「県庁職員」「土木職」からの水のキャリア
~途上国の人と一緒に成長できる魅力~

  • JICA 技術協力プロジェクト専門家(技術移転型)
  • 水資源
  • 農/水産/土木学系
  • 経済/経営/商学系

  • 鎗内 美奈さん

    黛 正伸さん
    国際協力機構(JICA) / 地球環境部 / 50代

    大学

    1990〜1994年

    理工学部土木工学科を卒業

    県庁職員(土木技師)

    1994〜2010年

    上水道及び水力発電の計画・設計・施工監理・維持管理等を行う。自治省及びJICAに出向も

    JICAジュニア専門員

    2010〜2011年

    JICA経済開発部電力課で案件形成、実施管理等を行う

    JICA専門家

    2011~2013年

    ザンビア地方電化能力強化プロジェクトの一員として地方電化庁(REA)に勤務

    JICA特別嘱託

    2014~2015年

    JICA地球環境部水資源第二課で案件形成、実施管理等を行う

    JICA広域企画調査員(水供給)

    2016~2017年

    JICAケニア事務所でサブサハラアフリカの水案件の形成、実施管理等を行う

    JICA専門家

    2017~2021年

    ルワンダ無収水削減能力強化プロジェクトの一員として水衛生公社(WASAC)に勤務

    JICA専門家

    2021~2024年

    南部アフリカ開発銀行(DBSA)で無収水を中心に水分野の案件形成支援を行う

    JICA特別嘱託

    2024年~現在

    JICA地球環境部水資源第二課で案件形成、実施管理等を行う

    日本での経験を活かしつつ、相手と一緒に考え、学びあう

    国際協力に興味をもったきっかけは?

    県庁職員として業務をしていた時は、ほとんど海外に関心がなく国際協力にも特段の関心はありませんでした。出向でJICAで勤務することになり、開発途上国と呼ばれる国々の現状を見て、関心を持つようになりました。
    日本では当たり前にあるインフラが整備されていない現状を見て、これまで県庁で従事してきた水力発電や上水道に関する技術や知識を使って、自分にも何かできるかもしれないと思いました。
    また、そのようにインフラが整備されていない中でも、逞しく、楽しそうに暮らしている人々にも関心を持ち、もっと彼らのことを知りたいと思うようになりました。

    これまでに歩んできたキャリアは?

    学生時代は土木工学を学び、県庁に就職した後は、土木技師として16年間、上水道や水力発電に関する業務を行ってきました。この時の経験が今の自分の業務の原点です。
    また、自治省(現在の総務省)やJICAに出向する機会を与えていただいたことも、非常にラッキーでした。
    県庁を辞職してからは、JICAでジュニア専門員、特別嘱託、広域企画調査員(ケニア)、専門家(ザンビア、ルワンダ、南アフリカ)と様々な形で国際協力に関わらせていただいています。
    また、JICAでの仕事をしながら、遠隔で公民連携(PPP)を学び、経済学修士を取得しました。これが、土木技師としての自分に厚みを与えてくれていると感じます。

    ナイジェリアにて技術プロジェクトを開始するにあたり署名した後の集合写真

    ナイジェリアにて技術プロジェクトを開始するにあたり
    署名した後の集合写真

    現在の業務・担当について教えてください。

    現在は、主にサブサハラアフリカ地域の上水道分野における技術協力プロジェクト及び無償資金協力の案件形成や実施管理等を行っています。
    専門家として派遣されていた時は、水道公社で無収水削減の計画を策定して実施・モニタリングしたり、開発銀行で上水道の課題分析や、無収水削減の案件形成を支援する業務に携わりました。
    なお、無収水というのは、浄水場から送水されたのに料金請求できていない水のことです。主に、漏水や水道メーターの故障、検針間違いなどが原因で、日本では平均10%程度ですが、多くのサブサハラアフリカの国々では無収水が40%以上で、水道事業経営の悪化、サービスの低下を招いています。

    業務でのやりがい・仕事の魅力とは?

    各国における人々への給水状況、水道事業体のパフォーマンス、水道セクターの体制などを見ながら、課題を分析し、解決策となり得るものを見つける業務は楽しいです。
    また、専門家として派遣されていた時は、その国の同僚と信頼関係を築いた上で日々、様々な課題について共に考え、解決策を試していく作業にやりがいを感じていました。
    専門家の業務は、自分で直接実施するのではなく、アドバイスしたり経験を共有したりすることで、相手の業務の質を向上させることが重要です。
    目を見張るような成果がパッと現れるような業務ではないため大変地味ですが、少しでも有益なヒントを示すことができ、感謝してもらえた時はとてもうれしいです。

    南スーダンでの水利用状況の聞取り調査

    南スーダンでの水利用状況の聞取り調査

    今後の目標やキャリアプランとは?

    これからもできる限り、アフリカ、水というキーワードで、アフリカに軸足をおいて、業務を続けていきたいと考えています。
    一方で、2015年1月から2024年2月までほとんどの期間を専門家としてアフリカで過ごした結果、国際協力の潮流や、日本の水道の状況、新しい技術などに疎くなってきたことは否めません。時には、現在のJICA本部での特別嘱託のように日本での業務も積極的に行いたいと思っています。
    また、まだまだ新しいことに挑戦したい気持ちもあり、これまで培ったアフリカでの人材ネットワークを活用しつつ、ビジネスでアフリカの水に貢献することも考えていきたいと思っています。

    国際協力の道を目指す方へのメッセージ

    国際協力は、異なる文化や習慣を持った様々な国の人たちと、少しでもお互いの国の人々の生活が良くなるように、共に考え、共に働き、共に成長していく仕事です。難しいこともありますが、あらゆる可能性を秘めており、非常に魅力的です。
    ぜひ、あなたの経験や知見を国際協力という場で、柔軟に活用しながら、自分自身に磨きをかけてみませんか。

    ルワンダの友人宅にて

    ルワンダの友人宅にて


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