「教育学」「協力隊」からの水のキャリア
~「非エンジニア」として水道分野のソフト面を支える~
大学
1994〜1998年
日本語教師となるため、教育学部で教育と言語学を専攻。後に、研修計画・評価、講師育成などに活かす
大学院
1998〜2000年
日本語教師となるため日本語学、コミュニケーションを専攻
JICA海外協力隊
2001〜2003年
日本語教師としてカンボジアの大学に派遣。日本語を教えながら、現地教師の育成や教材開発を担当
JICA専門家
2004~2006年
カンボジアの水道分野の技術協力プロジェクトで、業務調整と研修管理を担当
経営コンサルタント
2006~2009年
組織・事業管理を学ぶため、経営コンサルティング会社で新規事業などの事業立案支援に関わる
NGO事務局
2008年~現在
水道分野の問題解決のためのネットワーク型のNGOを立ち上げ、事務局として運営。
大学院
2007~2009年
夜間の経営大学院で、組織・人材を専攻
JICA
2009~2020年
水道分野にて特別嘱託、専門嘱託、長期専門家を歴任
非常勤講師
2018~2022年
大学にて、「国際協力とボランティア」の講義を担当
開発コンサルタント
2021年~現在
水道分野のプロジェクトに従事し、人材・組織強化、政策提言、プロジェクト管理などを担当
現場の課題に丁寧に向き合い、様々な業務を積み重ねて専門性を高める
国際協力に興味をもったきっかけは?
それまで国際協力に関心を持っていなかったのですが、当時まだ戦後復興の時期だったカンボジアの環境を知るにつれ、日本語を教えるよりも、もっと目の前の状況をよくするような貢献ができるのではないかと考えるようになりました。
当時のカンボジアの首都プノンペンには、人道支援から開発支援への過渡期で、様々な開発パートナーやNGOが活動を展開しており、様々な機関や立場の開発関係者と知り合う機会がありました。
その方たちから様々な開発セクターの話を聞いたり、現場を見せていただいたりするうちに、国際協力に興味を持つようになりました。
これまでに歩んできたキャリアは?
教育学を専攻していたことから人材育成や組織強化に興味を持ち、経営大学院で組織・人材を学びながら、国内の戦略コンサルティング会社で実務経験を積みました。
その後は長く水道分野に携わり、JICA本部で特別嘱託や専門嘱託としてプロジェクト管理に従事したり、ベトナムで3年、ミャンマーで5年の技術協力プロジェクトで研修計画や人材育成などを長期専門家として担当した後、3年半前に開発コンサルティング会社に入りました。
現在の業務・担当について教えてください。
主に東南アジアやサブサハラアフリカ地域の水道セクターのプロジェクトに従事しています。
水道事業体をカウンターパートとして、人事部や計画部などと共に人材育成、組織強化、人事管理などを支援しています。水道セクターを所管する中央省庁に対する政策アドバイザーとしての役割も担っています。
また、JICAの事業展開を検討するための政策マトリックスの策定支援に従事しています。JICAが推進する水道事業体のネットワーキングや相互学習を促進する事業にも携わり、地域間での知識共有や協力の強化に取り組んでいます。
これらの分野を担当するとともに、プロジェクト全体の管理も担当しています。
業務でのやりがい・仕事の魅力とは?
水道はどの国でも優先度の高い課題であるため、成果が見えること、関係者から感謝いただくことは本当にうれしいです。
また、水道セクターでの業務経験が長くなると、以前のプロジェクト関係者と再会する機会も増えてきました。当時の若手技術者が幹部になっていたり、昔からの知人が同じプロジェクトに参画したり、旧交を温めながら一緒に仕事ができるような人のつながりは、国際協力に従事する大きな魅力の一つだと感じています。
業務外ですが、途上国と日本の水道関係者向けに課題解決のためのNGOの事務局を務めています。そちらでも人のつながりの重要性を日々感じています。
今後の目標やキャリアプランとは?
協力隊や長期専門家の経験から、課題の解決には、課題把握を正しく行うことの重要性を認識しました。大局的に課題全体の解決に導けるような高い視点からの解決アプローチを意識しています。
また、専門性を深めるという視点では、ソフト面の課題は技術系とは異なり、正解がない課題ばかりです。
コンサルタントとして複数のプロジェクトに関わる中で、ある国での検討が他国の課題解決に役立つなど、業務経験が相互に影響し合い、専門知識が深められると感じています。
問題解決の幅を広げ、議論を深めることができるよう、アンテナを張り、経験から学び、引き出しを増やしていきたいと思います。
国際協力の道を目指す方へのメッセージ
私自身、水道セクターの面白さを感じながら、技術者になるのではなく、教育学の専門を活かしてソフト面から水道セクターに携わることを選びました。水道セクターは、技術的な分野だけでなく、事業運営、ガバナンス、組織・人材などの分野も近年ますます重視されており、様々なアプローチが試されています。
このように、興味を惹かれる分野で得意分野を強化し、それまでの経験を1つの流れのキャリアとして意味づけることができれば、次の方向性が見えてくるのではないでしょうか。
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