団体からのお知らせ 詳細
- 掲載日
- 2020/11/16
- タイトル
- 2020年9月18日(金)国際協力JOBセミナー「withコロナ時代の国際協力とキャリア‐農業編‐」オンライン開催報告
- お知らせ種別
- お知らせ
- 本文
今年度第2回目となるJICA国際協力JOBセミナー「withコロナ時代の国際協力とキャリア‐農業編‐」をオンライン開催し、161名がご参加くださいました。
はじめにJICA人事部開発協力人材室 松葉より、国際協力業界全体のアクターとその役割について紹介した後、JICA経済開発部次長 天目石 慎二郎より農業分野の最新の課題についてお話しました。
続いて、農業分野で活躍する2名の登壇者(JICA国際協力専門員 杉山 俊士、JICA経済開発部 農業・農村開発第一グループ専門嘱託 市川 陽子)より、これまでのキャリアパス、農業分野で国際協力の仕事に就くきっかけやこれまで歩んできたキャリア、国際協力業界を目指す人へのメッセージについてお話しました。
各登壇者からのメッセージの概要は以下の通りです。
■農業分野の最新の課題について
JICA経済開発部次長 天目石 慎二郎WFP(国際連合世界食糧計画)はCOVID-19により急性食料不足人口が急増するとしています。WFPが支援を強化した国・地域はアフリカを中心とした途上国に集中していますが、特にCOVID-19のしわ寄せがいっているのは脆弱層です。その理由として、COVID-19でサプライチェーンが混乱していることが挙げられます。また脆弱層は所得も減り、食事は穀物中心となり肉類や乳製品の摂取が減少、栄養バランスが悪化しています。このような状況に対しJICAは、短期・緊急的な支援として物資供与や栄養改善の啓発活動などを迅速に実施しています。また、安定的な農業生産に向けて、帰国している専門家が遠隔で現地の人材を育てながら支援しています。中・長期的支援としてはサプライチェーンの再構築やデジタル化などITの活用を検討しています。また民間企業との連携も積極的に模索しています。
今後農業分野で求められる知識・経験・スキルとして、まず積極的にアイデアを出し実行していく意欲・構想力・行動力は必須です。そのうえで、専門家として活躍するには専門性と技術力が求められますし、JICA職員や企画調査員には、農業に関する広範な知識と、最近の動向を把握する力が必要です。さらに、物事を動かす力と、語学力だけではないコミュニケーション能力が求められます。■キャリア形成について
JICA国際協力専門員 杉山 俊士農業分野における国際協力の仕事は契約ベースのものが多く、「個人商店」のようなものです。修行、開店、顧客の開拓…自分で行っていかなくてはなりません。国際協力の関連組織は「即戦力」を求めます。専門家は組織に育成してもらえるわけではなく、自分で実績を積み上げなければなりません。国際協力の初期的な実績を積む機会としては、JICAのジュニア専門員や外務省JPOなどありますが、一定の「実務経験」と「修士号の保持」が共通する応募要件となっています。実務経験を積むには、やはりJICA海外協力隊が一つの有効な選択肢といえ、途上国の現場で体得する様々な経験はその後のキャリア形成の重要な糧となります。
「魔の10年」と呼ばれるキャリア形成初期を乗り切るには、すでに活躍している先達に指導を求め、ノウハウや知見を共有してもらうと良いでしょう。途上国の支援ニーズは日々変化しますから自分の専門性を常に高め続ける努力、そして質の高い成果を出す必要があります。そのためには自分の興味ある分野や地域に固執するのではなく、オファーされた業務が自分の専門とは多少ずれていても、背伸びしてでも受け専門の幅を広げる姿勢が大切です。まずは「やってみなはれ」。考えすぎず一歩を踏み出す。そこから見えることがあります。JICA経済開発部 農業・農村開発第一グループ専門嘱託 市川 陽子
大学では経済学を学び、卒業後は民間企業に勤務しましたが、やはり国際協力に関わりたいと思い、青年海外協力隊に参加しました。帰国後は開発コンサルタント企業に入社、その後、イギリスの大学院へ留学し同じ時期に結婚しました。その後も開発コンサルタントやプロジェクトの業務調整員として家庭との両立を模索し、その時々の機会をつかみながらJICA職員である夫とお互いの海外赴任の時期を調整し、アフリカや国内で農業分野の仕事に携わってきました。
自分のキャリアを振り返ると、行き当たりばったりでしたが、振り返ると道ができていると思います。それは常に問題意識を持って目の前の業務に取り組んできた結果だと考えています。特に女性は、人生の転機に結婚・出産などが重なると、自分のキャリアを優先できないことがあります。私も専門分野での現場経験を積むために、やりたい仕事にちょうど手が届く頃に、あきらめざるを得なかった経験があります。迷った時は、自分の幸せや優先順位を考えて、長い目で見てライフとワークのバランスをとるのが良いと思います。
農業分野で国際協力の仕事に就くには、技術の専門性がなくても、業務調整専門家や企画調査員といった仕事で途上国の農業分野に関わる経験を軸にキャリアを形成して、農業の色をつけていくこともできます。※セミナーの詳細は動画でご覧ください。
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