第120号 PARTNERコラム
ビジネスを通じた国際協力の道(後編)
(白神さんの現在の仕事についてご紹介した前編は
こちら
)
途上国に貢献したい。現地に根差した、継続的な貢献をしていきたい。
そんな想いから、青年海外協力隊として西アフリカにあるベナン共和国へ。
私はベナンの福祉センターに勤務し、地域の診療所をまわって栄養価の高い離乳食の調理講習会を開催するなど、主に乳幼児の栄養指導を行っていました。
この福祉センターは政府や援助機関と連携し、マイクロクレジット※の窓口や援助で届く学校教育備品の配布、識字教室など女性や子どもを支援する役割を担っており、地域にとって欠かせない場所でした。しかし、援助で届いた備品が使われないまま残されていたり、識字教室が開催実績を積むためだけに行われていたりと、何かを提供する支援の難しさを感じる場面もたくさんありました。
※マイクロクレジット…貧困層や低所得者、失業者など銀行から融資を受けられない人に対し、無担保で小口資金を提供する金融サービスのこと。
取組のなかで、「勉強が楽しい!」と熱心に識字教室へ通うお母さんがいたり、調理講習会では「赤ちゃんを元気に育てたいからもっと栄養のことを教えてほしい」と声をかけてくる人がいたり。
こうした出会いが非常に多くあり、自分の意思で選択し成長できる機会や、スキルを持つことの重要性を感じることが多く、そうした機会の積み重ねと広がりが人を強くし、国を強くしていくのではないかと思うようになりました。
支援が重要な局面は必ずありますが、支援のその先の未来に向けた貢献に携わること。地道な道のりかもしれないけれど、やる気に満ち溢れた現地の人たちの顔が思い浮かぶ世界を作りたいと思いました。
では、なぜそれがビジネスを通じてなのでしょうか。
私が働いているマザーハウスは現在、バッグ・ジュエリー・アパレル・フードのブランドを展開していますが、私が入社した頃はまだバッグ以外のブランドはありませんでした。
まずバッグブランドができ、つくる側は商品力を高め、届ける側は接客力を高める。さらに、店舗で商品を届ける私たちは日々の販売計画を立て、お店の認知拡大方法を考える。
こうしてブランドを大きくしていくわけですが、順調なときもあればそうでないときもあります。試行錯誤を繰り返しながら取り組み続け、お店の売上と利益を伸ばしブランドを大きくしてきたことで、新しい生産国へ行き、新しいブランドを立ち上げることができています。
企業という組織体、ビジネスを行うこと。それは自分自身を含めた雇用を抱えるという大きな責任があり、ビジネスを成長させる過程は簡単なことではないと日々感じます。
だからこそ、生産国も販売国もお互いの場所で真剣に臨み、成長し、切磋琢磨できる関係と責任をもって、自分たちの力でともに未来をつくることができる。
そしてビジネスを継続し、大きくしていったその先に、途上国の発展がある。それが、ビジネスを通じた国際協力の形だと、今は自分なりに解釈し、日々頑張って働いています。
株式会社マザーハウス ショップ部門 エリアマネージャー
白神 綾菜
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