第123号 PARTNERコラム
世界へ一歩踏み出す若者を応援する〜ワン・ワールド・フェスティバル for Youth〜(後編)

特定非営利法人関西NGO協議会の栗田佳典です。
前編では、私が2016年から関わっている「ワン・ワールド・フェスティバル for Youth」というイベントにかける想いや目標についてお伝えしました。
後編では、若年層と一緒に作り上げたイベント舞台裏のエピソードなどをお伝えできればと思います。

ユースの関心をさらなる行動へつなげる

「ワン・ワールド・フェスティバル for Youth」では、ユースの皆さんの関心に基づいてテーマを決定してきました。
これまで、コンゴの紛争鉱物や性暴力、気候変動、パレスチナ、ウクライナといったトピックを取り上げました。

イベント当日までの過程では、放課後に実行委員の高校生がNGOを訪問し、打ち合わせを重ね、オンラインでの準備も行いながら、念入りな計画を立てて臨みました。
特に私が関わった「コンゴの紛争鉱物や性暴力」に関する回では、約30名の参加者が集まり、講演とワークショップを開催しました。
このとき参加者だった高校生が、後に大学へ進学しコンゴで活動するNGOのインターンシップに参加するというつながりも生まれました。小さな積み重ねが実を結んだことを実感する瞬間でもあります。
このように、このイベントは未来への種まきのようなものであると思っています。そして、私はこれがとても重要だと考えています。


コンゴの紛争鉱物や性暴力に関するワークショップの様子

コンゴの紛争鉱物や性暴力に関するワークショップの様子

高校生と協力したイベント開催

このイベントは高校生の関わりが重要なポイントです。
それゆえ、高校生の皆さんと円滑にコミュニケーションをとることの難しさや、イベント運営の大変さを感じることが多くありました。
例えば、イベントに関わる大人は平日の日中は働き、週末は休むという生活スタイルの人がほとんどですが、運営に関わる高校生が参加できる平日夜や土日に打ち合わせの時間を合わせる必要がありました。
でも、大人だけではなく、高校生の皆さんも忙しい中、時間を見つけて参加してくれるので、我々もその熱意に応えるべく一緒に話し合いました。

また、限られた予算の中で、高校生が希望する講師を招聘するための調整や、様々な方向に関心が向く中でチームとして何をしたいかを検討したり、意見を引き出すファシリテーションを行うなど、事務局の業務は多岐に渡りました。
当時の担当職員が懸命に推し進めてくれたことは今でも忘れません。

さらに、連絡がうまく取り合うことができなかったり、学業や部活でこの活動への参画が難しくなってしまったり、開催1週間前でも内容が詰まっていなかったり…と、本当に開催ができるのかと不安になることも多々ありました。
それでも、イベントに対する想いを同じく持つ仲間と力を合わせながら準備を進めることができました。

高校生たちの自主性や創意工夫、それを支える教員やNGO関係者の協力の下、ひとつひとつの経験を糧に多くのユース世代の皆さんに知る、学ぶ、そして参画する機会を継続して提供することができたと考えています。


2019年度の高校生実行委員と運営関係者での集合写真

2019年度の高校生実行委員と運営関係者での集合写真

コロナ禍でのイベント運営の苦労

広報においては関西地域の高校にチラシを郵送したり、学校教員を通じて、生徒の皆さんに呼びかけてもらうように依頼をしたり、多くの方にこのイベントを知ってもらうために努力をしてきました。その甲斐あって、コロナ前までは参加者も増加傾向にありました。
しかし、2020、2021年はコロナの影響を受けてオンライン開催となり、参加者は減少してしまいました。
気軽に足を運べるリアル開催に比べると、オンラインは高校生にとって参加ハードルがすこし上がってしまったようです。

その後、2022、2023年は対面とオンラインのハイブリッドで開催をしましたが、運営中はトラブルが絶えませんでした。
マイクがミュートのまま始まる、会場の音声が聞き取りづらい、画面共有がうまくいかない、参加者がマイクをオンにしてしまう、誤ったURLを参加者に伝えてしまう…など、想定していなかったトラブルに力を合わせてなんとかその場を乗り越えましたが、今となっては良い思い出です(笑)

「仕組みを作ったり、変えたりするために自ら声をあげる」ということ

イベント内では、ブースを回り活動を知るだけでなく、参加者が積極的に発言する機会も提供してきました。
2020年度からの4年間、ユースが中心となり、自分たちの理想とその実現に必要なアクションを逆算して、必要となるステップを考え、そのギャップを埋めるプロセスを実践し、ユースから提言を行う活動を続けてきました。
イベント当日は、テーマについて講演を行ったり、ワークショップを行って参加者同士の意見交換の場を設けてきました。
これまで「差別・貧困」「環境・貧困」「LGBTQ+と教育」「若者の政治参加」をテーマに話し合い、高校生による提言をまとめました。

特に、2022年の「LGBTQ+と教育」では、文部科学省の担当者に「ジェンダー教育に関する提言書」を手交し、自分たちの意見を直接伝えることができました。
実際の提言書の内容や、高校生をサポートした伴走講師、また、メンバーとして参加していた高校生の寄稿が、報告書にまとめられていますので、ぜひご覧ください。



社会課題の解決に向けた「最初の一歩」を踏み出しませんか

2024年度のイベントは、12月22日(日)に開催されます。今年度から高校生だけでなく、大学生の皆さんも参加できるようになりました。
単に問題を知るのではなく、参加者の皆さんが進路の中で新たなつながりが生まれたり、具体的な活動に発展したりすることで、参加者の皆さんの選択肢が増えていくようにと高校生の皆さんと一生懸命作り上げてきました。
PARTNER読者の皆さんも、イベントに参加して、社会課題の解決に向けた「最初の一歩」を踏み出しませんか。
お会いできることを楽しみにしています。



特定非営利活動法人関西NGO協議会 事務局長・理事
栗田 佳典



○イベントの詳細はこちら○

高校生・大学生世代のユース対象のSDGsイベント!『ワンフェスユース2024』
開催日時:  12月22日(日)10時~16時半
開催場所:  大阪YMCA(大阪府大阪市西区土佐堀1丁目5-6) 3階~5階
公式ページ: https://owf-youth.com
前編はこちら
☆栗田さんのイベント主催にかける熱い思いについて綴られているコラム前編はこちら♪

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