第11号 PARTNER便り 地域発！国際協力（九州編（上））

国際協力や世界って、地方にいると遠く感じる…

いいえ！　地方でも、いや、地方だからこそ、できる国際協力があります。
地方には、それぞれの「得意」を生かした国際協力のタネがいっぱい。
そして、「出前講座」など、世界に触れる機会もいっぱい。

今回から２回に分けて、九州で職員研修を行ったJICA新人職員４人のレポートをお送りします。国内での取り組みを学ぶため、各地で現場視察を行い、様々な方と意見交換し交流。地域と世界との繋がりを、しっかりと感じてきました。

＜第一弾・福岡＞大牟田市立宮原中学校・田隈中学校で出前講座！

2019年4月にJICAに入構した、審査部の鼻戸理沙です。
私からは、福岡県大牟田市立宮原中学校、田隈中学校にて「2030年置き去りにしない・されない」というテーマで行った出前講座について紹介します。
今回の出前講座は、大牟田経済倶楽部70周年記念事業としてJICA九州に対し実施要請があったもので、今年度、大牟田市内の8つの中学校を対象にSDGs（持続可能な開発目標）をテーマに巡回実施しています。
出前講座では、JICAからSDGsやJICAの活動を紹介した他、主催である大牟田経済倶楽部会員企業様より会社事業のご紹介、またJICAデスク福岡の森川国際協力推進員よりバヌアツでの海外協力隊の経験を紹介しました。大牟田経済倶楽部様からのご要望もあり、SDGsやJICAの活動に加え、途上国の課題解決に繋がる地元企業の取り組みや技術、開発途上国での暮らしや異なる価値観を伝えるいい機会となりました。

中学校の生徒・教員の皆さんには非常に熱心にお話を聞いていただき、講義の中に含まれていたクイズにも、挙手を通じて積極的にご参加いただきました。
また講義後には海外に関心を持ったという生徒さんも大勢おり、とても嬉しかったです。

SDGsは世界全体の課題に対する目標であり、特に海外の課題は日本にいると想像する事が難しいかもしれません。しかし、私たち一人ひとりが関心を持ち、身の回りから行動することで地域の課題解決はもちろん、ひいては世界の課題解決やSDGsの達成にも繋がっていきます。
今回の出前講座を通じ、ささやかながらもそのような関心を持つ小さなきっかけをつくることができたのではないかと感じています。

宮原中学校、田隈中学校の皆様、この度は出前講座にご参加いただき、また大牟田経済倶楽部の皆様にもこのような機会を提供いただき、本当に有難うございました！

■関連リンク　大牟田市HP
http://www.city.omuta.lg.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&type=top&id=13038

＜第二弾・鹿児島＞ゴミのリサイクル率日本一！大崎町を訪問

2019年4月にJICAに入構した農村開発部の松葉慶司です。
私からは、鹿児島県大崎町にて視察したゴミ減量化の取り組みの様子を紹介します！
大崎町にはごみ焼却施設がありません。処分するゴミの量が増加し既存埋立処分場の残余年数がひっ迫する中、①焼却炉の建設、②新たな埋立処分場の建設、③既存の埋立処分場の延命化、の三択に迫られ、大崎町は「③既存の埋立処分場の延命化」を選択、1999年よりゴミ減量のため分別品目数を増やしリサイクル率向上の取り組みを始めました。その結果、大崎町の一般廃棄物リサイクルは12年連続で日本一、埋立ゴミの量は取り組み前後でなんと約84%も減少したというから驚きです！！
大崎町では、この経験を基に2012年度からJICA事業を活用し、インドネシアに対し技術移転を通じ、現地の方々と協働でゴミ減量化に向けた取り組みを行っています。
今回、大崎町でのゴミ減量化の取り組みに欠かせないリサイクル施設を視察しました。
まず初めに、生ゴミの処理を行っている有機工場を訪問。ここでは、回収した生ゴミを草木類チップとヨモギ由来乳酸菌と混ぜ合わせ、4ヶ月間自然発酵させることによって、完熟堆肥を生産しています。出来上がった堆肥は、「おかえり環ちゃん」という名前で販売され、近隣農家さんからも好評を得ているとのことでした！
次に、リサイクルセンターを訪問。27品目にも及ぶ分別回収後、資源として「出荷」される様子を視察しました。その後、町役場職員の方から、ゴミ減量化の取り組みに加えて、リサイクル事業を軸にした今後の国際戦略や人材育成等に関する大変興味深いお話を伺いました。お話をして頂いた職員の方からは、それらの取り組みに対する並々ならぬ熱意を感じ、非常に見習うことの多い貴重な経験となりました。
この度、お忙しい中ご協力いただいた大崎町役場、そおリサイクルセンターの皆様、本当にありがとうございました！！

※次回は長崎、鹿児島での活動報告をお届けします。

今回の新人職員のイベントレポートも掲載。JICA九州のFacebookは こちら