第148号 PARTNERコラム
非医療者から見たカンボジアの子どもと医療(後編)
ジャパンハートは「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに掲げ、カンボジアをはじめとするアジアの開発途上国で、病院運営や無償治療を行っている日本発祥の国際医療NGOです。
「子ども支援スタッフ」の福山による連載後編では、いよいよ稼働を開始した新病院「ジャパンハート アジア小児医療センター」への移転当日の舞台裏に迫ります。
新しい医療環境が、長く過酷な治療を続ける子どもたちの心にどのような変化をもたらしたのか。
現場の最前線から、ハード・ソフト両面での支援の重要性をお伝えします。
★前編はこちら★
子ども支援スタッフの福山です。ついに新病院が開院し、小児がん病棟の子どもたちがこれまでの病院から移転した「引っ越し当日」の様子を綴ります。
引っ越し前の病院、このプレイルームともお別れ
引っ越し当日
子どもたちは全員体調も良く、キラキラした笑顔で、新病棟へやってきました。
光が差し込むガラス張りのプレイルーム
早速、広くなったプレイルームで遊びまわる様子
馴染みの病院スタッフがお出迎えすると、それに気付いた子どもたちは抱きついたり、保護者の方が安堵の表情で挨拶を交わしたり。
新しい環境への興奮と不安が入り混じる中、少しでも「安心」を提供できたのかもしれないと、胸が熱くなりました。
病院の中庭を見ながら
「トムトム!(おっきい!)」とはしゃぐ様子
また、今回強く感じたのは「全員の体調が良い」という状況の尊さです。
日々の過酷な治療の中では、誰かしらが副作用で伏せっているのが日常です。
しかしこの日は、移送のために治療スケジュールが調整され、全員が笑顔で走り回っていました。
ジャパンハートの歴史的な日であるということをひしひしと感じ、新参者の私にも込み上げてくるものがありました。
イベントの様子
環境がもたらした変化
特筆したいのは、これまでシャイだった子が、移転を機にとても開放的になったことです。
新病院のダイナミックな空間に触れた瞬間、人が変わったように喜びを表現する姿に驚かされました。
「開放感」を感じにくい入院生活において、環境の変化が、彼らが内に秘めていた感情を解き放つきっかけとなったようです。
「みんなでつくる病院」というコンセプトのもと誕生したこの場所で、環境を共に喜び合ったことで、子どもたちとの距離もより一層縮まりました。
私が一番近くで見せてもらったこの感動を、少しでも皆様とシェアできれば嬉しいです。
寄付のおもちゃで遊ぶ子どもたち
執筆:ジャパンハート 国際医療ボランティア 福山(子ども支援スタッフ)
転載・構成:特定非営利活動法人ジャパンハート事務局
【用語】
子ども支援スタッフ:医療現場において、保育士、幼稚園教諭・小学校教諭、児童指導員などの経験者が、治療に伴う子どもの心理的負担を軽減するために活動する専門職