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掲載日
2021/03/12
タイトル
2021年2月5日(金)第2回JICA国際協力JOBセミナー「withコロナ時代の国際協力とキャリア -基礎教育編-」開催報告
お知らせ種別
イベント
本文

2021年2月5日にオンライン開催された2020年度第2回JICA国際協力JOBセミナー「withコロナ時代の国際協力とキャリア -基礎教育編-」では、192名の方にご参加いただきました。

はじめにJICA人事部開発協力人材室の松葉より、国際協力業界全体のアクターについてご紹介した後、JICA人間開発部次長 兼 基礎教育グループ長 森下拓道より基礎教育分野の最新の課題についてお話しました。

続いて、基礎教育分野で活躍するJICA 前ミャンマー事務所 企画調査員の岩沢久美子氏、そして凸版印刷株式会社 教育事業推進本部の大島慧氏より、これまでのキャリアパスや基礎教育分野の国際協力を目指す人へのメッセージについてお話しました。

 

各登壇者からのメッセージの概要は以下の通りです。(※敬称略)

 

■基礎教育分野の最新の課題について

JICA人間開発部次長 兼 基礎教育グループ長 森下拓道

コロナ禍における基礎教育分野での課題は何か?と問われれば、「学びの危機」ということに尽きるといえます。COVID-19による学校閉鎖は、子どもたちの学びの機会を喪失し、学びの危機をさらに深めていくことが危惧されています。JICAの教育協力では、最終裨益者である子どもたちの学びに着目し、カリキュラムからアセスメントまでの学びのサイクルの一貫性を重視した「学びの改善のための総合的なアプローチ」などの取り組みを通して途上国の教育現場を支えてきました。

教育協力のこれからの課題としては、人的資本の蓄積のために認知スキルだけではなく、リーダーシップや協調性などの非認知スキルにも焦点を当てた学びを確保していくことが重要です。また、COVID-19収束後を見据えた学校の新しい役割を見出していくことも非常に重要です。また、教師による知識の一斉伝達という伝統的な教育形態の見直しとそれに伴うICTを活用した個別学習の促進などの点では日本も同じ問題を抱えています。そのため、COVID-19収束後の新しい教育の在り方を模索していくにあたって、単なる技術移転の国際協力ではなく、互いに学び合うことが重要だといえるでしょう。

これから基礎教育分野での国際協力に携わりたいという皆さんに向けてお伝えしたいこととしては、課題が高度化し、様々な専門性や能力が求められますが、一番大事な事は、自分自身が生涯かけて何を実現したいのか、どんなことができるのかを考え、悔いのない選択をしていってほしい、ということです。

 

■基礎教育分野で活躍する人材のキャリアパス

JICA 前ミャンマー事務所 企画調査員 岩沢久美子

大学ではアラビア語を専攻し、ジェンダーと社会学を学びました。在学中にはシリアへの語学留学も経験し、卒業後は大使館や開発コンサルティング企業、国連、JICAでの勤務を通して教育開発分野での国際協力に従事してきました。大学・大学院共に教育の専攻ではなかったものの、イエメンの日本大使館で学校建設事業に関わった際に、今まで不就学だった子どもたちが教育を受けられるようになるまでの過程を見届けられることに大変なやりがいを感じ、それをきっかけに教育開発分野での国際協力に特化したキャリアを形成していこうと決意し、今に至ります。

これまでのキャリアを振り返り、皆さんにお伝えしたいのは、教育分野の国際協力に携わるにあたって、勿論、教育の専門性があるに越したことはありませんが、教育分野のバックグラウンドが無くても活躍する方法はある、ということです。業務を通じて学んでいくこともできますし、プロジェクトのマネジメントといった汎用的な能力なども教育開発支援に不可欠なので、教育分野での国際協力に関心のある方は、諦めずに挑戦してください。さらに、人生の中での優先順位や時代の流れも変化していく中で、最終的にはその時考え抜いた最善の選択をするしかない、と割り切ることも大切です。ぜひ悔いのない自分なりのキャリアを積んでいってください。 

 

凸版印刷株式会社 教育事業推進本部 大島慧

私の教育分野でのキャリアは高校数学の教員から始まり、5年間勤めたのち、自分の求めるものと異なることに気づき、青年海外協力隊(当時)で理数科教師としてサモアに渡りました。現地で企画調査員や専門家と関わる中で国際協力に関心を持ち、当時30歳でしたが、「こういう仕事もあるんだな、おもしろいな。」と感じるようになりました。日本に帰国後も国際協力への想いが捨てられず、JICAジュニア専門員やJICA専門家として経験を積み、大学院修了後から現在に至るまで一貫して「初中等教育」という自分の軸となるものを貫いてきました。その結果、教師やJICA専門家の時に得た算数・数学の専門性が今の仕事にも活かされています。

基礎教育分野の国際協力といっても単線型の典型的なキャリアというものはあまり無く、関わり方も多種多様なので、自身の望むキャリアを主体的にデザインし、専門性を磨いてキャリアの軸を貫くことやネットワークを構築することが非常に重要です。日本での教員の仕事と異なり、国際協力業界は終身雇用ではないことが多いので私自身も今まで「自分のキャリアは自分で築いていく」ということを意識してきました。また、国際協力と言うと海外に出て現地の人と関わりながら仕事をするイメージが強いかもしれませんが、実際にはそれを支えるために現場に行く専門家の派遣業務など様々な仕事があります。その役割を担う本部の仕事を知ることもとても重要だと感じます。特に20代の方へのメッセージですが、現時点では国際協力や海外に関わったことのない方でも国際協力のキャリアを築いていくチャンスは沢山あります!ということを伝えたいです。

 

※セミナーの詳細は動画でご覧ください。

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