国際協力と地方創生を共に歩む。

渡邉 拓人さん

その他 熊本県 玉東町役場(地方自治体) 30代

  • その他
  • 多岐にわたる分野
  • キャリア年表

    民間企業

    2006~2010年

    平田機工株式会社(ロボット製造)等の民間事業所を経験。

    自治体職員

    2010~2017年

    玉東町役場入庁。自治体職員として農業、交通など地域課題解決に従事。

    JICA海外協力隊

    2017~2019年

    現職参加制度を利用し、マラウイ共和国へ派遣。職種は行政サービス、ドーワ県立病院配属。

    自治体職員復帰

    2019年~現在

    玉東町役場企画財政課配属。JICA海外協力隊での経験を活かし、地方創生や多文化共生推進事業を展開。

    ONプロジェクト事業開始

    2022年~現在

    NPOと協定を結びウクライナ避難民支援事業(OrangeNetworkProject)を立ち上げ。

    田舎町での国際協力と多文化共生~ウクライナ避難民を受け入れる小さな町~。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    叔母や従妹がJICA海外協力隊経験者だったこともあり、幼い頃から漠然と海外に興味がありました。様々な職業に従事した後、自治体職員として役所に入庁してからは目の前の地域課題への対応や、地域コミュニティの中での取り組みなど田舎町らしい業務を行っていました。地域の方々と接する中で、当然多種多様な人がいて、考え方もそれぞれです。そんな日々の中、私は自身の知識の範囲(もしくはものさし)で物事を判断する場面がどうしてもあると気づき、自分がもっと多くの知識や経験を培うべきだと考え、幼少期に芽生えていた国際協力を真剣に考えるようになりました。また、同時期に熊本地震に直面し、支援の大切さや難しさを知ることができたのも、私の背中を押しました。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    海外協力隊から帰国後、地方創生全般や地域おこし協力隊の担当、JICAの派遣前訓練(グローカルプログラム)の受入れを担当してきました。多彩な経験を持った「よそ者」と自分たちの町の課題や発展に向け多岐に渡り取り組んでいます。グローカルプログラムでは、これから海外へ派遣される隊員を研修地として受け入れ、町のための活動を行うだけでなく、町民に海外のことを知ってもらい、国際協力の重要性・必要性なども伝えています。そして、そのような土壌があったからこそ、その後のウクライナ避難民受入れに対し、町として取り組むことができたと思います。また、空手を幼少期から習っており、地元(熊本県)の道場や海外協力隊の派遣先マラウイで指導してきました。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    ウクライナ避難民支援については、全般を担っています。ウクライナ情勢や、政府の方針、避難民の状況に応じて要項を策定したり、制度設計を行っています。その後受入れにあたりオンラインで面談を行い、航空券の手配や住宅の準備を行います。入国後はオリエンテーションや日本語クラスを開始し、その後は医療サポートをはじめ就学・就労と日々のサポートを個別に行います。支援のために立ち上げた6人体制のプロジェクトメンバーでウクライナ避難民支援事業や、多文化共生社会推進を実施しています。5,000人ほどの小さな町ですが、「小さな町だからこそできる支援を」との思いで15人のウクライナ避難民を受け入れています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    やる気に溢れパワーある人材が周囲にいて、それぞれの関わるジャンルでたくさんの挑戦を行っています。自分たちで目標を定め、方法を考え、成し遂げる事ができる環境が一番の魅力です。行政というと反応が遅いイメージがありますが、必ずしもそうではありません。新しいこと事でもフットワーク軽く向き合える職場環境とメンバーに感謝しています。ウクライナ避難民支援事業に対しても前向きで、町全体による受入れができていると実感します。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    日本の地域で働きたい自分と、海外で働きたい自分の両方がいます。現在、具体的に‟いつ”から‟どこで”とまでは定まっていませんが、どちらも実現させようと考え、人生設計を行っています。地方自治体の仕事と国際協力の場は、働く場所や職種にしてもかけ離れているイメージがありますが、地方創生と国際協力は交じり合うと私は考えています。実際に、国際支援との思いで行った取り組みが、日本の地域の人々にとっても励みや活力になることを見てきたからです。これまでの経験を活かしながら、今後も新たな経験を積んでいきたいと思います。「世界のために日本を、日本のために世界を」そんなキャリアを歩みたいです。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    私は、日本の現場で働いているので直接国際協力を目指す方へのメッセージになるかは分かりませんが、私が国際協力を目指す気持ちがあるのにも関わらず日本(地方)で働きながら感じたことは、いろいろな形の国際協力があるということです。世界中どこにいても、目の前のできることに向き合いながら、取り組み、経験を積み、そして振り返った時にその経験は国際協力に必ず役に立つと信じています。また、国際協力で得た経験を日本の皆さんへ伝えていきたいと思います。これまで国際協力に関心がなかった人や、未来を担う子供たちがもっと世界に関心を持ち始めることが大切だと感じます。世界をより良くしたい「思い」を大切に。周囲を巻き込み、共に励みましょう。

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