民間企業からの転身、知識や経験を積んで異なる仕事を架橋する。

矢追 秀樹さん

国際協力機構(JICA) JICAタンザニア事務所 30代

  • 企画調査員(企画)
  • 運輸交通
  • キャリア年表

    民間企業(海運)

    2008~2012年

    国際物流企業で北米と中米・カリブ海を中心に食糧や肥料、資源などの貨物輸送に携わる。

    NGOボランティア

    2011~2013年

    NGOにおいて、アフリカの貧困削減・平和構築に関わる。

    社会人学校

    2012~2013年

    開発教育学を学ぶ。NGOやJICAで働く人とのネットワーキングの機会となる。

    大学院

    2014~2015年

    英国大学院で農業・農村開発を専攻。

    JICA特別嘱託

    2015~2017年

    JICA社会基盤・平和構築部(当時)運輸交通・情報通信グループにて勤務。

    企画調査員(企画)

    2017~2020年

    JICAタンザニア事務所で社会経済インフラ分野を担当。

    海運業で得た交通インフラの知見をアフリカの貧困削減に活かす。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    きっかけは大学時代、アフリカ地域の紛争の歴史や貧困問題に興味を持ち国際協力の本を読むようになりました。大学卒業後は、国際的な仕事がしたいという思いから貨物船の運行会社に就職。当時の仕事は日本や欧米諸国の取引先とのやり取りが中心でしたが、徐々に「途上国で働きたい」という思いが大きくなっていきました。入社3年後から社会人学校で開発教育について学んだり、NGOでボランティアをしていました。そこで、NGOやJICAで働く人との出会いに背中を押されて、国際協力を仕事にしたいと思うようになりました。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    はじめはNGOの現地駐在ポストを探していましたが、多くの応募要件で修士号が必要とされていたため大学院に進学。修士課程修了後もNGOや開発コンサルティング企業を中心に探しましたが、途上国での業務経験がなかった私には条件に合うポストがなかなか見つかりませんでした。より広く調べていく中で、アフリカの海事・港湾開発を担当するJICA特別嘱託を発見。私の業務経験が生かせると思い応募しました。JICA本部で業務経験を積んだ後に現地赴任することを想定したポストで、途上国での業務経験がなかった私にはエントリーポイントとしても魅力的でした。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    運輸交通インフラ分野で実施している事業の進捗管理や、新規事業形成のための情報収集や相手政府との協議、その他、東アフリカ共同体(※)に派遣されているJICA専門家の現地事務所担当者として調整業務を担当しました。東アフリカの複数の国をまたぐ国際幹線道路の整備や、国境管理施設の建設の現場に立ち会うこともありました。完成した道路や施設の情報をSNS・ホームページ上で掲載し、タンザニアや日本国内に広める広報活動も精力的に行いました。
    ※タンザニア・ケニア・ウガンダ・ルワンダ・ブルンジ・南スーダンの6ヵ国が加盟する地域共同体のこと。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    特別嘱託として担当していたタンザニアの港湾事業の形成に、企画調査員として引き続き携わりました。タンザニア政府は大規模な事業計画を描いていたものの、事業規模の観点から協力内容を絞り込む必要がありました。相手の意向を尊重しつつも、現地の状況を冷静に見極め、どの程度の設備規模が妥当なのかを粘り強く協議。大変でしたが、プロジェクトの絵姿を一緒に考えていく過程はやりがいがありました。企画調査員には、近隣国まで含めた地域の開発を広い視野で考えることが求められます。JICAのネットワークを活用して相手国政府や国際機関、民間企業などから幅広く情報を収集し、関係者間の調整ができるのは企画調査員ならではだと思います。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    2020年11月からはモザンビーク事務所に赴任(※)し、インフラ・経済開発に従事します。今後のキャリアとしては、その時々の選択肢の中で自分が一番貢献できるところで働きたいと思っています。特に今までの業務経験がある運輸交通分野については引き続き勉強して、その分野で自信をもって働けるようになりたいです。
    ※2020年11月からJICAモザンビーク事務所の企画調査員としてインフラ・経済開発を担当。本記事は前ポストのもの。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    国際協力業界は、多様なバックグラウンドを持つ方がそれぞれの経験を生かして活躍しています。明確な目標に向かって一貫して経験を積んできた方もいれば、異業種からキャリアチェンジする方など様々です。私も民間企業からの挑戦でしたが、橋渡しとなる経験や資格を得ることで、また多くの人との出会いもあり、ゆっくりとですが目標に近づくことができました。キャリアチェンジに迷っている方も、まずは目の前の業務を選り好みせず、真剣に取り組むことが重要だと思います。日々の業務と将来に向けた取り組みを両立するのは大変ですが、乗り越えたときに得られるものは大きいと思います。

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