第109号 PARTNERコラム大好きになった人たちと未来を変えていく

私は、世界中の人たちがアンコールワットを見に訪れるカンボジアのシェムリアップという町に住んでいます。町中からバイクで約1時間15分ほどのトロペアントム村で、現在、カンボジア初の取り組みになる複合施設型の学校を村のお父さんたちと竹建築で建設しています。

(写真:村のお父さんたちと建築中の学校の様子) (写真:村のお父さんたちと建築中の学校の様子)
(写真:村のお父さんたちと建築中の学校の様子)

ここは女性が働く籐(とう)カゴやアクセサリーを作る工房、レストラン、宿泊施設、農業、遊び場が一体になっている学校です。

(写真:海外協力隊事務局 参加促進課のインターンの皆さん)
(イラスト:子どもが学び、大人が働ける、全てが1つになった複合施設の完成イメージ)

この一体型の学校に来る子どもたちは沢山の可能性を知り、学び、将来働くこともでき、生まれた子どもが育ったらまたここで学ぶことができるという循環型の学校でもあります。

(イラスト:循環の構想図)
(イラスト:循環の構想図)

この構想を形にできるようになるまで、気がつけば14年という月日が経っていました。

というのも、14年前初めて学校をカンボジアに建設した際、村には電気、水道、ガスなどのインフラはなく、さらにはポル・ポト時代を含む約20年続いた内戦の影響で、字の読み書きや計算などができる人もかなり限られ、一日1ドル程度しかお金も使えない環境でした。その環境の中でたくましく生きる姿、絶えず笑っている姿から、“幸せに生きる”という生き方のヒントを私はもらっているような気がしていました。そして、いつの間にか大好きになっていたのです。

(写真:カンボジアでの様子)
(写真:カンボジアでの様子)

“大好きになった人たちが困っていたら何かしたくなる。”そんな誰でも持っている気持ちに素直になれた国がカンボジアでした。「勉強できることが嬉しいんだ!働けるというだけでありがたいんだ!」そんなシンプルな言葉や姿からいつも何か大切なものを教わっている気持ちがあります。

14年間という月日が経ち、初めての学校を一緒に建設した子どもが今では一緒に働く仲間になっています。

(写真:子どもだった彼が今では一緒に働く仲間に) (写真:子どもだった彼が今では一緒に働く仲間に)
(写真:子どもだった彼が今では一緒に働く仲間に)

あの頃一緒に字の読み書き、計算を習った子どもたちと今度はさらに次の世代のことを考えて一緒に汗を流し、時には一緒にお酒を飲みながらより良い未来を作る。そんな笑顔の循環を目指してこれからも進んでいきたいと思います。
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代表理事
加藤 大地

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