ロシア語を生かして安全管理に挑戦~国際協力への新たな関わり方~

上原 牧子さん

国際協力機構(JICA) JICAタジキスタン事務所 40代

  • 企画調査員(企画)
  • 安全管理
  • キャリア年表

    大学学部生

    1995~2001年

    ロシア学科でロシア語を専攻。1998~1999年にモスクワ留学。

    会社員

    2001~2002年

    ロシア専門商社に就職、モスクワ支店に勤務。

    在外公館派遣員

    2002~2004年

    在ハバロフスク日本領事館の総務・会計班に在籍。

    会社員

    2004~2007年

    通訳・翻訳会社でロシア語通訳・コーディネーターとして勤務。

    業務調整員

    2007~2009年

    キルギス人材育成奨学計画(JDS)プロジェクト事務所で業務調整員として勤務。

    会社員

    2009~2011年

    経済研究所の広報・企画部で勤務。

    JICA企画調査員(企画)

    2011~2014年

    タジキスタン支所(当時)で総務、会計、事業を担当。

    JICA企画調査員(企画)

    2014~2017年

    カザフスタン連絡事務所(当時)で総務、会計、事業を担当。

    JICA企画調査員(安全管理)

    2018~2021年

    キルギス事務所で安全管理を担当。

    JICA企画調査員(企画)

    2021年~現在

    タジキスタン事務所で運輸・物流分野を担当。

    事務所の安全管理体制を構築しつつ、関係者の防犯意識を向上させる。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    元々は、フリーランスのロシア語通訳を目指しており、ロシア専門商社モスクワ支店、在ハバロフスク日本領事館での勤務を経たのち、通訳経験を積むため通訳派遣会社に就職しました。その会社は技術系から格闘技に至るまで様々な分野の通訳を派遣していたのですが、JICA案件の通訳派遣業務も請け負っていた関係で、同行通訳として中央アジア・コーカサス地域やウクライナでの調査などに参加する機会があり、これが国際協力と中央アジアとの出会いでした。カザフスタンでの
    JICA開発調査で通訳兼業務調整員として長期滞在した経験をきっかけに、ロシア語を生かして国際協力に関わりたいと思うようになりました。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    大学卒業して数年はロシアでの実務経験を積むことを最優先にしていました。その後国際協力の道を目指す決断をしたものの専門性がなかったので、ロシア語力が有利となるポストに挑戦してみようとJICAプロジェクトの人材育成奨学計画(JDS)のキルギス現地プロジェクト事務所の業務調整員からスタートしました。その後、仕事のお誘いがあったこともあり日本で就職したものの、国際協力の現場に出たい気持ちがうずうず募りだしたときに、タジキスタンのJICA企画調査員に採用され、事務所運営全般、事業管理を担当することになりました。カザフスタン、キルギスでの企画調査員を経て、現在、再びタジキスタンで企画調査員として勤務しています。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    現在はタジキスタン事務所で運輸・物流セクターを担当しています。具体的には道路改修の無償案件、橋梁維持管理や航空管制の人材育成に係る技術協力、国際機関との連携プロジェクトなどの案件監理や新規の案件形成のための情報収集などを行っています。それ以前、キルギスでは安全管理担当の企画調査員として、JICA関係者への安全対策ブリーフィングの実施、住居やホテルのセキュリティーチェック、安全対策マニュアルなどの改定、緊急連絡網整備、滞在者リストの管理などを担当していました。日常的な業務としては、政治、治安情勢について情報収集・分析し、関係者に適宜注意喚起を発出し、防犯意識を高めてもらえるよう努めていました。日本大使館と合同で緊急連絡網訓練を実施したり、健康管理員と協力して関係者向けに健康・安全管理対策協議会を開催することも業務の一環でした。また、緊急時の退避ルートを検討するため、隣国への陸路による国境越え調査を行い、緊急退避マニュアルの整備にも取り組みました。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    キルギスでは安全管理専任の初代企画調査員として赴任し、専門知識や経験はなかったため手探り状態でしたが、地道な情報収集を重ね、安全管理の知識と経験が豊富な国際機関のセキュリティーアドバイザーや大使館領事などとのネットワークを通じてノウハウや知識を得ながら、現地の安全対策アドバイザーとも協力して事務所の安全管理体制を構築していくプロセスにやりがいを感じていました。安全管理担当は関係者の行動を制限しなくてはいけないケースもあり、時には煙たがられる存在ではありますが、在任中にはそれまで一般渡航が禁止されていたキルギス南部の安全確認調査を行い、渡航措置を一部緩和することができ、前向きな成果を残すこともできました。現在はタジキスタン事務所で運輸、国境案件などを担当していますが、日本の支援により徐々に出来上がっていく道路工事の進捗を身近で見守れるのは運輸セクター担当の醍醐味ですし、カウンターパートや関係者との信頼関係を構築し、調整しながら案件監理・形成していく業務は魅力的だと感じます。また、プロジェクト現場の安全パトロールを実施したり、国境情勢の情報収集をしたりと、キルギスでの安全管理業務の経験が現在の業務にもつながっています。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    今後もロシア語を生かせる中央アジアで国際協力に携わっていきたいと考えていますが、他の地域における国際協力の現場も経験してみたいという気持ちがわずかながら芽生えてきているので、いつか機会があれば挑戦してみるかもしれません。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    私はロシア語を生かしたいという単純な思いで国際協力の道を歩み始め、将来のキャリア形成については深く考えていなかったので、専門分野がないことで悩んだ時期もありました。そんな時、先輩方から「専門分野がないということは、逆に言えばどの分野もチャレンジできるということ」と励まされ、それから十数年、ご縁もあって中央アジアにおける国際協力の仕事に恵まれてきました。安全管理は正直想定外でしたが、自分の素質、中央アジアでの経験、語学力が最大限に生かせるやりがいのある仕事でした。安全管理の知識は国内外問わず業務・生活上で必ず役立ちますし、国際協力への新たな関わり方として選択肢の1つになると思います。ぜひ挑戦してみてください。

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