第82号 PARTNERコラムコトとの出会い、ヒトとの出会い

これまで私には、国際協力のキャリアに進むことを後押ししてくれる出来事や人との出会いがいくつかありました。その中から大きく影響を受けた2つのターニングポイントをご紹介します。

中学生の頃、ある衝撃的な写真を目にしました。そこから私のその後の人生が国際協力一色になっていくことになるとは、その時は予想もしていませんでした。ご存知の方も多いかと思いますが、その写真は『ハゲワシと少女』という、野生のハゲワシが痩せ細った幼い少女を狙っているとされる様子を撮影したものです。写真を見た後、何日も何日も「どうして貧困や戦争がなくならないのだろう」、「どうしたらそれらがなくなるのだろう」と考え込む日々が続きました。そんな中、平和学習の授業があり、そこで国際協力に関わる仕事があるということを知り、携わっていきたいという目標ができました。

今となっては笑い話でしかありませんが、国際協力の道を志していた半面、海外へ行くことをとても恐れていた時期がありました。母から短期のホームステイや交換留学プログラムを勧められても断固拒否という、なんとももったいないことをしていました。そんな中、大学1年生が終わる頃、カンボジアへのスタディツアーに参加し、それが初めての海外渡航となりました。10日間程度の滞在でしたが、ホームステイ、現地大学生との意見交換、地方訪問など、多くの人と交流することができました。自分がいかに狭い範囲で生活を送り、偏った情報を鵜呑みにしていたのかを突き付けられ、実際に現地へ足を運ぶことの重要性を痛感しました。同時に、どこか心の奥底で引いてしまっていた世界との境界線がスーッとなくなるような感覚は、今でも鮮明に覚えています。その経験から、「現地に足を運んで、直接話を聞くこと」をその後のボランティア活動、海外協力隊での活動や仕事をする上でも常に大切にしています。

スタディツアーで訪れたトンレサップ湖の水上村
スタディツアーで訪れたトンレサップ湖の水上村

現在は、以前とは比べ物にならないほど、他国の人たちとオンラインで繋がることができるようになりました。オンラインだからこそ繋がれることも多々ありますが、現地でしか出会えない人・見られない風景・知ることができない情報もとても貴重だと感じます。そして、1枚の写真で何かが変わるように、日常の中にある小さな出来事との出会いも大切にしながら、これからも自身の国際協力への関わり方を模索していきたいと思います。

国連WFPタンザニア事務所
国連ボランティア プログラムオフィサー
加藤 碧

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