第56号 PARTNERコラム どうせ長続きしない…ことはない!

「どうせ、長続きしないよ」
2018年2月、インドネシアのバンドン市郊外でSaung Himelnah(サウン ヒメルナ)という団体を立ち上げた際に、地域の人から掛けられた言葉です。

Saung Himelnahは自ら将来を切り拓き、周囲の人々にとっての“ヒーロー”になれる子どもたちを育てることを目的に、インドネシア人の友人と設立しました。活動地域は主に農村。収入が不安定で借金を抱えている農家では、早くから子どもが労働力として駆り出されています。「どうせ農家になるんだから、学校で勉強しても意味がないし、早く働きたい」と考えている子どもも多くいます。幼い時期から“どうせ”と自分の将来を決めつけてしまわないように、まずは新しいことを学ぶ楽しさを知ってもらい、自分が好きなものを見つけてもらいたいと思っています。

Saung Himelnahの建物
写真:Saung Himelnahの建物

Saung Himelnahは、学生・社会人ボランティアが約50名所属。毎週日曜日に地域の幼稚園で、中学生を対象に日本語や算数、その他一般教養を教えたり、人格・環境教育を行っています。その中で、私は日本語教育を担当しています。生徒は、平日地域の公立中学校に通っているため、“楽しく学ぼう”をモットーに、ゲームなどを交えて学校とは少し異なる授業をしています。都市部で開催される算数コンテストや、科学を学ぶイベントに参加するなど、様々な経験をしてもらえるよう工夫しています。

これまでの活動で周囲からたくさんの意見をもらいましたが、特に印象に残っているのは、冒頭の言葉です。恐らく「人々の関心が長続きしないこと」、「金銭的に長続きしないこと」の2つの意味があったと思います。

その言葉のとおり、人々の関心はすぐに薄れていきました。活動を開始した頃は、物珍しさに約50名もの生徒が集まり、小さな教室が満杯になりました。ところが、数週間も経つとどんどん生徒が減っていき、ついにはたった5名に…。「あ、こういうことか」と思いました。もちろん最初は落ち込みましたが、私たちの活動の目的は多くの生徒を集めて利益を得ることではありません。「学ぶ楽しさを知ってもらい、自分の好きなものを見つけて将来を切り拓いてもらうことだ」と目的を再認識してからは、目の前の生徒たちが楽しんで勉強できるように工夫を凝らしました。今では、平均して20名が参加しています。

授業風景
写真:授業風景

また、資金繰りにも多くの課題があります。今は助成金や寄付に頼っていますが、将来的には教育活動だけではなく経済活動も実施し、その収入から教育事業を賄って自立した運営をしたいと考えています。

私自身、大学入学まではすごく打ち込めるものがあったわけではありませんでした。大学在学中にインドネシアの孤児院でのボランティアプログラムに参加し、日本とは全く異なる文化に刺激を受けてから、インドネシアにのめり込むようになりました。子どもたちと話すことが楽しくてインドネシア語の勉強に励み、そのおかげで今もインドネシアで働くことができています。生徒たちも同じように、打ち込めるほど好きなものを見つけて、自分の将来の可能性をどんどん切り拓いていってほしいと思います。そのためにも、まずはこの活動を長続きさせられるように頑張っていきたいです。

Saung Himelnah
総務
古岡陽奈

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