• 国際協力夫婦 Vol.1

結婚・子育て・キャリア…
国際協力業界で共に働く2人に聞いてみた!

二人の写真


国際協力業界は海外出張や駐在が多い、プライベートの時間が少ない…そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
国際協力業界で働く人同士で家庭を築いている人はいるの?と気になったことはありませんか?

今回は、開発コンサルティング会社で働く小林さんと高梨さん夫婦にインタビュー。
現在、1歳10か月の子育てに奮闘しながら、第二子の出産も控えています。

国際協力業界でキャリアを築きたいけれど、家庭との両立に不安を抱く読者に向けてリアルな声をお届けすべく、お二人の生活について聞いてみました!


小林さん

株式会社かいはつマネジメント・コンサルティング
国際ビジネス支援部

小林 三恵さん

大学卒業後、日系アパレル企業に就職。その後、JICA海外協力隊としてマダガスカルで青少年活動に2年間従事。帰国後、株式会社かいはつマネジメント・コンサルティングに入社。現在は国際ビジネス支援部にて、日本企業の途上国・新興国展開をサポートしている。

高梨さん

株式会社かいはつマネジメント・コンサルティング
国際ビジネス支援部

高梨 直季さん

大学院卒業後、JICA海外協力隊 パプアニューギニア村落開発普及員(現在のコミュニティ開発)として赴任。その後、株式会社かいはつマネジメント・コンサルティングに入社。現在は国際ビジネス支援部の部長として、日本企業の途上国・新興国展開支援に取り組んでいる。

仕事でもプライベートでも互いを名字で呼び合うふたり。
同じ職場で働く地続きな生活

――本日はありがとうございます!早速お聞きしたいのですが、おふたりはこの会社で出会ったのでしょうか? ?

インタビューを受ける二人
高梨さん

高梨さん:

はい。出会いはこの会社で、現在は同じ部署に所属しています。


小林さん

小林さん:

まさか、職場結婚するとは思っていなかったですね(笑)
付き合ってから1年弱で結婚し、結婚してからは2年半になります。その後第1子が生まれ、今1歳10か月です。
また、10月には第二子の出産も控えています。


――小林さん、高梨さんは、フルタイムで勤務されているのでしょうか?お二人のお仕事内容や働き方を教えてください。

小林さん:

私は海外進出支援アシスタントとして、企業の円滑な海外進出、事業展開に向け、日本国内からコンサルタントのサポート業務をしています。
フルタイム勤務で、週1〜2日は出社、それ以外は在宅勤務という働き方です。

高梨さん:

私はコンサルタントですが、2025年5月から部長職になり、チーム全体のマネジメントも担っています。

基本的には出社がメインですが、2〜3か月に1回くらい短期の出張が入ります。長くても2週間程度で、最近は1週間くらいのものが多いですね。
ただ、できるだけ在宅勤務を活用して、家庭とのバランスを取るように意識しています。


――国際協力業界というと、海外への出張などもありライフイベントとの両立が難しいのではという印象もあります。結婚や子育てについて、どのように考えていましたか?

高梨さん

高梨さん:

僕はいつか子どもが欲しいな、とは思っていましたが、あまり具体的に想定していなかったですね。


インタビューを受ける高梨さん

小林さん

小林さん:

私は逆に、もともと結婚したい、子どもが欲しいという気持ちがありました。

出産には年齢的なリミットがあるので、そこは優先したいなと思っていましたね。
だから、どうすれば家庭と仕事が両立できるのかを逆算してキャリアを考えてきた部分もあります。

婚活をしていた時期もあったのですが、国際協力業界ならではの不規則さを理解して受け入れてくれるパートナーを見つけるのは、意外と難しいんだなと気づかされました。
だからこそ、やっぱり生活や働き方に対する価値観が合うことが大事なんだと思うようになったんです。


海外主張時の小林さん

タンザニアにて現地インタビューを行う小林さん


――家庭内での家事や育児の分担はどうされていますか?

高梨さん

高梨さん:

朝食は僕が担当しています。朝早く家を出るので、子どもの分もあわせて作っています。
仕事は出社がメインなので、保育園の送り迎えは基本的に小林さんに任せていますね。

小林さん

小林さん:

家事は「できる方がやる」というスタンスで、細かいルールは決めていません。
私はリモートワークがメインなので、子どもを迎えに行った後、そのまま夜ご飯を作るのが日課です。

お互いのやり方や得意分野は違いますが、生活のなかで効率がいい方がやれば良いと思っているので、大きな衝突はないですね。
ただ、料理に関しては私がけっこう口出ししているかもしれないですね(笑)

海外主張時の小林さん

久しぶりの外食の様子

高梨さん

高梨さん:

僕は料理が好きで、ストレス発散も兼ねて週末に料理をするんですが、濃い味になりがちなんです。

子どもが食べる料理でもあるので、そういうときは小林さんが「ちょっと濃いね」と健康の観点から見てくれる。
おかげで僕自身も薄味に慣れてきて、体重も落ちて血圧も下がり、健康的になりました(笑)

あと、洗濯なんかは、小林さんがアパレル業界で働いていたこともあり、プロ並みにたたむのが上手なので、お願いすることが多いです。


――会社も部署も同じとなると、必然的に仕事と家庭が同時進行になることも多いと思いますが、これまでに印象的な出来事はありますか?

小林さん

小林さん:

第一子の出産当日は本当に慌ただしかったですね。
もともと夫は出産に立ち会えないかもと思っていたので、一人でもやれるよう心積もりはしていました。
でもまさか、家で仕事をしている途中に陣痛が来るとは思っていなかったです。

夫はその日の夜中に海外出張から帰国する予定だったので、帰国後すぐに空港からタクシーで病院まで駆けつけてくれました。

結果的には、それから19時間後に生まれたのですが、無事に出産を2人で迎えることができてよかったです。
陣痛の合間にメールを返したり、夫に案件をお願いしたりして…「仕事と家庭が混ざっていたな」という状況でした(笑)

出産後のようす

産後家族写真

高梨さん

高梨さん:

お互いの状況が言わなくても伝わるのは大きなメリットだと思いますし、部内を俯瞰するポジションの小林さんに、家庭でも相談ができるのはありがたいです。

ですがもしかしたら、僕が相談することで小林さんにとっては仕事を思い出させてしまい、ストレスになっているかも。
それはデメリットかもしれません(笑)

――なるほど。まさに「仕事と家庭が地続き」という暮らしですね。

仕事も大事。だからこそ、常に思いを寄せ続ける

――高梨さんは出張も多いと伺いました。育児と仕事を両立するなかで、大変さを感じることはありますか?

小林さん

小林さん:

実家は片道2時間ほどかかる距離なので、すぐには頼れません。
そのため、高梨さんがいない間は、基本的にワンオペになります。

フルタイム勤務なので、毎日が時間との勝負で。1日を終えるだけで精一杯というのが本音ですね(笑)

小林さん
高梨さん

高梨さん:

海外出張のスケジュール共有については早めに共有できるよう心がけてはいます。
ただ、小林さんは業務でチーム全体のスケジュールを管理してくれているので、私が連絡するよりも早く、予定を把握しているかもしれませんね(笑)

また、現場に行くとつい楽しくなってしまって、家庭のことが後回しになりがちです。
これは、この業界にいる人の「あるある」かもしれません。だからこそ意識的に、家族を振り返る時間を持つようにしています。現地からはビデオ通話で話せますしね。
短期の出張でも、帰ってきたときに「できることが増えている」と子どもの成長に驚かされます。

高梨さん
小林さん

小林さん:

同じ業界で働いている分、仕事は仕事で大事にしたいということは重々理解しています。
なので、出張に行かないでとも思わないですし、頑張ってほしいなと思っています。

「理想通り」じゃなくてもいい。共働き子育ての柔軟な選択とは?

――理想のキャリアや家族像について、どのように考えてきましたか?

インタビューを受ける二人

小林さん:

私はもともと「きちんとしていたい」という理想が強い方だったんです。
でも実際、特に子育てなんかは、思い通りにいかないことの連続。「全部を自分でコントロールするのは無理だな」と実感しましたね。

高梨さん:

僕は逆に、あまり「いつまでに○○をしたい」と具体的に考えてはいませんでした。
子どもは欲しいと思っていましたけど、もし小林さんが「子どもはいらない」と言っていたら、それはそれでよかったと思います。

結婚しても、相手の人生は相手のもので、自分の人生も自分のもの。相手の意向を尊重することを大事にしています。


――今振り返ると、その考え方に変化はありますか?

小林さん:

「こうすべき」と決めすぎると、苦しくなってしまうんだなと学びました。
将来は分からないからこそ、正解を無理に決めず、その時々に合わせて柔軟に選び続けたいです。

子どもと一緒にいられる時間は限られているからこそ、今を大事にしながら、キャリアも途切れさせず続けたいと思っています。 社内にも、子育てをしながら交代で出張に行き、やりくりしているご夫婦もいます。
そういう姿を参考にしながら、自分に合ったスタイルや優先順位の付け方を見つけていきたいですね。

高梨さん

高梨さん:

子どもが生まれて生活がガラッと変わったように、これからも状況はどんどん変わっていくと思います。
協力隊の経験を通じて「ある程度のことはどうにかなる」と実感できたので、あらかじめ決めすぎるよりも「なるようになる」と受け止めたいですね。

編集者より

仕事場でも家庭でも一緒に過ごしていて、しかも同じ部署で日々顔を合わせているふたり。
朝食や夕食の分担、出産当日の慌ただしいエピソード、出張中のワンオペと気遣い…。そこには、仕事とプライベートが混ざり合う地続きな生活ならではの工夫が色濃く表れていました。

後編ではさらに踏み込み、喧嘩が起きない理由やすれ違いではなく、すり合わせるための工夫、そしてこれから家族としてどう生きていきたいかなど、未来についてのお話を伺います。 お楽しみに!

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