「国際協力業界への転進」~JICA国際協力JOBセミナーから㊦
5月から3回にわたり開催した今年度第1回JOBセミナー「国際協力業界への転進」。JICA編、開発コンサルタント編に続き先日、国際協力NGO編が開かれました。
国際協力NGOの概要、また他業界から転職した登壇者の経験談やアドバイス、メッセージをお伝えします。
(詳細なキャリアパスや質疑応答は公開動画からご覧ください!)
■6月26日 国際協力NGO編
国内・海外、職種は様々。自分のスキルはどれに活かせるか。
自分の信念と団体の理念は合っているか。
国際協力NGOセンター(JANIC)コミュニケーショングループ コーディネーター
山田 直樹氏
一般的に「国際協力NGO(※以下、NGO)」は国際協力を行う市民組織で、日本に500団体ほどあります。NGOは海外の現場での支援活動だけでなく、オペレーション業務を行う日本での活動もあります。
NGOスタッフの国内での職種は、管理、広報、事業、資金調達などです。海外はプロジェクトの立案・実施監理や日本事務局との連絡、現地との調整・交渉などを担う総合職と、医師、看護師、ITエキスパートなどスキルを活かして現場で活躍する専門職です。国内・海外いずれもコミュニケーションスキル、団体の活動への賛同、実務経験が求められます。加えて、海外業務ではプロジェクトマネジメントスキルや英語だけではない語学力も必要です。転職の際には自身のスキルがどの職種で活かせるか参考にしてください。
NGO職員は即戦力が求められ、中途採用が多いです。その他、インターンやボランティア等で団体と関わって、そのまま職員になる道があります。NGOにはキャリアプランをしっかり持っている人が多く、特に転職で様々なNGOを経験する人が多数です。
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ) プログラム・コーディネーター
池之谷 理恵氏
学生時代から国際協力に興味を持っていましたが、通っていたオーストラリアの大学での経験を通して、日本人としてまず日本の社会について知る必要を感じました。そのため、卒業後は日本の人材会社で営業として勤務しました。仕事は楽しかったのですが、海外との接点が薄れていくのを感じていました。そろそろ国際協力業界で働く夢に向かい本格的に転職活動をしようと思っていた頃、WVJで働く友人から採用情報を聞き調べる中で、自分がこの団体で働くイメージが湧いてきました。何より団体の理念に共感しました。国際協力業界は未経験でしたが、幸いにも合格し一歩を踏み出しました。WVJのマーケティング部で3年半勤務した後、海外協力隊でマラウイに派遣され、帰国後はWVJに戻り半年間マラウイ駐在、大学院を経てWVJに復職しました。
民間企業で身に付けたビジネスマナーやPCスキル等は、NGOでの仕事に役立っています。これから国際協力の道を目指すなら、国際協力という大きな枠組みの学びを深めるよりも、専門分野の勉強やPCスキルを活かしたエクセルを使った分析やウェブマーケティング、英語以外の語学など、自分のアピールポイントを作ることをおすすめします。そして一番大切なのは信念です。団体の理念が自分の信念とマッチするか、ぜひチェックしてください。
大学院在学中にJICAや世界銀行での業務も経験しましたが、私がNGOで働き続ける理由は、現場により近いからです。実際に難民の方に会い、何が必要かを聞き事業形成・展開をする、それがNGOでのやりがいです。
難民を助ける会(AAR) プログラム・コーディネーター
三木 将氏
外国語大学でスワヒリ語を専攻し在学中に一年間休学、ケニア・ナイロビの孤児院でボランティア活動をしました。国際協力に興味がありましたが、卒業後は国際物流の企業に就職しました。海外出張も多くやりがいを感じていましたが、対顧客ではなく地域住民を相手に、受動的な仕事でなく自分で組み立てる能動的な仕事がしたいと思いました。夏季休暇でケニアへ旅行に行き、自分がやりたかったことを思い出して転職を決意し、30歳の時に退職。その時点では次の道は決まっていませんでしたが、やはり国際協力の仕事をしたいと思い、知人のつてでナイロビのNGOでボランティア活動をしました。その時にAARの駐在員と話す機会があり、調べるうちに幅広い活動を行っているこの団体に入りたいと思い、帰国後に就活をして入職しました。
この仕事のやりがいは、常に新しい課題やニーズがあること、それを自分たちで拾い上げ自分たちで作り上げることです。そしてこのような活動は一人では成り立たない連帯感があります。また、組織には様々なキャリアパスを持った人がいます。そのような人々が共通した思いを持って一緒に仕事をしている楽しさがあります。
AARで最初に担当した広報(Web)については、専門知識や経験は全くなく、入職後に身に付けました。ですので、特に今の仕事からの継続性やつながりは気にしすぎなくても良いと思います。
※JOBセミナー「国際協力業界への転進」の動画を公開しています。(JICA編、開発コンサルタント編)
国際協力NGO編は7月16日に公開予定です。
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