「国際協力×文化遺産保護」について実務の中で学ぶ【JICA横浜編】
「国際協力」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか? ハードルが高そう、特別な人しかできなさそう…。そんな遠いイメージがあるかもしれません。もしかしたら、「国際協力」という言葉自体が、ある種の「重さ」を感じさせているのでしょうか。
だけど、実際に現場を見たり体感してみたら、そのイメージは変わるかもしれません。今回から、JICA人事部インターンによる同期インターンへのインタビューをお届けします。なぜ国際協力に興味を持ったのか。今後どのように関わっていきたいのか。あえて「国際協力」にフォーカスします。
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土井 貴美子さん (JICA横浜:総務課/海外移住資料館の来館者向け教育プログラムおよび広報業務補佐)
1.国際協力に興味を持ったきっかけはなんですか?
「私は幼いころから京都の文化に触れてきた影響で、文化遺産に大きな関心を抱いています。文化遺産とは人々のアイデンティティを形成するもので、私はこれからも守り続けていかなければならない重要な価値だと思っています。日本は数多くの文化遺産を保有し、保護・保全にお金を費やすことができるので比較的良い状態で残っている建造物や美術品が多いです。しかし世界では多くの重要な文化遺産が紛争によって破壊され、今もなお姿を消し続けています。皆さんの中には『人命の方が大切だ。文化まで守る必要なんてない』と思う方もいるかもしれません。確かに人の命ほど大切なものはありません。しかし将来その国が豊かになったとき、自分のアイデンティティや国の歴史をたどる遺産が何もないというのは一つの大きな問題だと私は考えています。『人々の拠り所ともいえる文化遺産を守る手助けをしたい』。これが私が国際協力に興味を持ったきっかけです。」
2. 本インターンシップポストへの応募理由について教えてください。
「本プログラムでの活動が、これからの大学院での学びに活かすことができる内容だからです。私は大学院で、歴史資料のデジタル化の最善の手法や活用方法について研究したいと考えています。そこで海外移住資料館での業務補助を通じ、歴史資料の作り方や資料館の役割などについて学ぶことで、その後の研究に役立てていきたいと考えています。また、職員の方々が展示資料や教育プログラムを作る際に注意されていること、工夫されていることなどについても、実務を通じて学んでいきたいです。」
3.今後、「国際協力×文化遺産保護」にどのように関わっていきたいですか?
「私は、文化遺産保護の中でも特に無形文化遺産の保護に力を入れていきたいと思っています。例えば、開発途上国などにおける開発支援をする際には、民族舞踊やその土地に残る生活習慣など、姿かたちが残らないものを残しつつ支援できる方針をつくったり、それらを映像に記録し後世に残したりしていきたいですね。また日本では、主に伝統工芸技術の保護に力を入れたいです。日本人の生活スタイルの変化や需要の減少に伴い、伝統工芸技術が徐々に失われ始めています。そこでファッションに取り入れるなど現代の生活スタイルに適応させるように工夫しながら伝統工芸品を身近なものにしていきたいと考えています。また日本に限らず世界的に需要を広げていくことで伝統工芸の復興と発展に貢献していきたいですね。」
4.学生や同世代の方々にメッセージをお願いします。
「国際協力という観点から外に目を向けることはとても大切なことだと思います。しかしそれと同時に自分のルーツをしっかりと持つことも大切です。大学時代に文化人の方からお話を伺った際、日本についてまだまだ知らないことがたくさんあることに気づきました。そこから日本の文化について研究し始めたことで日本の魅力を再発見することができ、また世界にも視野を広げることができました。世界に意識を向け始めると日本のことを見落としがちになってしまいますが、外から再び日本を見つめることで見えてこなかったものが見えるようになると思います。皆さんにはぜひ、自分のルーツを大切にしてもらいたいですね。」
(2020年10月執筆)
JICA人事部
開発協力人材室 インターン
深澤智子
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