コラム 地球規模で生きる人

秋田 智司さん(WASSHA株式会社)

仕事をするなら人の役に立つことを!
アフリカで実現できた今が、「超楽しい!」

夢も野望も英語力もなく日本を出たこともないチャラい高校3年生が、彼女の浮気と紛争ニュースをきっかけに覚醒!? 大学・大学院・就職を経てアフリカで起業するまでのリアルなストーリーを全3回でお届け。第1回は、現在のビジネスについて、そしてアフリカへの想いが芽生えた高校・大学時代に注目します!

秋田さんの仕事ってどんなこと?

アフリカで秋田さんが売っているものはなんと電気!

秋田さんのお仕事ってどういうもの?

アフリカには、未電化地域に住む人が6億人いる。意外かもしれないけど、ケニヤやタンザニアのケータイの普及率は7割以上。でも、電気がないから、ケータイの充電や夜の照明に苦労しているんだ。
アフリカには小さなコンビニのような「キオスク」がたくさんあるんだけど、僕は「キオスク」のオーナーと連携して、みんなが電気を使えるようにしたんだ! これで、簡単に充電ができるようになった。他にも、家で使えるLEDランタンのレンタルも始めたよ。このビジネスは、アフリカで出会った電力会社の部長さんのアイデアと、東大の教授が開発した技術で成り立っている。次回、詳しく紹介するよ!

人懐っこい笑顔が魅力の秋田さん。アフリカの仕事のことを楽しそうに話してくれた。

チャラ男から覚醒!? 世界へと心が動いた大事件とは?

秋田さんはいつからアフリカに興味を持つようになったんだろう? 高校時代のことを教えてもらったよ。

どんな高校生だった? そのころから、海外志向はあったの?

高校は茨城県の進学校。だけど、入学できたことに達成感があって、正直勉強はあまりしてなかったんだ。応援団の副団長をやっていたけど、それはチアリーダーと仲良くなりたいという不純な動機から(笑)。ニュースなんて見ないから、世界で何が起こっているのか知るはずもなく、海外に出る発想もまるでなかった。将来は、専門学校に行ってショップ店員になればモテそうだなとか、考えていたのは上っ面なこと。まさに、チャラい感じの高校生だった(苦笑)。

高校時代の秋田さん(写真左)。勉強よりも友達や彼女と過ごす時間をエンジョイ。
何がきっかけで、海外に目を向けるようになったの?

高校3年生になる直前、将来のことを考え始めたころにちょうど彼女の浮気が発覚。すごく傷ついて、どん底だったときに図書館で目にしたのが、コソボでの民族紛争で女性が虐げられているという雑誌の記事。「彼女の浮気だけでもこんなにつらいのに、世界には命がけで大変な日々を送っている人もいるんだ…」と、感情移入。世界中で苦しんでる人たちのために生きるという選択肢もあるんじゃないかと、17歳のピュアな僕は思った。

彼女の浮気を機に、世界中で苦しむ人のことを考えるように。
その思いから進路を決めたの!?

そう。その後、進路指導室でたまたま手にとった雑誌が、国際開発ジャーナル社発行の「国際協力キャリアガイド」。それを見て、「僕がやりたいのは国際公務員の仕事だったんだ!」と気付いたんだ。先生に話してみたら、「東大卒でも難しい職業だよ」と苦笑。でも、別の選択肢として拓殖大学に国際開発学部が新設されることを教えてもらった。その学部ならやりたいことが学べそうだったから、推薦枠に入るためにめちゃくちゃ頑張って勉強したよ。やりたいと思ったら一歩踏み出すことが大切、そう思ったんだ。

ついにアフリカへ! 現地での忘れられない出会い

世界中で苦しんでる人の役に立ちたい。その想いを叶えるために、大学と大学院では何を学び、何を経験したのだろう?

大学と大学院では何を勉強していたの?

大学で学んだのは、開発経済学と国際協力論。国際協力人材になるための教育を受けたんだ。第1期生だったから、先生たちも余裕があって、研究室に行くといろいろな話を聞かせてくれた。その後、さらに勉強を続けたくなって、早稲田大学大学院の商学研究科に進んだよ。

実際に、発展途上国には行ってみた?

20歳のとき、国際NGO(国境を越えて活動する非政府組織のこと)の植林ワークキャンプに参加して、タンザニアへ行った。これが僕のアフリカの原体験。「勉強したことを教えてあげよう」なんて気持ちだったのだけど、現地では逆に教えてもらうことばかり。本では学べない大切なことを学べた。何より良かったのは、尊敬できる同じ年の青年に出会えたこと。彼は超頭がよくて村の人たちにお金を出してもらって大学に通っていたんだ。そんな彼が僕に「いつか自分で会社を作り、村の人たちと何か新しいことをやりたいんだ。お前も一緒にやるか?」って話してくれたのが、衝撃的だった。だって、それまでの僕は、アフリカの人を支援するというアイデアしかなかったから。「アフリカの人と一緒に、現地の人の役に立つことを仕事にする。」これを実現するにはどうしたらいいか、ずっと考え続けることになる。

アフリカの原体験は20歳のとき。植林ワークキャンプでタンザニアへ。
今の仕事につながる第一歩となった。

次回は、就職やお仕事のことを教えてもらいます! お楽しみに。

プロフィール

秋田 智司さん

WASSHA株式会社共同創業者/代表取締役CEO 1981年茨城県生まれ。拓殖大学国際開発学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科修了。外資系コンサルティングファームにて、新しい事業の立ち上げ、業務効率化プロジェクト等に従事、その後NPO法人ソケットを友人と共に設立し、日本企業の途上国進出を推進。ソケットの顧客であった東京大学阿部教授と共に株式会社デジタルグリッドを創業し、2016年3月より現職。

WEB http://wassha.com