NGOってどんな働き⽅?
アフリカの子どもたちの支援を行うPLASに聞いた



気軽に参加できるボランティアイベントを行うNGO・PLAS。広報・コミュニケーション担当の石田さんと、インターン生の原田さんにインタビューを行いました。
NGO団体ではどんな方が働いているの?どんな働き方?というような疑問にお答えするため、お二人が国際協力に興味を持ったきっかけやPLASの活動内容など、背景と想いを聞いていきます。


エイズ孤児支援NGO・PLAS
広報・コミュニケーション担当
石田 彩華さん

学生時代、インドにボランティアに行ったことを機に、女性の地位や貧困問題といった社会課題に関心を持つようになる。生まれた環境に左右されない社会をつくりたいと思い、国内外のインターンシップに参加。
大学卒業後はシステムエンジニアとして一般企業に就職したのち、2023年3月よりPLASに入職。初めての広報・コミュニケーション業務に奮闘している。

エイズ孤児支援NGO・PLAS
インターン生
原田 萌花さん


大学に通いながらPLASのSNS広報を担当。韓国留学中に貧困国の支援に興味を持ち、帰国後、PLASに参加した。語学学習が趣味で、英語、韓国語、中国語、ベトナム語を学ぶ。

この記事を書いた人
ライター O

関東在住。教育系企業を経て、ライターに。国際協力のイベントには今回が初参加。
幅広いジャンルでの執筆経験を活かして、国際協力の魅力を紹介していきます。

(こちらもオススメ!)イベント企画のきっかけや背景、想いを紹介した記事: 『支援者との交流の場にも!国際協力イベント「プチPLA」開催の舞台裏』


大学生7人で始まった、ケニアとウガンダの子どもたちの支援

――早速ですが、PLASの活動内容について教えてください。

石田さん:

PLASは、「取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会を目指す」というビジョンを掲げ、2005年から活動しています。
当時大学生だった7名によって設立され、親を失ったエイズ孤児の支援を中心にスタートし、現在はアフリカ、特にケニアとウガンダにおいて孤児や貧困家庭の子どもたちが前向きに生きられるよう、地域社会の課題解決に取り組んでいます。



――これまでどのような支援活動をされてきたのですか?

石田さん:

当初はエイズ孤児のための学校支援を行い、ウガンダで2校、ケニアで1校の校舎を建設しました。2010年からはHIV/エイズ予防の啓発支援に着手し、現地のボランティアリーダー育成、エイズ孤児家庭の自立支援なども始めました。

徐々にHIV/エイズを巡る世界の状況の改善が見られてきたこと、また現場では他にもHIV陽性のシングルマザー、貧困、早すぎる妊娠・出産などの課題が山積していることから、現在はエイズ孤児に限らず、アフリカの子どもたちが直面している課題解決に関して広く事業を展開しています。



――PLASの活動の特徴を教えてください!

石田さん:

現地の方々で構成されるパートナー団体と活動をともにしているのが特徴でしょうか。
現地の団体は私たちが持っていない強みや「アセット」(人脈、地域に関する知見、ノウハウなどの資産)を持っていますし、現地の慣習、ニーズにも精通しています。また、PLASでは「あげる」支援ではなくて、地域とともに「つくる」支援を大切にしているため、パートナー団体の強みを持ち寄り、一緒に支援をしています。

「子どもの夢を応援できるようになった」 活動によって現地の方に届けられた希望

――「あげる」支援と「つくる」支援はどんな違いがありますか?

石田さん:

「あげる」支援は、私たちが現地の人たちに物資や場所などを提供してあげるもの、「つくる」支援は現地の人たちの経験や知恵を最大限に生かしながら共に課題解決に取り組む支援のことを言います。

HOPE事業に参加したお母さん。HOPE事業の詳細はこちら



――「つくる」支援、素敵ですね。その実現のために工夫していることはありますか?

石田さん:

「つくる」支援においては、3つの大切な事があります。
まず「現地の慣習・価値観を尊重する」ことです。地域の皆さんに受け入れてもらってこそ、私たちは事業を実施できます。

次に、「地域の人々の自立をうながす」ことです。いつか私たちが現地からいなくなったとしても暮らしていけるように、事業を通してスキルや能力を身につけてもらうことを目標としています。

そして地域の強み、豊かな自然、パートナー団体などの「現地のリソースを生かす」こともしています。

私たちの事業地にある家庭はその日暮らしの人が多く、子どもたちは教育費の支払いを親にお願いできず、先に自分の夢を諦めてしまうケースが多いです。こうした子どもたちがよりよい未来を作っていけるように、「生計向上支援」と「ライフプランニング支援」という、2本柱のプログラムを通して支援をしています。

貧困家庭のシングルマザーがスモールビジネスを立ち上げるための初期投資や、保護者と子どもたちへのキャリアカウンセリングを行っているのです。



――こうした支援活動によって、現地にはどんな変化があるのですか?

石田さん:

例えばケニアに住むコリンズくんは、事業に参加した当初は家事の手伝いをしなければならず、宿題をする時間がなく、成績はクラスで下の方。自己効力感も低い状態でした。
しかし我々の事業を通じて、将来の選択肢がたくさんあることを知り、お母さんも「息子の夢を応援しよう」と行動が変わっていきました。結果、コリンズくんは成績をクラスで4番目まで上げ「航空技師になる」という夢まで見つけることができました。

他のお母さんたちからも、「子どもの夢を応援できるようになりました。子どもにできることなら何でもしてあげたい、未来を信じることができるからです」という声をもらっています。

少しずつですが、前向きに生きられる社会が地域の中で実現できています。

仕事は基本的にリモートワーク!NGOの広報・コミュニケーションの仕事

――石田さんは、PLASの中でどのようなお仕事をされているのですか。

石田さん:

主に広報、イベント、ファンドレイジングを担当しています。広報とイベントに関しては、インターン生の力を借りながら、私は基本的にディレクションを行っています。ファンドレイジングについては、マンスリーサポーターさんの募集キャンペーン、クラウドファンディング、募金などの取り組みをディレクションから実行まで担当しています。



――いつ頃から、国際協力に興味を持ち始めたのですか?

石田さん:

高校生くらいの頃、テレビを見ていて、貧困問題に漠然とした興味を持っていました。大学に入ってから国際協力に関するサークルに参加したところから、国際協力の道に進み始めたのです。

ただ、就職の際はこれからどんな風に国際協力に携わるのか悩んでいました。何かしらつながりを持っておきたいと思っていた時に思い出したのが、インターンで開発途上国に行ったときの光景です。どんな家庭でも、1台は携帯電話(スマホ)を持っていました。だから、IT関係の経験を積めば何かかかわっていられるのではないかと考えて、一般企業でシステムエンジニアとして働きました。
その後、本格的にNGOで活動したいと思い、PLASに入職したという経緯です。



――当初からNGOで働くことを考えてキャリア選択してきたのですね。普段の1日はどのように働いていますか?

石田さん:

オフィスに来るのは月1回あるかないかくらいで、基本オンラインで仕事をしています。時間もある程度自分で決められるので、私は朝7時や8時頃からスタートします。先ほどお伝えした3つの業務を中心に、計画を立てたり、分析したり、チームでミーティングをしたりして1日が終わります。
広報やファンドレイジングなど、初めてのことも多いので、常に新鮮な気持ちで仕事ができていますね。

PLASのスタッフの皆さん

国際協力やボランティアに関心の高いメンバーが在籍

――他にどんな方々が働いているのですか?

石田さん:

現在は、インターン生を含めて12名ほどで活動しています。海外事業部のメンバーは年に3~4回、長いときは2~3ヶ月ほど現地に行っていますね。過去には、現地に駐在して活動しているメンバーもいました。立ち上げメンバーの他にも、元々PLASのマンスリーサポーターとして支援していて、よりこの活動にコミットしたいと考えて入職したというメンバーもいます。



――原田さんはどういった経緯でインターンを始められたのですか?

原田さん:

昨年韓国に留学し、向こうの大学の授業で開発途上国について学んでいくうちに、開発途上国を支援する団体に携わりたいという思いが強くなりました。帰国後、ボランティアサイトでPLASを見つけて、「あげる」支援よりも「つくる」支援というコンセプトに共感して応募しました。

今は大学の授業がない日にリモートで8時間ずつ働いており、主にSNS広報担当として、Facebook、Instagram、X、noteなどの媒体を運用しています。
元々SNSに投稿するのが好きでしたし、広報にも興味があったので、やらせていただいてありがたいなと思っています。自分がした発信に対して反応がくると嬉しいです。

国際協力の切り口は様々。意外と気軽にかかわれる!

――PLASは今後どんな取り組みをされる予定なのでしょうか?

石田さん:

設立から19年が経ち、支援した子どもの数が3,000名超、シングルマザーの家庭は685家庭、エイズ教育を届けた人は2万6,000名、コロナの緊急支援は6,000名超となりました。決して一度に何千、何万の人たちに届くような大きな活動ではありませんが、海外事業部のメンバーは以前、こんなことを話していました。

「2年前に疲れた顔で自分の前に現れたお母さんが、事業を通して変わっていき、家族を連れてにこやかに『私の人生はこんなに変わることができたのよ』と話してくれたときに、確かにPLASの活動が人生を変えるターニングポイントになったのだと感じました」。

今後は、先ほどお話した生計向上支援とライフプランニング支援を組み合わせたメソッドを、他の地域でも届けていきたいと考えています。



――国際協力に興味はあるけれど、なかなか一歩を踏み出せない方々に、メッセージをお願いします!

石田さん:

協力の切り口はいろいろあって、自分のお金で支援する方法もあれば、家で眠っている古本や書き損じはがきを通して寄付する方法もあります。また、今回私達が開催したようなイベントへの参加や原田さんのようにインターンをしてみるなど様々な形があるので、ご自身に合ったものを見つけて参加してみるのが良いのではないでしょうか。

「現地の課題」とか「国際協力」と聞くと、少し身構えてしまうかもしれませんが、実は意外と気軽に支援に関与できるのだということを知っていただけたら嬉しく思います。

まとめ

今回はNGO団体であるPLASの広報担当である石田さんとインターン生の原田さんにインタビューさせていただきました。
大学生7人から始まった小さな活動が、今では数千人の子どもたちやシングルマザーの人生を変える大きな力となっていることに感銘を受けました。
また、このインタビューを通じて、国際協力は初心者の私にとっても決して遠い存在ではないということを実感しました。(ライターO)

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