森林分野による気候変動対策。加速する動きを現場の取り組みへ。

野村 卓矢さん

開発コンサルティング企業 日本工営株式会社 30代

  • 開発コンサルティング企業 コンサルタント
  • 自然環境保全
  • キャリア年表

    大学生

    2009年~2014年

    早稲田大学人間科学部で熱帯林保全学を専攻/英国サセックス大学に学部留学し、開発学を専攻

    開発コンサルタント

    2014年~現在

    日本工営(株)にて、JICAやアジア開発銀行の森林・自然資源管理分野の調査や事業実施管理を中心に従事

    「面白そう」という直感を大事に。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    学生時代は、ラオスでの熱帯林保全の研究、イギリス留学(開発学専攻)、ウガンダのマイクロファイナンス機関や日本の環境NGOでのインターンなど、様々な経験をさせてもらいました。これら経験の中で、複雑に問題が絡まっている「パズル」(社会課題)に対して、国籍も専門分野も異なるチームで取り組む面白さに気づいたことが今の仕事を選んだ一番の理由です。もともと地球環境問題には、大学生の頃から、社会が抱える本質的な課題として関心はありました。その課題へのアプローチを模索する中で、気づけば国際協力と呼ばれる世界に足を踏み入れていた、という感覚です。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    専門性を持って現場活動から政策レベルまでのアプローチができ得る、開発コンサルタントという職業に関心を持ち、日本工営の海外環境分野に取り組む部署に入りました。これまでJICAやアジア開発銀行の森林・自然資源管理分野の調査、事業実施管理の業務を中心に従事してきました。対象国や調査・プロジェクトのスキームによって、仕事の進め方や求められる能力も異なるため、常にインプットとそのアウトプットが求められ、大変ですが飽きることはありません(そんな余裕はいつになっても出てきません)。また、従来のコンサル業務に捉われない新規事業開発の動きもあり、そのような事業にも関らせてもらっています。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    昨年まで、ベトナムの国立公園を中心とした地域でのJICA事業に約5年間、立ち上げからコロナ渦での遠隔クローズまで携わったことが最も印象深いです。JICA・ベトナム関係省庁・国立公園周辺で暮らす人々、それぞれに主張・思いがあり、その間で奔走しました。森林保全体制強化に向けたドローン導入やユネスコエコパークに登録された対象地域のブランディング活動など、走りながら現地で必要な活動を検討・提案し、実施まで行う貴重な経験となりました。また、最近では、民間企業による気候変動対応の高まりを受け、森林分野からのカーボンクレジット創出に関する検討業務も進めています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    現場に近いからこそ、本当に必要な対策が見えてきますし、そのプロセスではいつも知的好奇心が刺激されます。例えば、ベトナムでは森林生態系サービスの支払いが制度化*されていますが、支払い額がそのまま住民のお酒代に消えてしまうことや、森林パトロール活動が必ずしも効果的に行われていないといった実態が見え、様々な制約下で改善策を検討しました。また、森林分野からのクレジット創出の取り組みは、近年動きがとても加速しており、大変ではありますが、学生の頃から関心のあったこの分野に関らせてもらっていることは有難く、そして面白いです。

    *森林生態系が提供する各種サービス(水資源、気候調節やレクリエーションなど)の価値を適切に評価し、それに対する受益者(水力発電事業者など)からの支払いを、森林保全活動や地域住民の生計向上に役立てることを目的とした仕組み。ベトナムでは2011年にアジアで初めて国全体を対象に導入された。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    頂いたご縁を大事にしながら、やるべきことに全力で取り組んでこそ、次の面白い展開につながると考えています。働き始めた当初は、キャリアプランに関して「目標を常に持って突き進まなければ」とどこか焦っていたところがあったのですが、この世界で楽しそうに仕事をされる方々・尊敬する方と話をさせて頂く中で考えが変わっていきました。これだけ不確実性の高い社会なので、あまり先のことは考えず、面白そうなことを選び、面白くなくとも面白くなるように努力して、そのプロセスを楽しむ。なかなか実践は難しいですが、そんな心構えを持てる人でいたいなと思います。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    あまり先のことは考えずと書きましたが、「パズル」に対して自身がどの立場で関りたいのか、向き不向き含め、そこは慎重に考えるべきだと思います。そのためには、当たり前ですが様々な人の話を聞いて直接情報を集めることが一番です。あとは、どの分野でもそうだと思いますが、とりわけ国際協力の世界は、自分ではコントロールできない要因に振り回されることが多々あります。「与えられた条件でベストを出すだけ」くらいの良い意味での割り切りを持つことも大事かもしれません。

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