途上国と脱炭素世界に向けて。

久下 勝也さん

国際協力機構(JICA) 社会基盤部資源・エネルギーグループ 50代

  • JICA 職員
  • 資源・エネルギー
  • キャリア年表

    大学学部生

    1993~1997年

    工学部で機械工学を専攻。

    大学院生

    1997~2002年

    理工学研究科でエネルギー工学を専攻。

    JICA職員

    2002年~現在

    資源・エネルギーや平和構築を担当。ガーナ、シエラレオネ、ケニアに駐在。

    その国にあった脱炭素と安価なエネルギーの安定供給の両立。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    高校時代はF1のエンジニアに憧れ、機械工学部に入学しました。学生時代に1冊の本(「限界を超えて」ダイヤモンド社)に出会い、地球温暖化問題や途上国の貧困に関心を持ったのがきっかけです。大学院の夏休みにNGOのサマーキャンプに参加し、ウガンダとエチオピアを訪問しました。エイズで親を失った子どものために、コミュニティとNGOがレンガを製造・販売して現金を得ていました。泥んこで一緒にレンガを作りながら、この道に進むことを決心しました。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    2002年にJICA入構後、21年が経過しました。最初の10年はシエラレオネやスーダン、ブルンジなどの平和構築・復興支援に携わりました。プロジェクトを形成することの難しさとやりがいを知りました。無限にニーズがある中で、課題の所在を把握して、解決させる手だてを途上国側、日本側と考えなくてはならないからです。赴任したシエラレオネでは、当時、農業分野(米)と電力分野に優先を置きました。その後の10年は資源・エネルギー分野での協力に携わっています。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    脱炭素は世界が達成しなければならない課題です。一方で、経済成長を阻害するような脱炭素に途上国は賛同しません。エネルギーは安価でなくてはならないのです。また、ウクライナ侵攻を受け、エネルギー安全保障が改めて注目されています。その国にあったカーボンニュートラルと安価なエネルギーの安定供給を実現させる。このような協力を進めるべく戦略作りから見直しています。具体的には①エネルギー政策・計画策定支援、②次世代脱炭素技術の開発促進と社会実装、③鉱物資源開発、④地域共同体支援(アセアンゼロエミッション共同体、アフリカパワープールなど)、⑤資金動員、⑥日本の学校での啓蒙活動を進めています。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    色々な方と仕事ができることです。脱炭素に向けた協力をJICAだけで実施することはできません。大学・研究機関、民間企業、公的機関、小中高校など、JICAの協力に賛同頂けるパートナーと協働・共創しています。最近よく関わっているのは海洋温度差発電と核融合の関係者です。みなさん楽しそうに仕事をしておられます。海洋温度差発電は佐賀大学と久米島町、民間企業が一体となり、久米島で実証事業を10年かけて成功させました。この久米島モデルを島しょ国に展開できないか、チーム久米島と一緒に挑戦しています。核融合は今後50年で重要な技術になると思います。ここで必要な鉱物資源は途上国にも賦存しており、協働が必要です。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    パートナーとJICAによるカーボンニュートラルに向けた取り組みをもっと日本人や途上国の方に知って頂けるよう、SNSを含めた広報に力を入れたいです。また、次世代脱炭素技術は、多くの方が期待しており、開発状況や将来の展望について、研究者の声を届けたいと思います。特に未来を担う子どもの世代には、授業などを通じて、取り組みを重点的に紹介して行きたいと思います。JICAで全力働いた後は、西表島でビアホールを開店したいと考えています。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    やりがいのある課題に取り組めます!特に国際協力の分野で活躍するには、専門性と人を巻き込む力が重要です。専門性は人や本から学ぶしかありませんが、人の巻き込み方はそれぞれの個性にあったやり方を見つけてもらえればと思います。失敗を繰り返し、成長に繋げていってほしいと思います。応援しています。

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