アクションファーストで、カカオの現場から世界とつながる



大学学部生
2003〜2007年
商学部に在学。卒論はムハンマド・ユヌス博士のマイクロクレジットを研究
組織人事コンサルタント
2007〜2014年
株式会社リンクアンドモチベーションにて、企業の組織人事変革のコンサルタントとして従事
カカオバイヤー兼代表
2014〜現在
株式会社Baceにて、カカオバイヤーとして100%フェアトレードでのカカオ豆の買付と、経営に従事
現地の声から始める、国際協力へのアクション
国際協力の「最初の一歩」とは?
その影響もあり、学生時代は国際経済学のゼミで、卒論はムハンマド・ユヌス博士のマイクロクレジットを研究しました。
Minimal - Bean to Bar Chocolate - (ミニマル)を創業するにあたってはフェアトレードで買い付けるという仕組みをビジネスの中に最初から組み込んで、国際協力とビジネスを両立させるモデルを考えました。
そして、Minimalの事業を通して、自ら赤道直下の途上国にカカオ豆の買付を始めて、カカオ農家の貧困や、特定産地での児童労働の現実を目の当たりにしたことが国際協力への最初の一歩だったと思います。

赤道直下に位置するカカオ産地は、想像以上の熱帯のジャングルの中にあります
学生時代をどのように過ごしましたか?
バックパッカーとしてフィリピンやナイジェリアでスラム街を初めて見た時、忘れられない思い出となりました。
スラム街では子供たちが裸やはだし過ごし、空腹で痩せている姿や決して良いとは言えない衛生環境での生活を見て、とても大きなショックを受けたことを覚えています。
そんな経験もあって、漠然と何か自分にできることはないかと考えるようになり、大学のゼミでは国際経済学専攻して、卒論はムハンマド・ユヌス博士のマイクロクレジットを研究しました。
国際協力系のキャリア形成におけるギャップとは?
未知の土地を訪れ、仕事をすることは、好奇心が旺盛な私にとっても、大変刺激的なことでした。
一歩踏み出す前は、未知へのワクワクと少しの不安がありましたが、実際に踏み出したあとは、文化の違いや価値観・生活慣習の違いなど驚くことが多かったと思います。
私が訪れるカカオ産地は基本的に貧困地域であることが多く、ホテルのシャワーはお湯ができないことは基本的に当たり前であったり、現地の生水やそれで洗った生野菜を食べるとお腹を壊すことも多く、衛生環境が整った日本との大きな違いに戸惑うこともありました。
しかし、その現実の中でたくましく生きている現地の人との交流は私自身の価値観や多様性に対する認識を大きく拡げ成長させてくれたと思います。

カカオ産地での農家さんとのひとコマ
いま、どんな仕事・働き方をしていますか?
代表としては、都内4店舗2工房の経営が順調に行くように戦略立案~意思決定~実行に関わっています。
また、カカオバイヤーとしては、年間数か月ペースで赤道直下にカカオ豆の買付のため出張しています。これまで赤道直下のカカオ生産国、35ヵ国程度に訪れました。
カカオ農園で言えば、数百農園以上に足を使って訪れています。どの国も決して裕福と言える環境ではないですが、それぞれのカカオ農家が良いカカオ豆を作ることに情熱を燃やしています。
そんな人々に直接接して、想いに触れることで、彼らの豆で美味しいチョコレートを作ろうというモチベーションにつながっています。

Minimal本店の富ケ谷店(渋谷区)
印象に残っている経験・エピソードはなんですか?
高付加価値で高価なカカオ豆を栽培し、国際マーケットに接続していくことを通して、ニカラグアのカカオ農家の収入を上げ、貧困を解決するというプロジェクトです。
その調査フェーズとして、ニカラグア政府と協力しながら、全土のカカオ農家への訪問とカカオ豆の品質状況を網羅的に調査しました。
印象的な点は2点で、1つ目は、政府や関連機関へのヒアリングです。実際に国の立場でどのような問題意識や課題意識を持っているか理解できたことは大きな気づきを得られました。
2つ目は、ニカラグアのカカオ農家を訪問やヒアリングを通して、彼らが国際マーケットに接続するために必要なことや現状をよく理解することができ、とても印象に残りました。

カカオ産地にて、農家さんとカカオ豆の状態を確認しています
国際協力における大切なこととは?これから一歩を踏み出す人たちへ
一方で、その問題が大きく、実際に解決するためには途方もなく時間がかかることが大半です。
大切なことは、常に具体的なアクションをし続けることであると思います。そして、アクションした後のフィードバックをきちんと理解して、次のアクションにつなげることです。
常にアクションファーストで、目の前の小さな現実から大きな問題に挑める人になってほしいと思います。
また、若いうちにぜひ自分の目と足で世界を広く見渡してみてください。私自身がそうだったように自分の足で現地に行って、世界を自分の目で見て、肌で感じることをお勧めします。

カカオ農家さんとMinimalスタッフと