「子どもと離れて海外出張」 → 「子どもといっしょに海外赴任」

庄子 真由美さん

開発コンサルティング企業 株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル 40代

  • 開発コンサルティング企業 コンサルタント
  • 運輸交通
  • キャリア年表

    大学学部生

    1995~1999年

    工学部で土木工学科を専攻(イギリスに短期留学)。

    建設コンサルタント

    1999~2003年

    道路など公共事業の測量・調査・設計、CAD(ComputerAidedDesign)スキルの基礎習得(測量士取得)。

    JICA海外協力隊(ウガンダ・土木)

    2003~2006年

    公共事業省で道路維持管理データベース(長期派遣)、土地省で地理情報システム
    (GIS)デジタルマッピング支援(短期派遣)。

    JICA国内協力員,特別嘱託

    2006~2009年

    海外協力隊事務局で派遣前語学WBT(WebBasedTraining)立案・実施。アフリカ部でTICAD(アフリカ開発会議)推進、運輸/電力の案件形成。

    JICA企画調査員

    2009~2011年

    ザンビア事務所で運輸交通/電力分野における有償資金協力事業の実施監理、案件形成、国境ワンストップ・ボーダーポスト(OSBP)支援。

    JICA海外長期研修

    2011~2012年

    イギリスにて道路管理工学修士課程を修了。イギリス英国土木学会にて論文出版。

    復興庁宮城復興局(復興支援専門員)

    2013~2014年

    被災自治体で水門・避難施設・避難道路などの復興交付金事業の実施監理(半年の産休育休中に技術士補取得)。

    開発コンサルタント

    2015~2017年

    アフリカ地域をメインにODA道路設計、技術協力専門家(1級土木技術者資格取得)。

    JICA企画調査員

    2017~2019年

    ミャンマー事務所で技術協力、無償・有償資金協力におけるインフラ案件形成/実施監理。

    開発コンサルタント

    2019年~現在

    ミャンマー、フィリピン大型鉄道プロジェクト(有償)の施工管理業務(コロナ退避帰国中に技術士取得)。

    ピンチをチャンスに!「人生楽しんだもの勝ち」精神で。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    私が国際協力に興味を持ったのは、20歳の時に成人式の会場で配布されていたJICA海外協力隊(当時)のチラシを見たことがきっかけでした。自分の専門を活かして開発途上国で仕事をするという選択肢があることを初めて知り、胸が躍ったのを覚えています。子どものころから好奇心旺盛な方でしたが、それまでは特に具体的な夢もなく、自分の表現方法を見いだせずにいたので、具体的な目標とキャリアのイメージができたのは大きな転機でした。海外協力隊という目標に向かって積極的に語学留学や資格取得を頑張ることができたと思います。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    土木の専門性を海外で活かしたいと、常に「なりたい自分」をイメージし、少し背伸びした目標を設定して挑戦し続けていることが今につながっていると感じます。出産までは業務経験の幅と視野を広げようと、アフリカ地域を主に多様な立場で経験を積んだほか、留学を通じて語学力を磨き、国際感覚と異文化理解力を高めました。出産後は育児とキャリアを両立するため、最初のうちは子どもを日本に残して海外出張していましたが、一緒にいる時間を大切にしようと、子が3歳になる時に子連れで赴任することを決意しました。コロナ禍の間に技術士の資格も取得し、現在は管理職としてマネジメントの視点も学びながら、現地にて施工管理に取り組んでいます。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    現在は、JICAとアジア開発銀行(ADB)が協調融資で実施している「フィリピン国マニラ南北通勤鉄道延伸事業」に施工監理コンサルタントとして従事しています。マニラ市内を縦断する通勤鉄道を南北に延伸する事業ですが、土木工事のみならず、車両調達、運行システムやメンテナンス支援などさまざまな要素が求められる大規模プロジェクトです。工事に関して、施工管理はJICAの融資ですが、施工はADBの融資により行われているのもユニークです。私は常駐の土木エンジニアとして、南方向に延伸する軌道や駅舎工事のうち一部の工区を担当しており、着工に向けて、移設・解体のための調整業務や関係者協議などを進めています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    このプロジェクトは超大型の円借款事業であり、交通渋滞の解消や排ガスの削減など、フィリピンの今後の経済発展や人々の生活向上につながるさまざまな効果が期待されています。その分、重責を感じますし、規模が大きいからこそ困難も多く苦しい時期もありますが、重要な国際協力に携わっていることに日々やりがいをかみしめています。これまでの経験や現場感を信じ、一つ一つ自分にできることを着実にこなしていくことがプロジェクトの成功に近づくのだという思いで、完成した時のフィリピンの人たちの笑顔を思い浮かべて取り組んでいます。「自分の子どもに誇れる仕事をしたい」と思いも、私を支えてくれています。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    施工管理の経験を積み、名実ともに説得力のあるエンジニアを目指したいと考えています。そのためには、いただいた仕事に感謝しながら、できるだけ多くの「困難」を経験し、乗り越え、多様な局面で迅速に判断できる経験・知見・力と俯瞰的な視点を身に着けたいです。そして、現地のニーズに沿ったサービスを提供できるインフラ開発に貢献したいと考えています。コンサルタント業は、健康であれば70歳くらいまで活躍できると言われていますので、仕事も、生活も、子育ても、どれも存分に楽しみながら長く現場で活躍できるように、健康第一でこれからも頑張りたいです。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    私は以前、ミャンマーで長期プロジェクトに配属されていましたが、コロナ禍による退避帰国にクーデターが重なり、戻ることができませんでした。自分のキャリアプランだけでなく、子どもの教育や生活環境も変わり、想定していた人生計画を大幅に変更せざるを得ませんでしたが、想定外のことが起きても、「ピンチをチャンスに変える」ぐらいの気持ちで仕事や生活を楽しめる広い心を持っていれば、たいていのことは乗り越えられると実感しています。皆さんも、今後、想定していなかった事態に直面するかもしれません。それでも、絶対にぶれない自分の軸を一つ持ち、なりたい自分をイメージし続けてください。人生は、楽しんだもの勝ちです!

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    JICAウェブサイト「国際課題に挑むひと」でも庄子さんのキャリアの原点・岐路について取り上げられています。

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