国際協力専門員

国際協力専門員とは

国際協力専門員(以下「専門員」)は、さまざまな分野のJICAの協力の方向性の立案や他の援助機関との連携、個別の協力プロジェクトの計画・立案、運営指導まで、幅広い業務を通じて国際協力に貢献をすることが求められています。国際協力の経験が豊富なプロフェッショナルが、日本を拠点に専門性の高い業務を担う、働き甲斐の高いポストです。 JICAの各分野の協力方針を定めた「グローバル・アジェンダ」の取りまとめを主導したり、国際会議などの場でJICAの協力方針の発表・説明などを通じて、日本発の「グローバル・アジェンダ」の理解促進や他の国際機関との連携の促進を担っています。また、JICAが実施する各種事業において、計画策定・実施・評価までの各段階で、政策面・制度面・技術面などの幅広い側面から、相手国関係者・国内関係者へ指導、助言などを行っています。

専門員の活躍の様子

専門員は、JICAの協力方針の立案、他の援助機関との連携、日本国内の協力人材の育成など、さまざまな協力の現場で活躍をしています。

国際機関との連携 母子保健:母子手帳の普及

国際会議などでの情報発信 気候変動対策:国連気候変動枠組み条約第26回締結国会議サイドイベント
平和構築:「フィリピン・ミンダナオ平和と開発」発刊記念ウエビナー
日本の開発経験:ブルガリア・ソフィア大学での講義
日本の開発経験:ウクライナ・モルドバ工科大学での講義
より良い栄養のために水産物の果たす役割:JICA-JIRCUS-国際農業機関勉強会
民間セクター開発:アフリカでのカイゼン活動

JICAの協力方針の立案・プロジェクトの推進 自然環境管理
平和構築
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ
サヘル地域の平和と安定に向けた、人間の安全保障の構築
フードバリューチェーン

国際協力人材の育成

JICAでは、JICA事業に参加する人材向けに様々な分野で能力強化研修を実施しています。そのほとんどは、国際協力専門員がコースリーダーとして、研修を主導しています。


その他 国際協力専門員の活躍の記録(書籍:他のサイトへのリンク)
教育分野の国際協力専門員からのメッセージ

契約終了後の活躍

専門員の契約期間は、最長5年間となっています。契約終了後はJICA専門家等としてJICAプロジェクトに参加される方や、数年を経てから再度国際協力専門員に就かれる方、国際協力の経験を生かして大学で教鞭ととられる方など、幅広い活躍をされています。大学などで勤務をしながら、JICA事業へのアドバイス、短期専門家としての参加などをされている方も多数いらっしゃいます。

佐藤都喜子元専門員

求められる資質と能力

求められる資質と能力は個々の案件により異なりますが、一般的に国際協力専門員において必要とされるレベルは以下のとおりです。
「国際協力人材に求められる6つの資質と能力」も併せてご参照下さい。)
専門員は、6つの高度な資質・能力が全て必要とされます。専門員は、JICAの協力の方向性の立案だけでなく、他の援助機関との調整や、相手国政府の担当官や高官への助言を行います。このため、最新の援助の動向だけでなくその形成の歴史や、技術面でもそれぞれの国の技術レベル・経済レベルに適した助言を行う必要があります。

また、求められる助言の内容も、技術的なことから、プロジェクトやの運営や組織のマネジメント、政策面など、多岐にわたっています。

分野・課題専門力

専門員はさまざまな場面で高い専門力に裏付けされた助言や行動が求められるため、分野・課題専門力について深い知識と経験が不可欠です。このため、応募資格の中に「応募分野における10年以上の業務経験を有する方」という条件が挙げられています。

専門員は開発途上国での業務において、専門分野の知識を活用しつつ、常に新しい知識やその分野の新しい傾向を知るために、関連分野の学会や研究会の動向を把握することが求められます。また、技術・経済の発展に応じて、適切な技術・手法を導入する必要があり、過去の技術・制度の発展の歴史などについても知っていることが望ましい。

マネジメント力

門員はプロジェクトの運営を支援する際に技術協力専門家や相手国政府関係者、関係団体、市民団体などとの連携と協力が必要なケースが多くあります。このため、高いレベルの総合的なマネジメント力が求められます。このため、他に比べて長めの実務経験や、国際機関での勤務経験、国際機関でのプロジェクト参加経験等が求められています。

問題発見・調査分析力

専門員は、JICAの分野ごとの協力方針の立案や、個別のプロジェクトでの課題解決の実践を求められています。援助潮流や、他の援助機関の方針の分析だけでなく、JICAのプロジェクトで発生する課題を発見・分析することが求められています。開発途上国においては、しばしば日本国内や先進国での事例には見られないような状況下での課題解決に迫られる場合があります。これまでに解決事例のないような場合であっても、その状況下において問題点を見出し、必要な情報やデータを集めて分析を加え、解決していくための能力が求められます。

コミュニケーション力

「総合マネジメント力」の項でも述べたように、専門員が開発途上国で仕事をする場合、さまざまな関係者との連携と協力が必要なことから、コミュニケーション力が必要です。また、国際会議での発表などを行う機会が多く、高度な英語での業務遂行能力が求められます。
専門員の募集ではTOEICの860点以上のスコアを有していることが期待されています。しかし、コミュニケーション力として必要なことは、ただ単に、言語を駆使する力だけではなく、関係者との間に心を通わせ、気持ちをひとつにして協力し、連携しながら案件を進めていく力です。これは「対話力」とも一脈通ずるものがあり、関係者の意見によく耳を傾けながら、日本から遠く離れた土地で、一歩ずつ仕事を進めていくために必要な力であるといえます。

地域関連知識・経験

開発援助のプロとして実務的に業務を遂行するためには、途上国の事情についての十分な知識・理解が必要となります。
専門員の場合、特定国や特定地域の業務を担当することもありますが、世界中が仕事の対象地域となるケースも多数あります。世界各国の個別の事情にまで精通している必要はありませんが、各国各地域の政治経済文化等に対する、幅広い知識・理解が求められます。