第147号 PARTNERコラム
非医療者から見たカンボジアの子どもと医療(前編)

ジャパンハートは「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに掲げ、カンボジアをはじめとするアジアの開発途上国で、病院運営や無償治療を行っている日本発祥の国際医療NGOです。

全2回の連載でお送りする本記事では、塾講師から国際医療ボランティアへ転身し、現地で子どもたちの生活の質を支える「子ども支援スタッフ」として活動した福山の手記をお届けします。
前編では、非医療者の視点で初めて目にしたカンボジアの医療現場のリアルと、そこで奮闘する専門職チームへの想いを綴ります。

はじめに

2025年10月に子ども支援スタッフとして着任した福山です。
子ども支援スタッフは、ジャパンハートとして新しく設けられたポジションであり、医療行為は行わず、「遊び」や「関わり」を通じて、入院中の子どもたちの療養体験をより良くすることを目的としています。
これまで約8年間、学習塾講師として子どもたちと向き合ってきた経験を活かせるのではないかと思い、参加を決めました。
医療の現場で働くのは、私にとって初めてです。今回は非医療者として感じたことを中心に書き記したいと思います。


仲良く絵本を読む子どもたち

仲良く絵本を読む子どもたち

子どもたちの笑顔と涙

私が配属された小児がん病棟では、長期治療のために入院している子どもたちが多く、人懐っこく明るい子がたくさんいます。
初日から私の手に素敵な絵を描いてくれる子もいました。
これまで日本人スタッフや、同じ制服を着たカンボジア人スタッフが時間をかけて築いてきた信頼関係のおかげで、私にも心を開こうとしてくれたのだと思います。


私の手に子どもが書いた絵

私の手に子どもが書いた絵


病室から出てこられるほど体調の良い子は笑顔を見せてくれますが、処置を受ける際の子どもたちはまた違った表情を見せます。
特に印象に残っているのは、処置室から聞こえてくる泣き声です。学齢期の子は静かに耐えていますが、1〜4歳の子どもたちの多くは激しく涙を流します。
私が知っていた「甘え」の泣き声とは異なり、そこには痛みや恐怖と向き合う「叫び」が混ざっていました。
耳にするたびに胸が痛みますが、子どもたちは懸命に処置を乗り越え、医療者の皆さんはその声を一番近くで受け止めながら、最善を尽くしています。

ミーティングを行う看護師と医師

ミーティングを行う看護師と医師

医療者という専門性

私はもともと開発途上国で働きたいという思いがありましたが、どの分野で貢献したいかを決めきれず、学生時代は幅広く学べる文系の道を選びました。
一方で医療者の皆さんは、ご自身の専門分野を極めながら、海外にも目を向け、語学や異文化理解にも取り組む姿勢に頭が下がる思いです。
子どもたちの療養支援を考えるうえでは、保育・教育・心理などの多面的な視点が必要になります。
ひとつの専門にとらわれない「何でも屋」だからこそ、できることがあると感じています。
その役割をこれから少しずつ形作っていきたいと思います。



執筆:ジャパンハート 国際医療ボランティア 福山(子ども支援スタッフ)
転載・構成:特定非営利活動法人ジャパンハート事務局

【用語】
子ども支援スタッフ:医療現場において、保育士、幼稚園教諭・小学校教諭、児童指導員などの経験者が、治療に伴う子どもの心理的負担を軽減するために活動する専門職

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