ビジネスで持続的に社会課題を解決!産・官・学・民連携の専門家。
高橋 裕典さん
その他 / 公益財団法人 味の素ファンデーション / 40代
キャリア年表
大学院(工学修士)
2000年
大学院でバイオテクノロジーを修了。
研究開発
2000年
味の素株式会社に入社。 発酵技術研究所に所属し、アミノ酸を作る微生物の発酵プロセス開発に従事。
工場(営業)
2012年
工場副産物の営業に従事。副産物を活用した農産物のブランド化を複数の関係者と共創。中小企業診断士取得。
大学院(MBA)
2014年
社費留学制度でMBA(経営工学修士)を修了。
事業部(新事業開発)
2015年
本社事業部にて新規甘味料の事業開発や、重度の栄養失調治療食の開発、事業化を担当。
財団(国際開発)
2019年~現在
味の素ファンデーションに出向し、ガーナ栄養改善プロジェクトを担当。2020年からガーナ駐在。
受益者ファースト、相互尊重で、連携者全員ハッピーな輪を構築!
国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?
入社後しばらくの間は、味の素社の主力製品となるアミノ酸を効率よく生産するための研究に従事しており、最初は海外に通用する技術者になりたいと思っていて、国際協力までは興味を持っていませんでした。ですが、国際協力と私をつなげたのは「リジン」というアミノ酸です。家畜の飼料となるコーンにリジンを混ぜることで、飼料の養分を無駄なく家畜の成長に使えるようになるのですが、逆に言うと、コーンだけでは成長に必要な栄養が足りません。私が従事していた研究のひとつが、このリジンを効率よく培養することでした。ここで2006年に私の師匠になるような方と運命的な出逢いがあり、「私の研究成果を人間に応用すれば、もっと多くの命を救うことができる」と言われて衝撃を受け、国際協力に興味を持ちました。
これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?
国際協力に必要なスキルは色々ありますが、やりたくても到達できない(社内にもっとすごい人がいた)ので、長い道のりを歩みました。研究では分野が違って担当できないことを知り(必要な分野は栄養学だが、自分はバイオテクノロジー)、営業にキャリア転換しようと思い、工場の副産物を活用した新規事業開発の営業になりました。その際、農業のビジネススキルが必要だったので、佐賀大学の農業版MOT(※)コースを修了し、中小企業診断士を取得しました。さらに、英語や事業開発で必要な知識を補うために、留学してMBAを取得。その後、新規事業開発のマーケティングに異動し、事業開発経験を積んでようやく今の仕事に就くことができました。志してから実現までに15年かかりました。
(※)Management of Technology(技術経営)
現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?
世界には「コーンがゆ(粥)」が乳幼児の主食となっている国があり、それが栄養失調の原因のひとつになっています。2009年にスタートした「ガーナ栄養改善プロジェクト」の核となる栄養補助食品「KOKO Plus®」は、このおかゆに入れるサプリメントです。私はこのKOKO Plus®を活用したソーシャルビジネスモデル構築の現地の代表として、低所得で子どもが栄養失調の親に、いかに栄養の重要性を理解してもらって、KOKO Plus®を買ってもらい、継続使用してもらい、栄養失調改善のインパクトを出すか、かつ、事業としてサスティナブルにできるか、日々挑戦しています。
現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?
ガーナという成長途上の国で、栄養サプリメントの販売スケールアップは、生産、品質管理、販売、マーケティング(普及、母親への教育)、物流網構築、官民パートナーシップ、、、、そして私の苦手な経理も含めてすべてにおいて非常に大変です。私は、研究、工場、営業、中小企業診断士、MBA取得、事業部、といろいろな道のりを歩んできたため、今までの”修業”期間を総動員し、世界に先駆けて、持続可能な低所得層向けの栄養改善のソーシャルビジネスモデル構築に挑戦できることは、壁は非常に高いものの、とても面白いです。
今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。
私自身の目標は”官民連携によるSDGs(持続的な開発目標)のエキスパートになること”です。事業での目標は、このKOKO
Plus®のソーシャルビジネスを持続的にすること、さらにはその販売網を活用し、官民連携で、他にも現地にある栄養豊富な商品の同時配送・需要創出が可能な”ヘルシーフードプラットフォーム”を構築することです。なぜなら、私がガーナで感じる一番のボトルネックは物流網の構築だからです。栄養製品の需要創出(態度変容)と物流網の構築を双方同時に行うことで、マーケットベースの栄養改善に貢献します。また、多くの保健・栄養関連の日本企業をガーナに呼び込み、更なる連携を進めます。その結果、我々(KOKO
Plus®)が関われる範囲を、離乳児だけからより幅広い方々の課題解決に広げることが可能となるからです。
国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。
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