国際協力という天職に出会い、開発途上国の女性支援に奔走する。

吉留 桂さん

国際協力NGO/NPO 公益財団法人ジョイセフ 50代

  • NPO/NGO スタッフ
  • 保健医療
  • キャリア年表

    大学学部生

    1988~1992年

    文理学部英米文学科で英語学専攻。大学4年時のジョイセフでのアルバイトがNGOとの出会い。

    大学院生

    1992~1994年

    国内の大学院にて教育研究科教科教育(英語教育)専攻。

    教諭

    1994~1997年

    私立の中学校で英語教諭として勤務。

    NGOアルバイト

    1997~1998年

    ジョイセフでアルバイトをしながら留学準備。

    大学院生

    1998~2000年

    米国の大学院で国際比較教育学専攻。夏休みに識字教育に取り組むネパールのNGOでインターン。

    NGOアルバイト

    2000~2001年

    ジョイセフでアルバイトをしながら就職活動。JPO、JOCV、コンサル試験に落ち苦戦。

    NGO職員

    2001年~現在

    ジョイセフを通じてセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの推進に取り組む。

    仲間と作り上げていくワクワクがエネルギーに。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    大学4年の時に、大学の掲示板でジョイセフのアルバイト募集のチラシを見たのが、国際協力やNGOの仕事に出会ったきっかけです。「国際協力」の部分に惹かれて、何をやっている団体なのか分らない状態で電話をしたのを覚えています。電話に対応してくださった職員の方(後の上司)が弾むような声で言った「すぐに来て!」という言葉、その一声が国際協力への扉を開いてくれました。職員の方々、特に女性たちがとても生き生きとしていて楽しそうだな、という印象が強かったです。私は当時ジョイセフが教科書として英語および中国語に翻訳した日本の母子健康手帳の国内外への発送業務を手伝いました。先輩職員の机の上には、コンドームのキャラクターのステッカーが貼ってあったり、避妊具のモデルが置いてあったり、また色々な国の人たちが研修などで出入りし、複数の言語が使われている環境でした。こういう分野の仕事があるんだ、とワクワクしました。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    NGOで仕事をしてみたいという気持ちがアルバイトを通じて芽生えましたが、即戦力となる経験も技術もありませんでした。一方で大学で学んでいた言語学にも興味があり、大学院に進みました。その後中学校で英語教諭として勤務しながら、国際理解教育の勉強会に参加するなどして、途上国の課題を授業に取り入れようとしましたが、見たことも行ったこともないことを扱うことに抵抗を感じ、やってみたいと思っていた国際協力の道を目指すことにしました。「自分の人生なのだから、自分で決めたらいい」という友人の言葉に背中を押されました。ジョイセフで、最初の7年間は、主に国連人口基金のアジア地域事業の推進をサポートする業務を担当しました。先輩職員に付いて出張する中で、現地のパートナー団体の人たちとの信頼関係作りを学びました。その後6年間は、開発コミュニケーション分野のコンサルテーションを専門に行う新しくできた部署に入りました。国連機関、世界銀行、JICAなどの事業で、ジョイセフ独自の技術移転プログラムを使いながらコンサルタントとして活動し、この期間に、技術移転の仕事の基礎をたたき込まれました。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    日本発の国際協力NGOであるジョイセフは、1968年の設立以来、一貫して「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」の推進に取り組んでいます。私は主に開発途上国で、社会行動変容コミュニケーション分野の技術支援に従事しています。開発途上国では妊娠・出産に関わる合併症が、15~19歳の女性の主な死亡原因です。10代の少女たちが望まない妊娠を予防できる力をつけ、必要な情報やサービスにアクセスできるようにするには、少女たちのみならず、彼女たちを取り巻く人たちにも働きかけることが必要です。個人およびその周囲の人たちの行動変容を促すためのコミュニケーション戦略構築、メッセージ作り、教材開発、教材を使ったコミュニケーションの研修を実施していく方法を、ジョイセフの開発したツールや経験を活用し、現地パートナーたちとの協働作業を通じて伝達したり、伴走しながらサポートしています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    一番の魅力は、色々な人たちとチームを組んで、困難にぶち当たっても、お互い持っているものを出し合って作り上げていくプロセスを共有できることだと思います。共通のバックグラウンドがない人と、会ったその日から仕事開始、ということもあります。チーム作りのために、それぞれの人が持つ力を使えるように、役割分担を明確に伝えたり、相手の得意そうなことを見つけたり、自分の目指したいと思っていることを具体的に共有するなどしています。また、コミュニティの人たちが、コミュニケーション戦略を使いこなして自分たちで考えて活動を進化させている様子を見聞きした際に、技術が彼らのものになったのだと、と嬉しく思います。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    数年前、ある国の保健省の方に、「わざわざ遠い日本から来て、あなたはどんな付加価値を持ってきたのか」と厳しい質問を受けたことがありました。その問いはいつも頭の片隅にあります。現場に役立つ、付加価値を持って行けるように、常に技術をアップデートしていく必要があります。またセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関してまだ取り組めていない課題も多いので、自分の引き出しを増やし、守備範囲を広げていきたいと思っています。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    私は長期的にキャリアを考えるよりは、与えられた仕事を「今しかできない機会」だと捉えて取り組んで来ました。都度必死にやってきたことが筋力となり、また色々な場面での経験がつながって、今の自分を支えてくれていることに気がつきます。また、仕事以外の活動、例えば合気道、細々続けているフランス語、個人で参加してきた勉強会や人とのつながりなどから学んだことやご縁も、とても役に立っています。皆さんもそれぞれ今やっていることを大切に、そして自分の夢を周りの人に言葉にして伝えたらいいと思います。誰かがあなたを誰かにつないでくれるはずです。

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