テクノロジーと国際開発を軸に、ひとり産官学連携実践中。

狩野 剛さん

その他 一般社団法人 ICT for Development 代表理事 40代

  • 法人運営、代表理事
  • 情報通信技術
  • キャリア年表

    大学学部生

    1998〜2002年

    横浜国立大学で情報工学を専攻

    大学院生(修士)

    2002〜2004年

    横浜国立大学大学院で情報科学を専攻

    IT技術者

    2004〜2007年

    (株)野村総合研究所で証券系ITエンジニア

    JICA職員

    2008〜2019年

    JICAでICT分野を中心に事業企画・運営・評価(うち2012〜2015年はバングラデシュ駐在)

    大学院生(博士)

    2015〜2021年

    UniversityofMichiganで情報科学を専攻

    開発コンサルタント

    2021年〜現在

    JICAおよび世界銀行のイノベーション・EduTech関連プロジェクトに関わる

    法人運営

    2019年〜現在

    (一社)ICTforDevelopmentを設立、ICTと国際開発の情報発信とコミュニティ運営

    大学教員

    2022年〜

    金沢工業大学情報フロンティア学部に准教授として4月に着任予定

    IT・JICA・研究の産官学経験を法人運営に活かす。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    大学時代、タイに旅行に行った際に、現地の人々の人懐っこさや考え方の違いなどに衝撃を受けたことが、開発途上国への入り口でした。その後、バックパッカーになり、インドやミャンマーなどを周り、開発途上国にどんどんハマっていきました。一方、大学生の頃からテクノロジーが好きだったので、新卒ではITエンジニアとして就職しました。そして仕事はIT、趣味はバックパッカーという生活をし数年経った頃、ふとした瞬間に「大好きな開発途上国と、大好きなIT、この両方を同時に仕事にできたら最高ではないか?」と気づき、国際協力にテクノロジーを活用する「ICT for Development (ICT4D)」に興味を持ち始めました。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    新卒ではITエンジニアとして働いていましたが、開発途上国でのICT活用をテーマとするべく、JICAに転職。その後はICT分野を中心に事業企画・運営・評価を担当させていただきました。特に3年間のバングラデシュ駐在は、開発者として本当に学びの多い経験となりました。その後、専門性を高めるために、アメリカにPhD留学。学業・研究を進める傍ら、時折、開発コンサルタントの仕事もしており、さらにはJICA時代の元同僚と一般社団法人 ICT for Development を立ち上げ、現在は情報発信とオンラインコミュニティの運営をしています。2022年4月からは大学教員・法人運営・開発コンサルタントを並行していく予定です。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    一般社団法人の代表理事として、テクノロジーと国際開発(ICT4D)に関する情報発信およびコミュニティ運営をしています。具体的には、オンラインコミュニティ
    「ICT4D Lab」( https://ict4d.jp/lab )を運営し、世界中から産官学に関する多様なバックグラウンドを持つ約80人のメンバーと、スタディグループやプロジェクト実施などを行っています。このコミュニティ・プラットフォームを通じて、メンバーたちが繋がり、学び、発信していけることを目指して運営しています。また、ブログやニュースレターを通じた日本語によるICT4D関連情報の発信もしています( https://ict4d.jp )。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    私自身がJICA時代にやりがいを感じたのは、開発プロジェクトの醍醐味に加え、リソースとリソースを繋いで化学反応を起こすハブになった時でした。例えば、日本の技術と途上国のニーズ、民間企業と政府、もしくはJICA内の人と人など、様々なリソースを繋げるハブになることにやりがいを感じていました。現在は、これまでの産官学での業務経験を生かし、民間のICTエンジニアと国際開発の実務者、民間と政府と大学など、見えない壁があると感じる異セクターのリソースを繋ぎ、化学反応を起こしたいと思っており、それを目指せるプラットフォームやコミュニティをリードし、運営することに強いやりがいを感じています。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    20代は主に民間企業でITエンジニア、30代はJICAで国際協力とPhD留学といった道を歩んできました。40代では、大学での教育・研究を高めるというキャリアと、法人運営を通じて日本のICT4Dに関するムーブメントを推進するという2つの大きなキャリアを同時に進めることで、産官学いずれの分野でも話が通じるマニアックな人材になることを目指し、産官学のハブとして活躍できるようなキャリアパスを歩んでいきたいと思っています。また、今後の日本や世界をリードしていくような人材に助言をし、背中を押していきたいとも思っていますし、そういう人にどんどん巻き込んでもらいたいとも思っています。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    私は「環境が人を育てる」と思っています。新しいことに興味を持ったら、思い切ってその環境に身を置いてみることが成長の近道と考えています。転職が不安であれば、勉強会やプロボノといった関わり方から始めるのも良いでしょう。私自身のキャリアを振り返ってみても、国際協力の素人で飛び込んだJICA、研究の素人で飛び込んだPhD留学、経営の素人で始めた法人運営、いずれも最初の数年間は非常にしんどかったのですが、今振り返るとそれ以上に学びの多い時期だったと感じます。もし私が「準備して自信がついたら飛び込もう」と思っていたら、もしかするとそれぞれの一歩目は大幅に遅れていたか、踏み出せていなかったかもしれません。

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