技術協力プロジェクト専門家(技術移転型)
概要
技術協力プロジェクト専門家(技術移転型)とは、海外で実施する技術協力プロジェクトなどで、または個別専門家として、相手国政府の実施機関(研究所、訓練所、病院、○○センター、○○機構といった政府系の機関)に配置され、各人の専門技術を生かして、相手国政府の職員などに対して技術移転をしたり、制度や組織の改善に貢献したりする人材です。
契約期間は、通常数カ月から2年程度です。(契約期間は、双方の合意に基づき、同一の案件について当初派遣期間を含め契約期間が3年間を上限として更新される可能性もあります)
求められる資質と能力
求められる資質と能力は個々の案件により異なりますが、一般的に技術協力プロジェクト専門家(技術移転型)において特に必要とされる能力は下記のとおりです。
(「国際協力人材に求められる6つの資質と能力」も併せてご参照下さい。)
分野・課題専門力
技術協力プロジェクト専門家(技術移転型)の場合は、相手国政府の職員などを指導する上で、当該分野課題の専門能力は必須の前提条件となります。この「分野・課題専門力」とは、農業、保健、環境、教育等といった特定の分野における学術的なバックグラウンドに加えて、実際にそうした専門力を活用して業務や指導を行った実務経験により身につけられるものです。
こうした分野・課題専門力は、要請内容や相手国における当該技術分野の状況に合わせた適正な技術レベル/内容を考慮したうえで指導することも求められます。そのため、日本での当該分野の知見だけではなく、他国で実施された同様のプロジェクトなどにおける技術移転の事例などについて、知見や経験を有しているかということも重要になってきます。
総合マネジメント力
技術協力プロジェクト専門家(技術移転型)は、専門家自らが調査や実践を行うことで相手国の抱える問題を解決するのではなく、基本的に相手国政府の職員などを指導し、職員自身が問題を解決できるように適切な助言や指導を行いいつつサポートするということが、その役割になります。そのため、人材育成やコーチングを行いつつ、問題解決に導いていくといったスキルが必要となってきます。
こうしたマネジメント力は、必ずしも国際協力分野特有のものではなく、日本の組織において管理経験のある方などは自然と身につけているため、そうした企業などでの管理職経験や人材育成経験が生きることもあります。
問題発見・分析力
日本とは法制・行政システム、意思決定方法、人間関係や文化が異なる途上国においては、技術移転を実施していく中で発生する課題に備える能力が求められます。また、トラブル等が発生した場合には、問題の所在を明らかにし、解決に必要な情報を迅速に収集したうえで、解決策を提案し実行する力も必要です。
コミュニケーション力
使う言語の如何を問わず、相手国政府の代表者や職員、日本大使館・JICA在外事務所、類似協力プロジェクトの関係者、他ドナーから派遣されている専門家などとの交渉や連絡を円滑に行うためのコミュニケーション力が求められます。