「国際協力業界への転進」~JICA国際協力JOBセミナーから㊤
自分のこれまでの仕事の経験は、国際協力業界で活かせるのか。
他業界から、国際協力業界への転進は可能か。
国際協力業界へのキャリアチェンジを考える方々から多く寄せられる質問です
5月25日から3回にわたり開催している本年度第1回JOBセミナー「国際協力業界への転進」では、JICA、開発コンサルタント、NGOに転職し活躍する方々に経験談を語っていただいています。
今回は、JICA編(5月25日)と開発コンサルタント編(6月3日)から、登壇者のメッセージを一部お届けします。(詳細なキャリアパスや質疑応答は公開動画から!)
■5月25日 JICA編
活かせる経験は知識や分野の専門性だけではない。
どのように仕事に取り組んできたか、社会人として、人としての経験が重要。
人事企画課
山本 美奈子
JICAは世界の多種多様な課題解決に取り組む組織です。そのため、求められる人材も出身業界も多様です。総合職は地域、課題、マネジメントそれぞれに関わる部署で、ローテーションでキャリアを積んでいきます。前職の経験を活かすことももちろんですが、国際協力という業界は奥深く、学び続けることも重要です。前職の専門的な知識・技術だけでなく、社会人としてのスキルや前職での業務手法、自身の経験や能力をJICAでの業務にどう活かせるのか。社会人採用では、経歴のみで見るのではなくあらゆる側面から評価させていただきます。これからは「ネットワーク」が重要です。JICAのような公的機関とビジネス産業が益々連携して途上国の課題解決に当たることは、現在のJICAの重要課題であり、社会を経験した皆さんのJICAと外とを「繋げる力」が求められています。
財務部市場資金課課長
谷口 肇
大学卒業後、都市銀行に就職しましたが、働きながら途上国の国造り、特にインフラ整備に金融面から携わりたいと考えるようになりました。次第に「チャンスを掴みにいかないと後悔する」と思い始め30歳でJICA統合前のJBICに転職しました。JICAの業務には前職での「顧客志向」が活きています。また、JICAの仕事はどこの部署でも、途上国の国創りに貢献しているという「意義」を感じ、日本人として国同士の関係に貢献することや、次世代に継承していく醍醐味を実感しています。転職に迷いはありませんでした。やりたいことができないことの方が不安でした。
人事部労務課企画役
井上 琴比
通信・IT系の民間企業でシステムコンサルタントとして働くうちに国際協力に仕事で携わりたいという思いが強くなり、まずは大学院に進学し開発経済学を学びJICAに転職しました。国際協力と直接関係のない前職での経験を活かすのは困難かと思いましたが、顧客のニーズ・課題の把握と解決策の検討、課題の解決といった経験は、JICA職員の仕事と共通点がありました。前職の経験の活かし方は直接的な知識や分野だけではありません。自分の能力、経験、適性、目指すキャリアパスを見据え、どのように国際協力に携わっていきたいかを考えることが重要です。国際協力業界への転進を考えた時、幅広い分野に関わることができ、また日本の経験を活かして途上国を支援する、その事業が日本への信頼に繋がるという、国際機関などの他の援助機関とは異なる仕事ができるという点からJICAを選びました。JICA職員は思っていた以上に幅広い仕事ができ、学ぶことが多くやりがいを感じています。
■6月3日 開発コンサルタント編
自分は何に興味があるのか。どのように国際協力に関わりたいのか。
まずは自分を知ることから。
海外コンサルタンツ協会(ECFA)人材養成・研究会・広報業務マネージャー
河野 敬子氏
開発コンサルタントは、途上国の課題解決をすることが仕事で、世界150カ国以上で実施されているODAプロジェクトをJICAと協力しながら行っています。開発コンサルタントは、それぞれの課題に対して自らの提案を自ら実施できる仕事です。開発コンサルティング企業には、現場で活躍する開発コンサルタントのほか、それを支える事務系の仕事もあります。国際協力業界に限らずキャリア選択をしていくには「なぜ?」「どのように?」働きたいのかといった自己分析が重要です。JICAと開発コンサルタントのように、同じ国際協力業界でも役割が異なります。自分はどの役割を担いたいのか、しっかり定めて、焦らず、比べず、今できることを着実に、勉強や情報収集など行動をしましょう。
株式会社三祐コンサルタンツ海外事業本部企画推進部主幹
平山 康太氏
大学卒業後、民間企業に就職し購買コンサルティング業務に携わっていましたが、途上国での仕事に関わりたいという想いから、大学院で開発学を学び、開発コンサルタント企業に転職しました。開発コンサルタントに興味を持ったきっかけは、農村開発というフィールドで現場の最前線で業務に関わりたいと考えていたこと、様々な国で業務を経験できること、多様なキャリアを持つ人が多く、様々な経験を活かすことができると考えていたためです。開発コンサルタントとして、様々な業務を経験する中で、農村金融やアグリビジネス支援といった分野にも関わる機会があり、自分の業務の幅を広げられるように日々学んでいくことの重要性を感じています。開発コンサルタントの魅力は、新しいことにもチャレンジする機会があること、フィールド調査から政策提言まで、様々な人と幅広い仕事ができること、多様なバックグラウンド・専門性を持った人たちと一緒に仕事ができることです。
株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング シニアコンサルタント
盛田 詩子氏
もともと開発業界に興味がありましたが、大卒ストレートでの就職は難しいと知り、またどの分野でスキルを身につければよいか考え、興味があった教育分野で社会人経験を積み、さらに英国の大学院で開発学(教育と開発)の修士号を取得してから挑戦しました。前職である英会話学校勤務時代の、学校運営の課題を見つけ解決していくという経験、また民間企業の視点を持てることが現在の業務に活きています。開発コンサルタントを選んだのは、アクターとして関わりたかったこと、また政策決定など上流部分にも関われ、広い範囲に働きかけができるからです。国際協力業界では、状況により求められる人材も変わります。経歴に自信がなくても、諦めずチャレンジを。アドバイスは語学力、専門性、統計分析、コミュニケーション能力を身につけておくことです。開発コンサルタントの仕事は、女性にとってはライフイベントとの両立が困難なこともありますが、自身も育休取得後に復帰し、周りのサポートを得て両立しています。今は子育てをしながら働き続けている女性コンサルタントも多いですし、育休取得する男性コンサルタントもいます。
※JOBセミナー「国際協力業界への転進」JICA編の動画を公開しています。
(開発コンサルタント編は6月18日公開予定です。)
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NGO編は2020年6月26日(金)18:00~19:30に開催します。
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JICA人事部
開発協力人材室
砂子知香
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