第135号 PARTNERコラム
枯れることのない好奇心〜海外協力隊としての挑戦と学び〜(シニアからできる国際協力)

電車内で見かけた広告をきっかけに、久しぶりに応募要項を確認したところ、JICA海外協力隊の応募資格が変更されていることに気づきました。

17歳のときに一度諦めた夢でしたが、「たとえ1%でも叶う可能性があるのなら」と思い、応募を決意しました。
若い頃に一度は夢見て諦めた道に、再び立つことができたのは、心のどこかにずっと灯り続けていた「知りたい」「やってみたい」という好奇心があったからかもしれません。

現在は、「日ラオス外交関係樹立70周年」に向けた陶器の新作デザインの考案と、それに使用する釉薬(ゆうやく)の製作に取り組んでいます。
釉薬の原料はもともとタイから輸入されていますが、その一部を国内で手に入る木灰や藁灰に置き換えて作る方法を、専門家の方から教えていただき、スタッフと協働で実践しています。
陶芸担当のスタッフに、新作のデザイン図案をいくつか見てもらった翌日に、スタッフの手によって、すでにサンプルが完成していた時には、言葉にできないほどの感動を覚えました。

このような関係性の中で、「みんなのために自分に何ができるのか?」を常に模索しながら、その実現に向かって活動できることに、大きなやりがいを感じています。
スタッフとの何気ない会話の中で、「自信が持てるようになった」「楽しかったからまたやってみたい」と話してくれる瞬間に、心から喜びを感じます。


燃やした灰をバケツに入れて水簸(すいひ)作業をしている様子

燃やした灰をバケツに入れて
水簸(すいひ)作業をしている様子


また、日本国内にいては出会えないような方々との出会いも、現場の魅力です。
日本から国際協力を目指す若い世代の方々がスタディツアーで訪問されることがあり、現場でのやり取りの中で交わされる、彼らの質問や感想には、新たな視点や気づきが詰まっており、私自身の学びをより深めてくれる貴重な機会となっています。

興味はあっても、なかなか一歩を踏み出せない方や、「今さら自分にできることなんてあるのだろうか」と躊躇される方もいらっしゃるかもしれません。
けれども、国際協力の現場では、年齢に関係なく、異文化との出会いを若い頃と変わらず新鮮に楽しむことができます。
また、赴任先の現場だけではなく、応募から派遣に至るまでのプロセスの中でさえ、新たな学びや出会いがあり、自分自身の成長を実感できる貴重な時間となります。
私の願いは、できるだけ多くのシニア世代の方々に、この活動を経験していただきたいということです。
海外での新たな体験を心から楽しみ、その中で得た喜びや感動を、ぜひ子どもや孫の世代へ伝え、国際協力の魅力を次世代に広げていっていただけたらと願っています。
そして、これらのことを通じて、世界中の誰かの未来を照らす一助になれたらと思います。


JICA海外協力隊(日系社会海外協力隊)2023年度4次隊/ラオス/コミュニティ開発
配属先:ラオス女性障害者支援センター
田口 妙子

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