第107号 PARTNERコラムJICAインターン インタビュー⑦「中東・欧州部ウクライナ支援室編」

1. JICA中東・欧州部 ウクライナ支援室の歩み

2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が開始されると、日本はいち早くウクライナ支援に乗り出しました。それに伴いJICAが同年9月に中東・欧州部に新設したのがウクライナ支援室です。今までの協力事業で築いた信頼関係を基にウクライナのニーズに応える同室では、自治体・民間企業・市民社会との連携により日本に住むウクライナ避難民の抱える課題を解決するという全国の国内機関を通じた今日の取り組みに伴い、 今夏「日本の各地方独自のニーズ把握」をテーマに4名のインターン生を受け入れています。その中の1人、伊藤美怜さん(東北大学法学部3年)にお話を聞きました。

(写真:ファミリーデーの様子 ウクライナ支援室にて)
(写真:ファミリーデーの様子 ウクライナ支援室にて)

2. 国際協力に関心をもったきっかけ

大学で国際関係学を専攻する伊藤さんですが、国際協力に関心を持ち始めたのは入学後だと言います。そのきっかけは、レバノン出身のフランス移住者から、外的要因で母国を追われる人々の現実を聞いたことでした。その後留学先のドイツでも深刻な難民問題の現状を目の当たりにした伊藤さんは、地方出身ゆえの情報格差に悩まされてきた自身を振り返りながら「それでも私は“恵まれている側”だった」と話します。

3. 大学の学部/選考を選んだ理由

伊藤さんは、進学先の東北大学法学部に2つの魅力を見出しました。1つ目は実家から通学できることです。地元仙台に愛着を持ち、また留学費用を確保したい伊藤さんにとってこれは大学選びの大切な軸の1つでした。2つ目は4年間幅広く学べる環境が整っていることです。学科が分かれておらず、分野の垣根を越えて学べるシステムにより、現在専攻する国際関係学に出会うことができました。

4. JICAインターンシップ及びその部署に応募したきっかけと、インターンを通じて今後のキャリア形成に役立ったこと

ウクライナ支援室と伊藤さんを結びつけたのは、ドイツ留学中の経験でした。コロンビア大学院にいる高校OGに会うためドイツからニューヨークに飛び、そこでJICAの話を聞いた伊藤さんは、「国際協力分野の中で最大級のリソースがあるJICAの活動の裏側を知りたいと思った」と話します。さらに、フードコートで偶然出会ったウクライナ人夫婦から聞いた戦争の悲惨な現実に衝撃を受け、「学生ができる支援の形を知りたい」という思いからウクライナ支援室を志望しました。
「自分の色は意図せずついてくる。偶然の連続を大切に」。伊藤さんはインターン中に言われたこの言葉が心に残っており、実際にインターンを通じて段々と「日本企業の海外進出を含む経済・開発支援に携わりたい」と、将来をより明確に思い描けるようになったと話します。東日本大震災で被災した地元仙台の復興の様子を間近で見てきた自身の経験も、同様に「日本だからこそできる支援への従事」という伊藤さんの志を形作る一要素となっていたのでしょう。日本の企業・自治体とウクライナの自治体とを繋ぐ、地方分権を進めるウクライナに沿った経済支援が実際にウクライナ支援室で行われています。

(写真:ドイツ留学中の伊藤さん)
(写真:ドイツ留学中の伊藤さん)

5. 国際協力を志す学生や同世代の方へのメッセージ

伊藤さんは「過去の自分にも伝えたい」とした上で、行動することの重要性を強調しました。「恵まれている自分を客観視し、世界の見えにくい実情を見ようと行動することで視野が広がる」と話します。「今、国際協力分野にいなくてもいい。見えていない世界に自から飛び込んでいくことが道を拓く」。大学で初めて国際協力の道を意識し、自らの足で各国へ渡り、3年生の夏にして本当の夢を見つけつつある伊藤さんだからこそ言える言葉です。

JICA人事部開発協力人材室 インターン
小野寺 花佳

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