第99号 PARTNERコラムインドで貧困問題に挑む~キャリアのターニングポイント~
私は大学時代にバックパッカーで訪れたインドで、貧困を目の当たりにしたことをきっかけに、国際協力に携わることに決めました。新卒で日本の人材会社に約3年間勤務した後、インドで女性の経済的自立を目指したソーシャルビジネスを起業しました。そして、現在は「外部環境が原因で努力できない人をなくす」をミッションとする「NPO法人結び手」で、主にインドの貧困地域の子どもたちに対する教育支援に取り組んでいます。そんな私がインドで貧困問題に取り組むことを決意した、ターニングポイントをご紹介したいと思います。
人材会社で働きながら、週末にプロボノ(仕事を通じて培った知識やスキル、経験を活用して社会貢献するボランティア活動)として社会問題に関わったり、ソーシャルビジネスを学ぶ勉強会に参加したりしながら、インドの貧困問題をどのように解決できるか模索していました。そんな中、インドネシアで最大規模かつ老舗のソーシャルビジネスの会社でインターンシップに参加する機会を得ました。その企業は貧困、農業など多数の事業を手掛け、従業員数は数千名と、大きな社会的インパクトを出しています。創業者と話す機会があり、「インドの貧困問題を解決したいが、何から始めたらいいのか、自分に何ができるか分からない」と相談をしたところ、「今でこそ老舗で大きな組織だが、創業時はたった1人、志1つで始めた」と教えてくれました。また、「小さくてもいいからまずは一歩やってみること。そこから学んで変えていけばいい」という力強い助言をいただきました。その言葉に背中を押してもらった私は、インドに渡航しソーシャルビジネスで起業することに決めました。
ただ、当初は漠然とインドの貧困問題を解決したい想いはあったものの、具体的に誰の、どのような貧困問題を解決するかは決まっていませんでした。そのため、インドの都市と農村、それぞれの貧困層の人たちが置かれている状況と原因、その解決策の仮説を立て、実際に貧困地区に調査に行きました。その過程で、スラム街の中、朝から晩まで休みなく、ゴミ拾いや家政婦として低賃金で働く母親たちに出会いました。女性たちは「自分たちはスラム街で一生を終えてもいいけど、子どもたちには教育を受けさせて、スラムから脱してほしい」と涙ながらに想いを語ってくれました。彼女たちからは、支援を待っているのではなく、自立したいという意志を感じました。機会さえあれば、貧困の連鎖を断ち切るチェンジメーカーになるのではないかと思い、まずは女性のエンパワメントに取り組もうと決めました。
現場で雇用創出をする中で、教育の重要性を痛感し、現在は主に子どもたちに対する教育支援に取り組んでいます。自身のターニングポイントを振り返ると、何が正解か分からない中でも、行動し続けることでやるべきことが見え、貧困問題に対する理解も深まってきました。まだまだ生まれた環境が原因で努力できない人たちは、インドに限らず沢山います。引き続き、私にできることを続けていきたいと思います。
NPO法人結び手
水流早貴
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