途上国のICT教育環境を整備して子どもたちを笑顔にする。

高濱 宏至さん

国際協力NGO/NPO 特定非営利活動法人Class for Everyone 30代

  • NPO/NGO スタッフ
  • 教育
  • キャリア年表

    大学学部生

    2005~2009年

    立教大学法学部政治学科で主に国際政治を専攻。

    SE

    2009~2011年

    楽天株式会社に入社し、システムエンジニアとしてITスキルを身につける。

    NGO

    2012年~現在

    「教育×インターネット」の可能性を感じ、フィリピンで調査をした後に特定非営利活動法人ClassforEveryoneを創業。

    「リユース×教育」で持続可能な仕組みを目指して。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    最初のきっかけは、小学生の時に新聞で偶然みた1枚の写真だったと記憶しています。その写真はピューリッツアー賞を受賞したケビン・カーターの”ハゲワシと少女”です。その時、自分のお気に入りだったパジャマが小さくなって着られなくなり、母親がそれを捨てるというのを必死で止めていた自分は、この写真を見て「捨てるくらいならこの子にあげてほしい」と言ったそうです。
    その時の記憶はそれくらいしかないのですが、中学・高校時代にずっと新聞の国際記事をスクラップするということをやっており、後々になって振り返るとあの写真を見たことで日本以外の世界に強く興味を持ったと感じています。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    その後、”ハゲワシと少女”の詳細なエピソードを知ることになり、「報道か、人命救助か」という問いが自分の中で大きくなっていきました。大学では主に国際政治を学んで、卒業後はジャーナリストを志望していました。しかし、いざ就職活動を始めて出版社や新聞社と触れ合う中で1つの疑問が生まれました。それは、「いざ報道機関に就職できたからといって、本当に真実を報道できるのだろうか」ということでした。そこで、自分で世界を見に行けるような仕事を作ろうと考えました。そのためにはインターネットのスキルが必要になると考え、SEとして働ける仕事を選択しました。実際に現在活動しているNPO法人を起業したのはその3年後になります。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    主に途上国のICT教育環境を整えるということを10年間やってきました。パソコンなどデバイス機器を寄附してもらい、それをリユースして途上国に届け活用してもらうモデルを作り、現地NGOやJICA海外協力隊と協働して33ヶ国で展開してきました。また、非電化地域にも同様の環境を作るべく、太陽光発電システムを作る方法をアフリカの子どもたちに教え、リユースしたソーラーパネルで学校に電源を作るということをここ5年の間で実施しています。現地で活動する中で、課題解決を目指す途中でまた新たな課題に直面するということの繰り返しですが、課題を発見し解決するための方法を考え行動し続けてきたことが自信にもなっています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    多くの子どもたちに喜んでもらえるというのが、やはり一番のやりがいです。活動を広げるために、効率的な仕組みを考えていくことも面白さとしてありますが、やはり現地で実際に子どもたちと触れ合って素敵な笑顔をたくさん見られることが自分自身の一番の喜びであると感じます。また、NPOという立場で多くの団体や企業と協働しているのですが、現地の課題を解決するために業界や専門性を越えて様々な企画ができるのも楽しいです。例えば移動型ソーラー電源は地元の3つの団体が協力して開発したのですが、非電化地域のみならず日本でもニーズがありました。先進国と途上国という垣根を越えるのもやりがいの1つです。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    これまでリユースを軸にSDGsなども意識しながら活動をしてきましたが、これからの10年は具体的なアクションとして”持続可能性”がより求められると感じており、今後の活動の中でどのように実践していくかを考えています。ICT教育には電気とインターネットが不可欠なこともあり、特にエネルギー供給で既存の活動に加えて新しい取り組みを実施したいと思っています。具体的には炭の蓄電池作りに注目しており、実際に動き始めています。人類が化石燃料を使う前の時代の日本文化に、現代社会の課題を解決するためのヒントがあるような気がしており、そこを深掘りして形にしていき、世界へ発信したいと考えています。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    インターネットの恩恵もあり、日本における私たちの生活においても国際情勢がより身近になったと思います。国際協力というのは、必ずしも海外に出て何かをすることだけではないと考えています。世界の中の日本、もっと言えば宇宙や地球の中の世界であり日本という国があるということを意識し、それらが深く密接につながっているという意識を持つことが国際協力の一歩ではないでしょうか。世界を知ることによって、より日本のことを知るきっかけにもなりますし、日本を深く知ることによって世界に興味を持つこともあると思います。視野を広げ、視座を自由に変えながら物事を見る目を養うことで、自分なりの国際協力を表現していきましょう。

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