第116号 PARTNERコラム
幸せをひろげて ~フィリピンの人々が言う幸せの形から考える~
あなたは今、幸せですか?
私がフィリピンの事業地にいると、お決まりのように聞く、「I ’m happy! Because I have my family.」(もちろん幸せ!だって家族がいるから)。
洪水リスクもある場所にバラック小屋を建てプライバシーや衛生環境もない中、日々サバイバルする人が口にする幸せについて、私は今も考え続けています。
2008年、とある本と出会ったことで私は社会起業を志し、パナイ島NGOのワークキャンプに参加しました。そして、ダンプサイトのふもとで生活する人々が自立を目指して廃材を活用し雑貨を作っていると知り、日本での販売を始めました。
当時の私は『たくさん作って、たくさん売ること』が幸せにつながると信じていました。
無理をしてでもたくさん買い取り日本で販売して1年、きっといい結果につながっていると期待したのですが、実際は違いました。
聞こえてきたのは、「残業ばかりで家族といれる時間が少なくなってしまった」「こんなにやり直しばかりしたくない」という声。
単純に収入が増えれば幸せ、というわけではなかったのです。
改めて地域の人々の声に耳を傾けると、子どもの教育、健康、住環境など多様なニーズがあり、ちょっと副収入が入っただけではどうすることもできない現実も見えてきました。
そんな経験から、手工芸品の販売だけでなく生活向上、教育、啓発までたくさんの取り組みを、地域の人々が活動の主役になることで”同時”に進めていくという理想を描いて、日本にはNPOを、フィリピンにはNGOを設立しました。
幸運にも思いを同じくするパートナー、理想を現実にしていってくれる地域の人々、応援してくださる方々と出会うことができ、今に至ります。
私は「今、幸せだな」と思っています。
なんの経験もない中手探りでNPOをはじめ、正直収入は不安定で、なんとか生きている状況です。
ですが、挑戦したい社会像を描き、日々迷いながら、答えのない道を歩むことが楽しいのです。
まだ、フィリピンの人々が言う幸せの形を、私は十分には理解できていません。何もなくても一緒に笑って泣いて日々を分かち合える家族がいることがかけがえのないものなのだろうと想像します。
今、そんな人々を尊重しながら活動する中で、幸せは一回りも二回りも大きくなっているような気がしています。
社会から存在を忘れられているように感じていた自分が、地域清掃や子どもの教育に関わることで、必要とされ認められていくことを実感し、地域のことが大切になったという声は、まさに私自身求めてきたものです。
海をこえて家族のように感じられる人の輪をひろげ、一緒に豊かになっていくような生き方を見つけていきたいです。
ハロハロの活動に興味関心を持ってくださる方がいらっしゃいましたら、SNSのフォロー(npohalohalo)、催事への参加、ボランティア参加、不用品募金、寄付などで応援いただけたら嬉しいです。
特定非営利活動法人ハロハロ 理事長
成瀬 悠
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