第134号 PARTNERコラム
シニアだからできる貢献~ブラジルでエンジョイしよう!(シニアからできる国際協力)

夕方になると西の空が朱色に輝きます。
その光景はまさにダイナミックで何とも言えぬ感動があります。そして宵闇が始まる頃に授業が始まります。これは平日の話。
私の所属するイボチ日本語学校は、平日は学校や勤め帰りの人々のために夜間授業を行います。

この日は、日系2世世代のシニアの人たちに普段はあまり使わない日本語を使いましょうという授業。
時には落語を聞いたり、自分でも初めての川柳を皆で作ったりしました。


演芸会にて、披露した「おむすびころりん」


JICA海外協力隊に応募したきっかけは、定年後への不安です。
人生100年時代と言われる中で定年後に、新たな人生の線路を引きたいと思いました。
人のためになること、海外で生活をしてみたいという希望に加え、自分にも家族にもあまり無理のないことを考えたときに、日本語教師の資格を取って、JICA海外協力隊に応募する道を見つけました。
65歳まで会社に残れましたがスタートは早い方がいいと思い60歳定年を選び、それ以前から日本語教師養成講座に通いました。


今、在籍しているイボチ日伯文化体育協会はブラジル最南部のリオグランデ・スル州イボチ市の日系コロニアで、日本語学校のほか、卓球やゲートボ-ル、演芸会、運動会、餅つきなどのスポーツや行事も行われています。
平日は週3回と土曜午前の授業のほか和太鼓や各種イベントに参加し、今年から剣道教室も立ち上げました。


和太鼓チームに入った時

和太鼓チームに入った時


今の日系社会の中心であるシニア層は1世や2世を親にもつ、昔の日本を知っている親とつながる最後の世代です。
ですから彼らの思い出は私の子供時代と通じるところもあります。
ブラジルの日系社会では各地で盆踊り、お祭りなど日本の古き良き伝統が残っており、私にとっては、まさに子供時代に戻ったような気分で当時の自分の記憶や経験を還元できるのです。
習字もそうですが、何十年ぶりに盆踊りを踊ったり、竹刀を握ったりしました。他の地域の隊員から見ると遊んでいるように見られるかもしれません。

また、今年はイボチ市への移住60周年の年で、私がニュース記者出身ということで地元の歴史をまとめる作業へも協力しています。
社会経験が豊富なシニア層は、日本語教育にとどまらず、これまでの自分の経験や知見を日系社会に生かして協力できることが多いはずです。


リオのカーニバルを初体験

リオのカーニバルを初体験


ただ一人で生活する苦労や、体力の衰えや健康への不安など、ブラジルという先進社会だからできている点もあります。

一方で自分の人生経験を伝え、それを喜んでもらえるというのは何とも楽しいことです。
まもなく任期が終わりますが、是非、日本での経験や知識を日系社会に還元しながら、残りの人生の一部をブラジルの大地で大いに楽しんでみませんか。


JICA海外協力隊(日系社会海外協力隊)2023年度3次隊/ブラジル/日本語教育
配属先:イボチ日伯文化体育協会 イボチ日本語学校
細川 康雄

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