に日本での生活・日本での仕事の仕方について教えています。並行して大学で海外のパートナー校との連携強化に携わっています。来日する方々に日本を好きになってもらいたいと思っています。これまで海外で、現地の人に助けられながら仕事をしてきました。特に日本での留学や研修経験のある方は、親日でとても仕事がしやすかったです。日本を好きでいてくれる人たちの期待を裏切りたくない。それぞれの目標を持って日本に来た技能実習生がそれを叶えられるよう支援したい。「日本の常識は世界の非常識」ということや異文化の中で働くストレスを私自身が経験しているため、その視点を持ち現在の仕事をしています。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    コロナ禍での意識変化もあり、今後はさらに一人一人が経営者マインドを持って働いていくことが重要になると思います。私は一つの専門性を持って、それに沿ってキャリアを築いてきたのではなく、先輩方のアドバイスを受けながらその都度、そのタイミングでしか勉強、経験できないことがあるキャリアを選んできました。こうしてキーワードである人材育成を始め、経理やマネジメント、ウェブのスキルを身につけてきました。これまでの全ての経験がかけ合わさって、自分という「会社」「ブランド」があると思うので、オリジナリティを活かした仕事を今後もしていきたいです。そうしてさらにスキルを身につけ、再び別の地域で企画調査員(企画)もしたいと思っています。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    私は「どんな世界を作りたいか」という、自分なりのビジョンを持ちキャリア選択をしています。自分がどうしたいかを軸に周りの環境が良くなり、国際協力になればと考えています。日本以外の国に住んで働いてみると、多くの気付きを得られます。また国際協力は様々な層から関わることができます。行政、NPO、民間企業、公的機関だけではカバーしきれないところで活動する市民団体…どの層で「国の発展のサポート」を行うのが自分に合っているのかを考えてみると良いと思います。また私のように、分野の専門性ではなく社会人としての経験やスキルをかけ合わせて国際協力に携わっていく方法もあります。バランスの良い視点を持ち、様々なことを吸収できていると思います。

    ※本記事は、2020年12月時点での情報となります。

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