民間企業マーケティング職から国際NGOのファンドレイジング職へ。

吉田 幸治さん

国際協力NGO/NPO 国境なき医師団 50代

  • NPO/NGO スタッフ
  • 保健医療
  • キャリア年表

    大学学部生

    1988~1992年

    文学部で英米文学を専攻

    国内教育企業

    1992~1997年

    地域セールスプロモーションや経営管理

    外資民間企業

    1998~2004年

    欧州のエンタープライズソフトウェア企業で総務・購買、経営企画と事業開発

    外資民間企業

    2005~2010年

    欧米のコンサルティングやハードウェア企業で業開発、マーケティング

    国際人道援助団体

    2011年~現在

    ファンドレイジングディレクターに就任

    医療援助で人々の苦悩を和らげる。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    国際協力に興味を持ったきっかけは、国境なき医師団で現職を開始したことです。私の場合は、PARTNER「キャリア図鑑」読者の多くの方のように、早い段階で国際協力に興味を持ち、その分野で積極的にポジションを探していた訳ではありません。今の仕事は、「仕事を選ぶ上で、何を得ることができるか」というバランスを考えた時に辿り着いた場所です。私は30歳前後の頃に、仕事を選ぶ際の基準を大きく3つ設定しました。①生活の糧、②自分の成長、③社会への還元というものです。20代から30代前半は、自分や家族の生活基盤の確保は必須なので①と、スキル・経験や実績作りで②という2つを重視し、③は相対的に優先度を下げるという決断をせざるを得ませんでした。現職では①は必要な分を満たし、③と②に重きを置いたバランスです。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    国境なき医師団の職員になる以前は、民間企業で経営企画、事業開発、マーケティングを中心に歩んできました。大学卒業後は国内教育業界に就職し、6年間ほど地域セールスプロモーションや経営管理を担当しました。その後14年間は、欧州のエンタープライズソフトウェア企業で総務・購買、経営企画と事業開発に携わった後、米国ITコンサルティング企業で経営企画、事業開発、マーケティング&アライアンスを経験。欧米経営コンサルティングファームで事業開発やプロジェクトマネジメント、米国ハードウェア企業でのアジアパシフィック地域CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)/マーケティング担当を経て、2011年、国境なき医師団日本のファンドレイジングディレクターに就任し、現在に至ります。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    ファンドレイジングを担当しています。国境なき医師団の活動を資金面で支えることがミッションです。2020年の必要資金は全世界で約2300億円で、日本ではそのうち約130億円をお預かりしました。団体の独立性・公平性・中立性を棄損しない意思決定や活動を担保するためには、殆どの資金を民間から集める必要があります。そのために、日本の皆さまに医療が届かない世界の状況を知って頂き、そこに対して国境なき医師団が実施している活動をお知らせします。それらを理解して頂いた上で、寄付を通じて私たちの活動に参加して頂く選択肢を提示しています。スキル・経験的には、民間企業での事業開発やマーケティングの分野が大変役に立っています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    やりがいは、ダイレクトに人道援助活動の現場を支えることができる点です。資金がなければ活動はできませんし、団体の独立性・中立性・公平性も守ることができません。資金はお金の形で集まりますが、その実態は寄付者様の援助活動に対する想いです。その大切な資金をお預かりし、現地の活動に送る、そして活動の結果を寄付者様に報告する。このように現場と寄付者様を繋ぐことが仕事の魅力です。寄付者様から、「寄付金を有意義の役立ててくれている。国境なき医師団に寄付して良かった!」と言われた時は、まさに "Rewarding Job" だと実感します。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    私の志は、「自分がもらった幸運を使って人々の苦悩をやわらげる」ということです。これを実現するために、大きく2つの方向性を考えています。1つ目は、引き続き、国境なき医師団で人道援助での貢献方法を広げる、あるいは深堀するということです。海外派遣スタッフとして活動現場で人道援助を実践することと、日本や海外の事務局でファンドレイジングを続けるという選択肢です。2つ目は、ファンドレイジングコンサルタントとして人道援助のセクターの成長に貢献することや、他団体で働くという選択肢です。当面は1つ目の機会にチャレンジして行く予定です。2021年12月から6か月間は、南スーダンで人事/財務アドミニストレーターとして勤務します。帰国後は一旦、事務局での現職を継続しながらその次のキャリアプランを検討します。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    読者の皆様もご存じの通り、「国際協力」という言葉は非常に広い意味を持ちます。そして、多くの場合は「国際協力」そのものは手段であって、目的そのものではないかもしれません。まずは、皆様がどのような世界観でどのような社会を実現したいのかのビジョンを描くことが重要かと思います。そのうえで、手段として、「どのような国際協力が必要で、その中で皆様がどう役立ちたいか」を考えると、より良い結果が出やすいのではと考えます。
    国による格差はありますが、それぞれの強みや弱みを活かして、相互に尊重して助け合える社会を作ることを一緒に目指しましょう!

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