国際キャリアフォーラム (オンライン開催)
イベントレポート
2023年度は「SDGsへの貢献」という観点でキャリア形成を目指す方に向けて、全3回の国際キャリアフォーラムを開催します。第2回の今回は、「企業の取り組みとキャリアパス」編として、サステナブルな社会の実現に向けてSDGs推進に貢献する企業から2名の方にご登壇いただき、活動の内容やキャリアパス、仕事のやりがいなどについてお話いただきました。
登壇者
UCC上島珈琲株式会社 農事調査室 係長 日比 真仁 氏
株式会社バイオマスレジン南魚沼 社長執行役員 奥田 真司 氏
◆企業によるSDGsへの取り組み、キャリアパス◆
- 日比氏:
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「UCC上島珈琲株式会社は、コーヒーの焙煎・卸売を生業として1933年に創業された企業です。『コーヒーの力で、世界にポジティブな変化を』というビジョンを掲げており、『森林や生物多様性を守る』『気候変動への対策』『生産国の生計の向上』という3つの軸を中心に、国内外で広く事業を展開しています。これらのビジョンを実現するため、直営農園をはじめとしたさまざまな農園と関係を築いたり、技術面やハード面からの支援を行ったりしているのが、私の所属する農事調査室です。過去にはJICAと協力し、コーヒー発祥の地であるエチオピアの森林保全プロジェクトなども行いました。また、農家にコーヒーの生産に魅力を感じてもらい、サステナブルな農園経営を目指すことを目的とした“品質コンテスト”の主催や、清潔な水を手に入れにくい生産地に採水場を設置するなど、SDGs達成に貢献するさまざまな活動を行っています。
私はもともとコーヒー好きがだったことと、理系出身のスキルを活かしたいということで、新卒で入社し、はじめは研究職に従事していました。それまでは途上国と仕事するということは想像したこともなかったのですが、2020年に農事調査室へ異動してからは、生産国を訪れるようになり、今まで見えていなかったコーヒーの存在感を知りました。生産国にとって、コーヒーは単なる農産品ではなく、生活を支える大きな価値があるものです。コーヒー専業企業で働くことは、社会に貢献するという意味でもとても意義のあることだと再認識しています。」
- 奥田氏:
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「株式会社バイオマスレジン南魚沼は、新潟県南魚沼市にて2017年に創業されました。事業内容は、国産のバイオマスプラスチックの製造・販売です。食用に適さない“非食用”のお米を活かしたバイオマスプラスチック『ライスレジン』や『ネオリザ』などを展開しています。
私たちが解決を目指す社会課題は、大きく2つあります。
1つ目は『CO2排出によるさまざまな環境問題』です。異常気象、地球温暖化、海洋汚染などは、プラスチックごみ問題と非常に深い関係があります。世界でもCO2削減のため、トウモロコシやサトウキビをベースにしたバイオマスプラスチックが広まっていますが、私たちは、日本・アジア発の“お米”をベースにしたバイオマスプラスチックの普及を目指しています。
2つ目は『日本国内の農業の課題』です。食文化の変容から米の需要が少なくなり、農業従事者も年々減っています。さらに、使われない田んぼが長期間放置される、休耕田・耕作放棄地も急速に増えてきました。こうした農業にまつわる課題を解決するため、休耕田・耕作放棄地を活用したライスレジン用の米作りも進めています。
私は、もともと証券会社に勤務しておりましたが、縁あって当社と出会い、そのビジョンや取り組みに共感して転職を決めました。若いみなさんにお伝えしたいのは、『迷ったらチャレンジを』ということです。私も決断までは悩みましたし、今もすべてが順風満帆というわけではありませんが、後悔は全くありません。我々にしかできないことをやっているというやりがいを胸に、これからも邁進していきます。」
◆質問コーナー◆
質問コーナーでは、参加者のみなさんから寄せられた質問に日比氏、奥田氏より回答いただき、それぞれの視点や具体的な取り組みをお話いただきました。
質問1 入社直後の自分キャリアについてどのように考えて計画していたか。
質問2 SDGsと会社の利益の両立について。
質問3 気候変動への対策は?
※以下、質問内容を一部抜粋して紹介します。
1 入社直後の自分キャリアについてどのように考えて計画していたか。
- 日比氏:
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「私はもともと理系出身でもあり、コーヒーの製造や研究の分野でスキルや知識を活かしていくつもりでした。農事調査室へ異動になったときには、今までとは違うフィールドに戸惑いも感じましたが、キャリアをシフトしたことで視野が広がり、自分の成長にもつながったので、とても良かったと思っています。」
- 奥田氏:
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「証券会社での勤務経験を活かして、転職後は営業活動や資金調達などの方面で役割を果たせそうだと考えていました。ただ、当社はまだベンチャー企業でもありますので、担当に関係なく、やれることはなんでもやるという方針です。」
2 SDGsと会社の利益の両立について。
- 日比氏:
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「生産国に採水地をつくったお話もしましたが、支援によって現地の生活環境が向上すれば、生産量も安定していきますし、巡り巡って会社の利益にもつながります。加えてSDGsに向けた活動は、消費者からの支持や評価にもつながります。一般企業が社会課題に取り組むのは厳しいところもありますが、メリットも少なくないと考えています。」
- 奥田氏:
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「これからの時代、自社の収益だけを追求するスタンスの企業は、お客さまや取引先から賛同を得られず、事業を続けることがむずかしくなっていくでしょう。目先の利益ではなく、ずっと長く続けていける企業を目指す上で、SDGsやそれに準ずる取り組みは、必要不可欠なものになると考えています。」
3 気候変動への対策は?
- 日比氏:
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「今のところ、気候変動に関して大きな影響はありませんが、今後を見据えて、国際的な研究機関では気候変動にも耐えうる新しいコーヒーの品種の開発も進んでいます。当社もさまざまな対策を協議中です。」
- 奥田氏:
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「実は温暖化により、品質の良い米の産地がどんどん北上しているという実態があります。日本の米作りを維持するために地球温暖化防止に努める一方で、もし高品質な米の収穫が厳しくなったとしても、ライスレジンの原料となる資源米であれば作ることはできますので、気候変動や産地の変化にも、私たちの取り組みが貢献できると思っております。」
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