第45号 PARTNERコラムビジネスを通じた国際協力とは

~国連WFPと民間連携で実現したロヒンギャ難民支援~

ユーグレナとその現地法人であるグラミンユーグレナ(会長ムハマド・ユヌス博士)は2010年より、貧困問題と栄養問題を解決するために多くの活動を展開してきました。バングラデシュの貧困小規模農家の収入増を計るため、緑豆の栽培方法を指導し日本にモヤシの原材料として輸出するというビジネスモデルを構築、2018年には700トンの緑豆を日本に輸出し、8千人の契約農家の収入増に貢献しました。また当社はGENKIプログラムにおいて毎日、1万人のスラムに住む児童にユーグレナ入りクッキーを無償で配布してきました。延べ配布数は約1千万食に達しています。これらの活動を通じて多くの経験とノウハウを蓄積してきました。

右から2番目が会長ムハマド・ユヌス博士。一番左が筆者
(右から2番目が会長ムハマド・ユヌス博士。一番左が筆者。)

2017年にバングラデシュではミャンマーからロヒンギャ族の難民が大量に流入しました。この時、私達は今までの知見を活かして何か出来ることはないか、何をするべきか考えました。
この出来事は難民だけではなく、以前から当地に住み農業を営んでいた小規模農家にも影響を与えました。両者にとって最善の解決策が国連WFP(国連世界食糧計画)と連携したプロジェクトです。日本の外務省はこの問題解決のため、5億5千万円の無償援助を決定しました。その内容は以下のようになります。
まず現地の小規模農家に緑豆やコメの効率的な栽培方法を伝授し、これを市場価格より高く購入します。これにより彼らの仕事の機会創造と収入増を図りました。契約農家数は2020年で2千名でしたが2021年は6千名になる予定です。また購入した作物は脱穀などの加工を経て国連WFPが運営するロヒンギャ難民向けの店舗で販売することになりました。この受益者は毎月2万名になります。緑豆は栄養価が高く、これを継続的に摂取することにより体力を増強すれば、コロナなどの病気になりにくくなるというメリットがあります。今後はこの事業をより大きく展開し公的機関の支援がなくとも自律的かつ継続的に展開できる体制を目指したいと考えています。国連を初めとする国際的な公的機関はより効率的な支援を展開するため、民間連携を重視しています。双方の協働により、互いの短所を補い長所を最大化できるという理解が浸透しつつあります。今後の国際支援はビジネスマインドがとても重要になると考えています。最近はこのことを肌身に感じています。

ロヒンギャ難民キャンプにて
(ロヒンギャ難民キャンプにて)

実際、当社は国連WFPに続いてFAO(国連食糧農業機関)と基本合意書を締結し、UNDP(国連開発計画)が運営するBCtAという民間活用のグループに参画しました。
これを梃子にしてより一層の飛躍を目指しています。

国連WFPとの調印式
(国連WFPとの調印式)
FAOとの調印式
(FAOとの調印式)

多くの若者が国際支援や海外の国際機関で活躍したいとお考えになっており、私はこれを素晴らしいことだと感じています。そのために必要なことは想いだけではなく実際に活動を展開するために必要なプロジェクト立案能力や業務執行能力、交渉力だと思います。
大きな夢を実現するためにビジネスマインドを磨いていただければと思います。

グラミンユーグレナ株式会社
CO-CEO
佐竹右行

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